2004年6月アーカイブ

オススメ度 ★☆☆☆☆ 1/5
ホラーの夏も近付いてきた。鈴木光司の「リング」を初めて読んだときのような感覚を得たいと考えて手にとったこの本。残念ながら期待は裏切られた。

内容は「不幸の手紙」の発展版である「棒の手紙」が送られて来る話。同じ文面の手紙を5人に送らないと棒がやってくるというものだ。残念なのはこの話の中で非現実が存在しないかのように書かれていながら最終的にはそれが許されているという、はっきりしない世界で展開しているからである。

最初から、超能力などの非現実な力が認められているストーリーであればそのまま受け入れられるのだが、一生懸命犯人を探した挙げ句、最期はそう来るのか・・・と、残念である。言ってみれば金田一少年が密室殺人事件の謎が解けなくて悩んでいたら、実は犯人は山村貞子(リング)で、殺人の方法は「呪い」だった・・というぐらい違和感の残る作品であった。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
福井晴敏の本はいつだって強い意志も持ち主が出てくる。彼等が大好きだ。
「平和が決して無償で与えられる恩恵ではないことを知る必要が有る」そんなメッセージが胸に響く。日本という国に生まれた以上、知らず知らずのうちに「平和は当然」。そう感じてしまっているのだ。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
日本を代表する企業の人事課に勤める橋田。幼い頃から母親と兄から虐待を受けて来て、誰にも心を許すことの出来ない20才の女性、香折(かおり)。社長の姪ということで何不自由なく育てられた琉衣(るい)。

登場人物は嫌味なぐらい完璧な人が多い。中でも主人公である橋田は美男子であり、お金も地位も女も持っているのでなかなか共感しにくい。それでも橋田のような、わき目もふらず会社のために生きている生き方は、日本の社会の中では多いのかもしれない。会社の組織の上に行くにしたがって、同僚などを蹴落として行かなければならない現実は感じさせてくれた。

全体的には男1人女2人の三角関係を描いたストーリーなのだが、裏には深いのテーマがちりばめられている。生まれつき困難を背負う人のわずかな愛情と、暗然な立場にいる人の豊富な愛情では、後者の方が分があるかもしれないが、しかしそれがそのままその人の人間の価値と比例するとは言えるだろうか。僕の心に残ったのはそんな問いかけだ。

そしてラストは涙なしには読めないだろう。満足させてくれた内容ではあったが、「本の雑誌が選ぶ2003年度<文庫>第2位」という評価には少々首をひねらざるを得ない。

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