「宮本武蔵(二)」吉川英治

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
宮本武蔵の第二巻。宝蔵院を後にした武蔵は柳生へ向かう。そこには宮本村で別れたお通がいるのだ。
マンガ「バガボンド」との比較ばかりになってしまうが、本書では残念ながら宝蔵院胤舜(いんしゅん)との試合は行われない。お互いを認め合って言葉を交わすのみである。本書の見所は、柳生石舟斎(せきしゅうさい)と一本の木の枝の切り口を通じて心を伝え合う場面だろう。達人であるからこそわずかな細い切り口にその技を見いだす。剣の世界に限らずそんな世界があるなら到達してみたいと思わせる。
もちろん柳生でのお通との再会の場面も印象的である。お通に会いたいという思いを持ちながらも、剣の道を歩み続けるためにはそれをすべきではない、という武蔵の葛藤が描かれる。
そして後半では佐々木小次郎が登場する。武蔵と絡むのはまだまだ先の話だと思うが今後の展開を楽しみにさせてくれる。
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