「模倣犯」宮部みゆき

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
2002年このミステリーがすごい!国内編第1位

映画化されたこともあり、宮部みゆきの名前を一気に世間に広めた作品でもある。少し大衆ウケを意識した感もあるが、それでも「これぞ宮部」という切れ味は健在。
誘拐された孫娘である古川鞠子を探す有馬義男が床に付いた足跡を見てふと思うシーン・・・鳥肌が立つ。

「奪取」真保裕一

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第10回山本周五郎賞受賞作品。第50回日本推理作家協会賞受賞作品。
真保裕一の本が好きなのは、物語を楽しむと同時に、幅広い知識が身に付くからだ。そういう意味でこの「奪取」はお金、特にお札に関する知識がたくさん付いた。ただ、物語よりもお札の印刷技術、そこに重点を置き過ぎた感が有るのが残念。僕の評価では真保裕一の作品の中ではあまり高いとは言えないが、「この本が一番」という友人もいるので、好き嫌いが別れる本なのかもしれない。
とりあえず偽札づくりの知識は付くかも知れないです。それと同時に偽札づくりなんて無理。そう思います。

「亡国のイージス」福井晴敏

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
第53回日本推理作家協会賞受賞作品。第2回大藪春彦賞受賞作品。
仙石恒史、宮津弘降、如月行、信念を持った3人の男達がイージス艦を舞台に絡み合う。宮津の息子が書いた作文が印象的だ。

ギリシャ神話に登場する。どんな攻撃も跳ね返す楯。それがイージスの語源だ。しかし現状ではイージス艦を始めとする自衛隊装備は防御する国家を失ってしまっている。亡国の楯だ。

今のままアメリカに守られているような国ではなく日本も戦える国であるべきだ、という主張が随所に散りばめられ、改めて考えさせられる。それと同時に、自衛隊の矛盾などについてもストーリーの中にうまく絡んでくる。なにより3人の男の生き方に感銘を受ける。

「青の炎」貴志祐介

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
「黒い家」「ISOLA」「天使の囀り」のような貴志祐介らしい(?)内容を期待したのだが、この作品は今までの作品とくらべるとずいぶん違う色の作品である。
この本を読んで改めて気付かされた。人はそれぞれ自分の気持ちを中心に生きていて、その中で少しづつ摩擦が生まれる。誰かを傷つけようなどとは誰も思っていなくても、人と人との間に生まれる誤解や嫉妬の中から犯罪は生まれ、そして犯罪に手を染めた人は、それを補うために犯罪を重ねる。そんなどうしようもない状況がこの世の中にはあるということ。

「千里眼」松岡圭祐

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
自衛隊から心理カウンセラーに転職した岬美由紀の物語の最初の一冊。とりあえずこの本を読むと心理学と自衛隊について興味が湧いて来る。また、この物語のクライマックスの舞台になっている東京湾観音も実在しているもので、いつか見に行きたいと思った。
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