2010年5月アーカイブ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
よくある自己紹介を例にとって解説している。辞書で英単語の意味から調べても文章の中でのその単語の使い方がわからない。英語の文章の意味が理解できても実際の会話で使うタイミングがわからない、というのは英語を勉強しているとしばしば感じることだが、「社内の人間関係」「自分の趣味について」など、自己紹介で話されると思われる40のテーマについて、それぞれ10?20程度の文章で構成された自己紹介を掲載しているので、丸暗記してしまえばかなり応用の利く内容だろう。

中には目からウロコの表現も多々あった。

I wanted my apartment to be on the same train line as my office.
(わたしはアパートは会社と同じ路線であってほしかった)
It's important to see things from their point of view.
(彼らの目線で物事をみつめることが大切である)
Catty-corner from the police box is a bakery.
(交番の斜向かいはパン屋です)


また、それぞれのあとには、自己紹介を順序だてたりわかりやすく説明するためによく使われる表現も解説している。一度読んだだけですべてを覚えられるものではないが、しばらく繰り返し読むことになりそうだ。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
南北アイルランドの統一を目指す武装勢力NCSの1人が、とある宿で殺される。同行していたNCSのメンバー2人と、同じ日に宿泊していた一般客数人が、事件が解決するまで宿にとどまることを決める。

限られた空間で物語を最後まで展開する流れは、石持浅海(いしもちあさみ)作品の特長である。本作品ではその空間はアイルランドのスライゴーという場所にある宿である。他の石持作品と異なる点は、日本以外を舞台としている点と、その国の歴史的背景を物語に取り入れている点だろう。

実際、本作品では、アイルランドとグレートブリテン王国(いわゆるイギリス)の悲劇的な歴史について触れている。中途半端な位置にある国境の理由や、それぞれの宗教の違いについて理解を深めることになるだろう。

さて、本作品ではたまたま宿泊していた中にいた日本人、フジが事件の解決への大きな役を担う。今回も最後で読者の想像を見事に裏切ってくれる。

スライゴ
アイルランド共和国スライゴ州の州都。コノート地方においてはゴールウェイに次いで人口の大きな町である。(Wikipedia「スライゴ」)

ベルファスト合意
イギリス北アイルランドのベルファストで1998年4月10日にイギリスとアイルランド間で結ばれた和平合意。(Wikipedia「ベルファスト合意」

参考サイト
Wikipedia「アイルランド」

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オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
暴力団組員が連続して睡眠中に死亡する事件が連続して起こった。そこへ「ガネーシャ」と名乗る犯行声明が届く。一方、地下の暗闇では、記憶を失った女性が地下で暮らす数人のホームレスと出会う。

最近の注目の作家の一人、初野晴(はつのせい)の作品ということで迷わず手に取った。物語は、面子を保つために、ガネーシャという人間を見つけ出そうとする暴力団たちの様子と、地下でガネーシャと名乗った記憶をなくした女性が、そこに住むホームレスたちと徐々に心を通わせていく様子を同時に描いていく。

この2つの物語が同時期に起こっていることなのか、それともどちらかが過去でどちらかが現在なのか、など読み手にはわからない。ただ、ガネーシャという名前が共通するのみである。

そして、少しずつ人数が減っていく暴力団組員の中で、その幹部たちが過去に犯した大きな罪が少しずつ明らかになっていく。そして眠っている間に死んでいくという殺人の真相も。

地下で過ごすホームレスや、暴力団を扱っているという点でやや物語に入りにくいという印象は残念ながら最後まで拭えなかったが、初野晴(はつのせい)らしいというような独特の視点から物事を捉えた文章にもいくつか触れることができた。

死期を悟った野生動物は、じぶんの死体を必要とするもっとも適した場所、じぶんの命が継がれるであろう環境に、本能で移動していく...。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
人の未来が見えるという青年、圭史(けいし)。その周辺で起きる5つの物語である。

5つの物語はいずれも、いろいろなことに悩みながら生きている女性を描いている。そこで起こった不思議な出来事によってその生きかたを見つめなおすのである。印象的だったのは表題作の「6時間後に君は死ぬ」や同じ女性と、予言者圭史(けいし)を描いた「3時間後に君は死ぬ」ではない2作品「時の魔法使い」と「ドールハウスのダンサー」である。

「時の魔法使い」は、脚本家を目指して貧乏生活を続ける女性、未来(みく)が20年前の幼い自分と出会うというもの。幼い自分と一日一緒にすごすことで、自分の人生を、つまりそれは目の前にいる20年前の自分である女の子がこれから体験するであろう人生を、改めて考えるのである。そして、女の子と別れるときになって、今、園子に何かを伝えれば自分の過去、現在を変えられることに気付くのだ。

過去を変えたら、自分の心はどう変わってしまうのだろう。挫折を知らず、望む物が苦もなく手に入る人生を送っていたら、貧しい人々を見下すような人間になっていたのではないか。

そして、「ドールハウスのダンサー」。こちらはなぜか涙が溢れてきてしまった。真っ直ぐにプロのダンサーになるという夢を追いかけて生きる女性、美帆(みほ)を描く、そして夢をかなえられる人間はわずかであり、努力が必ずしも報われるものではないという現実さえも容赦なく見せてくれる。そんな中、美帆(みほ)の記憶の奥に眠ってデジャビュのように現れるドールハウス。その世界観がなんとも印象に残る。

上に挙げた2作品の他が、ややありきたりの物語となってしまった点だけが残念。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
勅使河原冴(てしがわらさえ)にはガーディアン、つまり守護者が憑いている。どうやらそれは死んだ父親らしい。だから怪我もしないし、誰かが冴(さえ)に対して悪意をもって攻撃しようとするとガーディアンはその悪意の大きさに応じた対応をしてくれる。

ガーディアンと、女性を主人公としていることから、過去の石持浅海作品とは若干異なる作品かもしれないと考えていたのだが、ガーディアンという不思議な存在以外は石持ワールド全快である。

ガーディアンは冴(さえ)の意識に関係なく、冴(さえ)に危害を加えようとした人に相応の報復をする。たとえそれが、冴(さえ)の友達だろうと関係なく。この非現実手はありながらも一貫したガーディアンの行動指針が物語に不思議な面白さを与えてくれる。

さて、物語では、同じプロジェクトに参加していた6人のうちの男性の1人が不自然に階段から落ちて死んだことにより、その人間関係が一変する。ある人は、ガーディアンの容赦ない仕打ちに、冴(さえ)から距離を取ることを選び、また冴(さえ)自身も、ガーディアンが、男を殺したということから、男が自分に殺意を持ったに違いないという結論に至り、人から殺意をもたれるほど憎まれた、という事実に悩む。

例のごとく、登場人物の何人かがやたらと洞察力、推理力に優れていたり、と突っ込みどころは満載なのだが、石本作品5作品目にして、その中毒性を改めて認識させてくれる作品である。「扉は閉ざされたまま」「セリヌンティウスの舟」など、タイトルの美しさもその魅力の一つだろうか。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
交渉人である遠野麻衣子の携帯に、シヴァと名乗る人物から、宗教団体の幹部を釈放するよう要求があった。時を同じくして都内で爆弾事件が発生する。

「交渉人」の続編であり、遠野麻衣子も前作で活躍したヒロインであり、前作の2年後を描いている。交渉人という言葉は、すでにその名を使った数多くのドラマや映画が存在していることからも分かるとおり、一般的なものとなっている。

そんな中、僕らが持っているイメージはおそらく、立てこもり犯などと電話で交渉する姿だろう。ところが本作品の「交渉」はメールと、警視庁のウェブサイトへのメッセージのアップロードという形を取っている。どちらかというと「交渉人」というより、優れた洞察力を持つ女性刑事の事件といった印象が強い。

物語では中盤、爆弾が仕掛けられているという情報をメディアが流したことによって、都内は逃げようとする人々でパニックになり、交通網は麻痺していく様子が描かれている。そこには物語の展開という以上に、日本の大都市の大規模なテロに対する備えに対する作者の危惧が見て取れるような気がする。

ただ個人的にはやや違和感を覚えた。たった一つの爆弾の存在だけで、人々は電車から勝手に降りようとするだろうか、と。物語に必要な展開だったから、と言ってしまえばそれまでだが。

ケチをつけられるところはいくつかあったが、物語の演出として受け入れられる程度のもの、五十嵐貴久のほかの作品と同様に、一気に読ませるそのスピード感は評価できる。

ちなみに本作品は米倉涼子主演のドラマ「交渉人」とはまったく関係がない。

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オススメ度 ★★★★☆ 4/5
Lisbeth SalanderはBlomkvistと距離を置くことを決めて海外に旅に出る。一方Blomkvistは、新たな2人のパートナーと共にスウェーデンの裏に広がる性売買の実態を暴こうと動き出す。

Stieg Larsson三部作の第二作である。前半は前作「The Girl Who has The Dragon Tatoo」の後のSalander、Blomkvistとその周辺の様子が描かれて、ややスピード感に懸ける部分があるが、3つの殺人事件を機に、Salanderが追われる身となって、物語は一気に加速する。

面白いのは、事件を巡って3つの方向から真相を究明しようとする動きがあることだろう。一つは警察であり、残りの2つは、Salanderの無実を信じる、Blomkvistと、Salanderの職場である、警備会社である。

一見ただの殺人事件に見えていたものが、次第にSalanderの過去と深く関わっていることが明らかになってくる。「All The Evil」と呼ばれた日、Salanderに何が起こったのか、すべての公式な記録から抹消されたその出来事。その結末はまたしても想像を超えてくれた。

また、凶暴な売春婦と一般的に忌み嫌われているSalanderを、わずかであるが信頼している数人の人間がいて、彼らが必死になってその無実を証明しようとする姿がなんとも温かい。特に、彼女の保護者であり理解者であったPalmgrenとチェスをするシーンなどでは、彼女の中の優しさのようなものも感じさせてくれる。

物語としては文句なし。個人的にはもう少しスウェーデン語やスウェーデンの地名を知っておいたほうが楽しめるだろう、と思った。

Presbyterianism
キリスト教プロテスタント教会の中で、カルビン派を崇拝する派のこと。

GRU
ロシア連邦軍における情報機関。参謀本部情報総局を略してGRUと呼ばれる。旧ソ連時代から存続している組織である。(Wikipedia「ロシア連邦軍参謀本部情報総局」

Minsk
ベラルーシ共和国の首都。

アスペルガー症候群
興味・関心やコミュニケーションについて特異であるものの、知的障害がみられない発達障害のことである。「知的障害がない自閉症」として扱われることも多いが、公的な文書においては、自閉症とは区分して取り扱われていることが多い。(Wikipedia「アスペルガー症候群」

★★★☆☆ 3/5

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