「アートディレクションの「型」」水口克夫

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
数々の有名広告を手がけた実績を持つ著者がアートディレクションの心がけを語る。
本書では「つくる」「かたる」「すすめる」と、大きく3つに分けてアートディレクションの「型」を語っているのが、印象的だったのは「つくる」の章。そんななかでも今後意識したいと重っったのは。

「?」と「!」をつくる

というもの。単純に綺麗なものをつくるだけでなく、見た人がまず「ん?」となり、そして、「あ、そういうことか!」となるような広告はいい広告だというのである。言われてみればそれほど驚くことではないかもしれないが、これを常に頭においてデザインができているかというと疑問である。
もうひとつが

捨てる

である。これもそこらじゅうで語られることであって、シンプルなものがもっともわかりやすく使いやすく、理解しやすい、と誰もが分かっていながらも、世の中には複雑なものが増えていってしまう。ある程度の経験を積んだデザイナーなら誰しもこの意識はもっているだろうが、本書で取り上げる実例を見るとその「捨て方」のバッサリ具合が徹底していて驚かされる。こちらもぜひ改めて意識したい。
残念ながら実例が20年以上前のものばかりで、リアルタイムに見た記憶のある広告が少なかった。本書のターゲット層はきっともっと下の世代であろうことを考えると、その違和感は他の読者にはもっと激しいのではないだろうか。
上でも語っているが、とりたてて新しいことを語っているわけではないので、多くのデザイン関連書籍の一冊として読むべきなのだろう。
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