「海賊とよばれた男」百田尚樹

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
石油会社「国岡商店」を率いる国岡鐵造は社員は家族という信念を持って戦後の混乱期を乗り越えていく。
読み始めるまで知らなかったのだが、この物語は出光興産の創業者・出光佐三をモデルにして書かれている。石炭から石油へとエネルギーが移行していく時代にいち早く石油に目をつけて自ら会社を起こし、時代の流れにのって大きくなっていくのだ。
本書で描かれている出来事はフィクションの体裁をとってはいるが、いずれも実際に起こった出来事を描いている。そんな数ある出来事のなかでも、なんといってもイギリスの脅威のなかイランに向かった大型タンカー日章丸のエピソードは、単に「面白い」という言葉では説明しきれない。信念と誇りをもって物事に立ち向かうことの素晴らしさと尊さを改めて感じるだろう。

辛かった日々は、すべて、この日の喜びのためにあったのだ。

「信念」とか「誇り」という言葉は、戦争などの争乱の時代にしか語られないような印象があるが、そんなことはない、日々の仕事に大してもそんな心を忘れずに常に全力で立ち向かった人がいるのである。
僕らはなぜこんな偉大な出来事をもっと語りついでいかないのだろうか。本書を読めばきっとみんなそう感じるだろう。著者百田尚樹がこの物語を書かなければいけないと思った理由は読者には間違いなく伝わるだろう。

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