「成功する人たちの企業術 はじめの一歩を踏み出そう」マイケル・E・ガーバー

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
20年間にわたってスモールビジネスを対象にした経営コンサルティング活動を行ってきた著者がその経験を生かして多くの起業家が陥りやすい謝った考え方をいくつかの例を交えて分かりやすく教えてくれる。
非常にいいと思うのは本書ではパイの店を開いたサラという人間に対してアドバイスする形で説明してくれる点だろう。祖母から教えてもらったパイの焼き方が非常においしくて、パイを焼くのが好きで、毎日好きな事をして過ごせると思って店を開いたサラ。しかし、実際にはやらなければならないことがあふれていて、ついにはパイを焼く事さえ嫌になってしまった。
一体何が問題なのかを著者は、人間を3つの人格に分けて説明する。起業家、マネージャー、職人である。この3つの人格がバランスよく機能しなければ会社は成長しないのだという。
全体を通じて印象的だったのはシステムの話。システム化、マニュアル化という言葉を聞くと、どこか冷淡で、仕事に誇りをもって取り組んでいる人のなかには毛嫌いする人もいるかもしれないが、本書がマクドナルドや、著者が偶然であったらすばらしい接客をしたホテルを例にとって書いている内容を読むと考え方が変わるだろう。
特に職人タイプの人は、自分の仕事を「自分にしかできない」として自らの価値を高めているのかもしれないが、その状態のままでは永遠に自分は現場を離れられず、永遠に忙しいままなのである。僕自身現在はまだ職人職が強い職業に就いているので、とても新鮮だった。
本書はなにもこれから起業しようとする人だけが読むべき本ではない。会社で働いている人間にも、マニュアル化やシステムの必要性が見えてくるだろう。もちろん起業家が読めば参考になるだろうが、企業に興味がない人でも、本書を読むと、自らが長年かけて育んだ技術を会社として機能させてみたいと思うのではないだろうか。
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