「ソウルケイジ」誉田哲也

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
多摩川の土手に放置された車の中に、血まみれの左手が残されていた。姫川玲子(ひめかわれいこ)を含む捜査一課の刑事たちの事件解決までを描く。
「ストロベリーナイト」の続編に当たる。学生時代に負った心の傷を抱えながら男社会の警察組織の中で警部補として部下を抱える立場にある姫川玲子(ひめかわれいこ)を中心として物語は展開する。
今回面白いのは、得られた手がかりをヒントに直感的に真相に近づいていく玲子(れいこ)と、それとは対照的に、一切の予断を排して捜査を進める日下(くさか)の対比だろう。表面的には毛嫌いしたり、その手法を不安視しながらも、その実力を認め合う二人がそれぞれの手法で真実に近づいていく。
どちらが正しいというのではなく、どちらが理想的な捜査とうのでもなく、異なる種類の人間がいるからこそ組織として警察は機能する。本作品で描かれているのはまさにそんな組織としての機能性である。
そんな警察側の面白さに加えて、事件自体も不思議な展開を見せる。事件の不思議さだけでなく、関係者たちの生きかたやその裏にある感情がしっかり描かれている。

幼くして両親を失っているにも拘わらず、その眼差しは、実に澄んでいて、真っ直ぐだ。これは長年愛情を受け、それを感じ、自身の中で育んできた者の目だ。

「愛情」なのか「償い」なのかそれとも「自らへ課した罰」なのか。人をつき動かす説明し難い力の存在を見せられた気がした。
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