「テレビの大罪」和田秀樹

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
昨今のテレビ番組がどれだけ世の中に悪影響を及ぼしているか、という視点に立った内容である。昨今の若者のテレビ離れは、インターネットなど、テレビ以外のエンターテイメントの普及だけによるものではなく、発信者としての責任を負うことを恐れて、ひたすらクイズ番組に走る、というテレビ局側のモラルの低下も影響しているのだろう。
僕自身ここ数年で一気にテレビを見なくなったから、その「テレビ離れ」の裏にある原因や人の考え方にはおおいに興味があったので、本書を手にとったのだが、ところどころうなずける部分はあるものの、著者のかなり強引な論理と断定的な書き方にやや抵抗を抱きながら読み進めることになってしまった。
とはいえ、確かに、テレビ局が東京に集中していなかったらおそらく飲酒運転の取り締まりは今ほど厳しくはならなかっただろう、という考え方には納得できるものがあるし、自殺報道は規制すべき、という考え方もうなずける。
結局テレビの大罪が「大罪」になってしまう原因は、情報を取捨選択せずに鵜呑みにしてしまう視聴者の側にもあるのだということは、改めて今回思ったことである。
【楽天ブックス】「テレビの大罪」