オススメ度 ★★★★★ 5/5
5年ぶり2回目の読了。真保裕一の作品の中で最も好きな作品である。暴力団幹部の恨みを買った坂口修二(さかぐちしゅうじ)はタイへと身を潜める。その後ベトナムへと場所を移し、日本へ行くことを夢を見る若者達と出会う。
日本を目指すというゆるぎない目標を持つ、ベトナムの若者達の言葉に、何度心を動かされたことだろう。ところが教育水準は低く彼等は日本の正確な位置も知らないのだ。
わずかな稼ぎではあるが男性はその腕力や体力を駆使してお金を稼ぐことができる。しかし、力もなく、満足な教育も受けていないベトナムの女性は、体を売る以外にまとまったお金を手に入れる手段は無い。
物語の過程でベトナムという国の実態を知る。そこは警察や公安さえも信用できない世の中で、日本に住む僕等には想像することさえ難しい世界、一体そんな社会の中で、困ったときに一体誰に助けを求めればいいのだろう。民主主義が機能した日本という国に生まれたことを安堵する自分がいる。
また、ベトナムの老人の言葉からはベトナムという国の歩んできた複雑な歴史が垣間見え、その歴史的背景にも興味を抱いた。
僕等は日本に生まれた幸福をほとんど意識せずに過ごしている。そして、この本を読まなければ、そんなこと一生考えずに生きられたのかもしれない。しかし、そうでなくてよかったと思う。なぜなら、僕は「経済大国に生まれただけの何の努力もしない人間」ではないのだから。
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masato (2007年7月31日 03:46) | コメント(1)オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
千里眼第2シリーズ第5作。氏神高校の体育館で爆発が起こった。そして爆発の後、生徒達は突然氏神高校国の設立を政府に向かって宣言する。
例によってやや現実離れしたストーリーである。学校という小さな面積と少ない人数で独立した国を作ろうとする生徒達の行動は、小さな国の成り立ちを見ているようだ。
インターネットを利用することで、土地が無くても頭脳で外貨を稼ぐことができ、国に役立つ情報や技術にはそれ相応の通貨を支払うなど、国民のモチベーションを上手く国へ還元させようとする。その一方で医療技術の進歩が遅れていれば、国民の生命を守るために、医療技術の進んだ他国に頼らざるを得ない。小国であるが故の長所と短所をこの題材の中でうまく表現している。
生徒達の知識が、高校生という設定にしては豊富すぎる印象もあるがこのへんの非現実感は千里眼シリーズだから描けるものなのだろう。そんな非現実なストーリーの中で発せられる疑問や台詞には現代の真実を的確に言い表したものもある。
どんなに学のない大人であっても、中学生や高校生と比較すれば多くの知識を持っているのは当然である。それであるがゆえにその行動が正しくなかったり子供にとって納得の行かないものであったとしても言い争えば大人が勝ったり上手くはぐらかすことができるものである。それだけの理由で、大人には「自分たちのほうが正しい」という思い込み、子供には「大人は話しても無駄」という思い込みが生まれ、双方の溝は深まっていく。
いつか大人の立場になったとき、子供達の間に、そんな不都合な溝の生じない関係をつくれる大人になりたいものだ。
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masato (2007年7月15日 22:48) | コメント(0)





