2014年10月アーカイブ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
管内で国会議員が失踪した。署長の竜崎伸也(りゅうざきしんや)は極秘の捜査によって誘拐殺人事件であることが明らかになる。

例によって、地位の上下や私欲に縛られずに正義を全うしようとする竜崎(りゅうざき)の姿勢に触れられる本シリーズは面白い。今回の事件は神奈川県警も巻き込んでいることから、神奈川県警、警視庁、双方の立場を考慮して行動していく。また、事件のほかに、息子の大学受験という家族の問題も同時に抱えている。様々な業務を洗い出してそれぞれを優先順位をつけて的確な解決方法を見つけ出して処理していく様子はなんとも爽快である。

毎回、自分自身の行動についても見つめ直させてくれる一冊。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
お金がなくて困ったStephanie Plumは法廷に現れない犯罪者を捕まえる仕事、Bounty Hunterをすることを決意する。最初のターゲットは殺人を犯して逃亡したもと警察官で、なんとStephanieの学生時代の知り合いの男Morelliだった。

ターゲットであるMorelliを追ううちに、逆にStephanieは窮地を救われることとなる。そして次第にMorelliとStephanieの間に妙な協力関係が生まれていく。

Stephanieが失敗を繰り返しながらも、少しずつBounty Hunterという仕事に慣れていく様子が面白い。Stephanieが住んでいる町が非常に狭くて、そこら中に知り合いや元同級生がいて、みんなが結婚相手を世話しようとしている点が、懐かしい温かさを感じさせる。Bounty Hunterという職業自体が日本では馴染みが薄いので、文化の違いが反映されているような気がする。そもそもなぜ日本にはBounty Hunterという職業が存在しないのだろう、と考えてしまう。

続編もあるようだが、Stephanieが成長する様子が見れるかもしれない。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
聖都エルサレムを奪還した十字軍だが、イスラム側も徐々に反撃を始める。

エルサレム奪還から時を経て、十字軍側は防衛する側にまわるのだが、そのなかで重要な役割を担うのが聖堂(テンプル)騎士団と聖ヨハネ騎士団である。本書ではこの2つの騎士団について何度も触れられており、著者のこだわりが感じられる。実際その存在は非常に魅力的に見える。聖堂(テンプル)騎士団は「ムスリムは殺せ」という信念でその信念に賛同する物は誰でも受け入れていたのに対して、聖ヨハネ騎士団はもともとは病院騎士団と呼ばれ、人々の病や怪我の治療にも尽くし、教育を受けた貴族しか受け入れなかったという。聖ヨハネ騎士団のそんな自らを律した存在がとても魅力的に見えるのだ。彼らが使っていた城塞に書かれていた文章がその哲学を表している。

おまえが裕福な出であろうと、それはそれでよい。おまえが知力に恵まれていても、それはそれでけっこうだ。また、おまえが美貌に生まれたのならば、それもよし。だが、このうちの一つであろうとそれが原因になって、おまえが傲慢で尊大になるとしたら、問題は別になる。なぜなら、傲慢とはその表われである尊大は、おまえ一人に限らずおまえが関係を持つすべてを損い汚し卑俗化してしまうからである。

また、聖ヨハネ騎士団が十字軍防衛のために利用した城塞もとても印象的である。特にクラク・ド・シュヴァリエについては図入りで解説されており、いつか実際に見てみたいと思った。

本書のなかで印象的な著者の言葉として、優秀な人材は同じ場所に集まるというものだ。実際、第一回十字軍の際には多くの優秀な人材が十字軍から排出されて、それがエルサレムの奪還へと繋がったが、本書ではイスラム側にサラディンなどの多くの優秀な人材が輩出され、エルサレムを奪い返されるのである。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
TEDのプレゼンはなぜあれほど人々を魅了するのか。著者は過去のさまざまなTEDトークを例に出しながら、効果的にプレゼンをするための方法を語っている。

「ストーリー」とか「ユーモア」といった、いいプレゼンを語る上で誰もが盛り込む内容だけでなく、「キャッチフレーズ」や「紹介の仕方」などについても語る。TEDトークはどれもインターネットで公開されているから、本書の説明だけでわからないものはすぐにチェックすることができるだろう。

本書で語られているなかでもっとも印象的だったのは、プレゼンのなかで自分を主人公にしてはいけないということだ。見習うべき行動について語るのであれば、自分ではなく第三者にするべきで、自分を主人公にするとただの自慢話になって聴衆を遠ざけてしまうのだと言う。

その人自身の持っているキャラクターもあるから、本書で紹介されている方法をすべてプレゼンの中に取り入れるのは難しいかもしれない。TEDではその日初めて会う人に語るが、実際には上司や仲間など、すでに知っている人にプレゼンをすることもあるだろう。鵜呑みにすべきではないと警戒しながらも取り入れられる部分は取り入れたいと思った。

また、本書はプレゼンの技術を教えてくれる本というだけでなく見るべきTEDトークをたくさん紹介してくれる本としても役に立った。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
スマートフォンの普及によってWebの作り方は大きく変わった。著者はMobile Firstというコンセプトでその考え方を語る。

その考え方は、Mobileという限られたスペースに情報を入れようとするために、不要な情報や要素はすべて削ぎ落とす必要がある。その上で出来上がったMobile用のWebからPC用のWebを作成する際に、本当に役立つものだけを付け加える、という、まさにMobileサイトを中心とした考え方である。

面白いのは、冒頭で著者は言っている。

今までは日本人でもない限り誰もモバイルでWebを閲覧しようなどとはしなかった。

つまり、数年前まで日本はモバイルでのWeb閲覧という分野においては世界でも進んでいたのだ。にもかかわらず、海外のWeb情報サイトではそこらじゅうで目にする「Mobile First」という言葉、日本ではまったく聞かない。すでに世界から遅れをとっているということなのか、それとも単に文化の違いなのか。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
楽天市場を立ち上げた三木谷浩史がその成功のコンセプトを語る。

成功者というのは、その成功はすべて自分の決断によって達成されたと語りがちだが、実際には幸運にも恵まれているのだ。そういう意味では本書のような成功者の本を読む際には多少傲慢な物言いも覚悟しているのだが、それほど悪い内容ではなかった。

本書で語られている5つのコンセプトのうち、最初の4つはいろんなところで語られることでそれほど新しい物ではないが、5つめのコンセプトとして「スピード!スピード!スピード!」というのは面白い。最近だらだらした会議が多くなってきた僕の会社の重役たちもぜひ本書を読んでスピードの重要性を理解して欲しいと思った。

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オススメ度 ★★★★☆ 4/5
三宅花圃(みやけかほ)は入院した師である中島歌子(なかじまうたこ)の部屋を整理する際にある書物を見つける。それは中島歌子(なかじまうたこ)の激動の半生をつづったものだった。

中島歌子(なかじまうたこ)、樋口一葉(ひぐちいちよう)など、名前は聞いた事があっても彼女達がどのようにして何年も語り継がれる書物を書いたのかどれほどの人が知っているのだろう。本書では徳川幕府末期、尊王攘夷の気運の高まる混乱のなかで生き抜いた中島歌子(なかじまうたこ)を中心に、その弟子である三宅花圃(みやけかほ)などと絡めて、当時の混乱の様子を描いている。

残念ながら当時の政情について知識が乏しいために本書の面白さを十分に味わったとは言えないが、すぐれた作品なんだろう。

三宅花圃(みやけかほ)
明治時代の小説家、歌人。著書『藪の鶯』は、明治以降に女性によって書かれた初の小説。(Wikipedia「三宅花圃」)

中島歌子
明治時代の上流・中級階級の子女を多く集め、成功した。歌人としてより、樋口一葉、三宅花圃の師匠として名を残している。(Wikipedia「中島歌子」)

天狗党の乱
元治元年(1864年)に筑波山で挙兵した水戸藩内外の尊皇攘夷派(天狗党)によって起こされた一連の争乱。元治甲子の変ともいう。(Wikipedia「天狗党の乱」)

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
インドを後にした著者は、パキスタン、アフガニスタンを経由してイランへ向かう。

毎回のごとくそれぞれの国の個性が面白い。特にパキスタンの長距離バスの運転手のその運転の様子が著者の興味をひいたようだ。旅が進むにしたがって、著者の視点が文化やその土地の人よりも、旅や自分と同じ旅人に向かっている気がする。

1日早く帰ったからといってそれが何になるだろう。むしろ、早ければ早いほど、青春そのものといった日々から足早に遠ざかってしまいそうな気がする。それらの日々は必ずしも自由で甘美なばかりではなく、多くは過酷ですらあったろうが、いざ失う日が近づいてくるとなると、たまらなく貴重なものに思えてくる。

4冊目を読み終わって思うのは、あまり沢木耕太郎という著者は観察力にすぐれた人間ではないということ。もちろん、「自ら経験しないとわからない」として、あえて細かい部分を書かないようにしているということも考えられるし、日本に帰ってきてから記憶をたよりに書いたため本当に印象に残ったことしか欠けなかったのかもしれないが、これだけの国を旅したらもっとたくさん書くことがあるのではないかと感じてしまう。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
人気ブランドQrosのCMに登場した美しい女性は名前も年齢も国籍も明かされなかった。やがて彼女は「Qrosの女」と呼ばれてさまざまな憶測を呼ぶ事となる。ジャーナリストの矢口慶太(やぐちけいた)や栗山孝治(くりやまこうじ)も「Qrosの女」の情報も探ろうとする。

ジャーナリストや女優の視点で物語は展開する。興味深いのは女優や俳優として成功したいという人間と、容姿に恵まれながらも人から注目されるような生き方をしたくない人間がいることだ。また、一般の人にとっては人の秘密を暴くことを仕事にしているように見えるジャーナリストも、それぞれ独自の信念や良心を持っているのだ。

非常に多才な誉田哲也であるが、本作品のなかで長く印象に残る部分は少なそうだ。気楽に読める作品ではある。

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オススメ度 ★★★★☆ 4/5
インターネットの発展と、スマートフォンの普及に伴い、Coursera、Udacity、Edxといったオンラインで大学の授業を受けられるMOOC(Massive Online Open Courses)プラットフォームが注目されるようになってきた。本書はそんなMOOCを含むオンラインエデュケーションの現状に様々な視点から迫る。

かなり前からオンラインエデュケーションには興味を持っていたが、どこか騒ぎすぎな印象も持っていた。一般の人にはどの程度認知されていて、実際にはどれほど人々の学習環境に根付く可能性があるのかいまいちつかめずにいたのだ。本書ではMOOCsで日常的に授業を受けている人々の感想や境遇を説明し、カーンアカデミーなどのMOOC以外のオンラインエデュケーションについても触れている。

序盤のMOOCで勉強をしている世界の人々のエピソードに触れると、自分が人生をさぼっているような気がしてくる。環境に恵まれない人こそ、オンラインエデュケーションの可能性に敏感なのだろう。環境に恵まれている日本人はいつになったら危機感を感じるのだろう。

後半は日本のオンラインエデュケーションの動きをいくつかのサイトと共に説明している。カーンアカデミーのことを知ったときにどうして日本でももっとこのように、学校の勉強についていけないような子供達を助けるための動きがないのだろうか、と思ったが、すでにそのような動きをしているサイトはいくつもあってそのことに驚かされた。

今後も引き続きオンラインエデュケーションの動向に注目していきたいと思った。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
車にひかれそうになった子供を助けたところを報道され、世間からの注目を浴びたRidleyだが、それを機にいろいろなことが起きるようになった。やがてそれは彼女自身の出生の秘密にまでおよんでいく。

本書は兄Aceと父と母の家庭に育った女性Ridleyの物語。自分の姿が報道されたあと、本当の父と名乗る人から手紙を受け取るのである。自らの出生に疑問をもつRidleyは少しずつ大きな陰謀に巻き込まれていく。実は自分は過去・・・とか、疾走したあの人が実は・・・、という流れの本が多くて読み終わってあまり時間が経たないうちに記憶から薄れてしまっている。

さて、本物語りでは、Ridleyの叔父が何年も前に行っていた福祉制度が物語の鍵となるのだが、昨今日本で議論になったことと非常に似ているため、いろいろ考えさせられる物があるだろう。子供を育てることができない母親に、「それが母親の責任」とその義務を強いて不幸な子供達を増やすのか、それとも子供を手放す自由を社会が受け入れ、子供達を育てる施設を整えるのか。

本書ではRidleyと同じように自分の出生に悩んで家を飛び出したAceもたびたび登場する。ドラッグから抜け出せなくなったAceの存在が日本とアメリカの文化の違いを際立たせているような気がする。

一度両親を、自分の本当の親じゃないかも、と思い始めたRidleyには過去のすべてのできごとが嘘っぽく見え始める。考えてみると、人は他の家庭がどのように子供に接するか、ほかの家庭の親と子供接し方が自分の家庭のそれとどのように異なるかというのは、本当に知る機会がないんだな、と考えさせられた。

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
Windows8やiOS6で採用されたフラットデザイン。言葉にすると単に、今までの立体的なデザインからシャドウやグラデーションの少ないデザインへの移行、と認識されてしまうだろう。しかし、本書は世の中がフラットデザインに向かった背景やその原因について説明している。

人々がパソコン上で何ができるか想像できなかった時代は、現実の世界に存在するそのデザインをパソコン上でも再現する事で人々の抵抗感をなくしてきたが、もはやその必要はなくなった、という説明は非常に腑に落ちる物がある。本書を読んで改めて周囲の物を眺めてみると、いろいろ違った点が見えてくる。例えばパソコン上で「保存」を意味するアイコンがいまでもフロッピーディスクだったりするのだが、すでにフロッピーディスクは世の中から消え去って何年も経過しているのだ。

また、本書はフラットデザインの問題点やフラットデザインをするにあたって困難な点についても語っている。デザイナーにとっては、単純にボタンを立体にしてすませることができないため、今まで以上にスペースや色の使い方に慎重になる必要があるだろう。

色の境目やグラデーションというのは、デザイン的な「情報」になってしまう。情報は、意味を背負ってしまうことになる。意味のないところには、情報を巻き散らかさないというのが、フラットデザインに限らず、デザインとして、とても重要なことだ。

フラットデザインについてだけなく、デザインというものについて改めて考えさせてくれる一冊。

参考サイト
Squarespace
Dribble
Behance

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