「ギリシア神話の名画はなぜこんなに面白いのか」井出洋一郎

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
西洋絵画を楽しむ上で、宗教とギリシア神話は欠かせないもの。本書はギリシア神話のエピソードとともに、その場面を描いた絵画を紹介している。
僕自身西洋絵画とギリシア神話はもともと好きなので多くの物語は知っているものばかりだったが、それでもいくつかの知らなかった逸話や、ギリシア神話の一場面と知らずに見ていた絵画、そして見たこともない絵画に触れることができた。
面白いのは神話上の人物が、絵で描かれる際の特長に触れている点だろう。アットリビュートと呼ばれるその人物の象徴となる持ち物を知ることで、より絵画のなかの人物を特定しやすくなるのということだ。
たとえばよく知られているものだと、エロス(キューピッド)の弓、ヴィーナス(アフロディーテ)の貝といったところだ。残念ながらアットリビュートの説明は文章だけで、資料となる絵画が載っていない点がやや物足りなかった。
絵画としてはピエロ・ディ・コジモ「アンドロメダを救うペルセウス」など、ペルセウス好きにはたまらない。ジュール・ルフェーブルの「パンドラ」も印象的である。どちらも今まで知らなかった画家なので、ぜひ覚えておきたいものだ

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