「シャトゥーン ヒグマの森」増田俊也

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
大雪の中、小屋に孤立した動物件研究者たち。人間の味を覚えた巨大なヒグマがシャトゥーンが徘徊する。
タイトルから想像できるように、ヒグマが次々と襲ってくる物語である。ジョーズのヒグマ版とも言うべきか。そういう意味では読者の期待を裏切ることはないだろう。本作品の魅力はやはり人とヒグマとの格闘シーンと言うべきだろうか。といってもその多くは、四肢を引きちぎられ、目や鼻をもぎ取られるという、一方的に人間が惨殺されるというものなので、抵抗を持つ人もいるだろうが、ここまで描いた作品にあまり出会ったことがなかったので新鮮であり、同時に頭にこびりつくような恐怖感も植えつけてくれた。そのすべてがヒグマの習性に基づいて描かれているという点がただのホラーと異なりより恐怖を増幅させるのだろう。
描かれるのはそんなヒグマの恐ろしさだけでなく、シマフクロウやヤチネズミなどの野生動物にも触れ、多くの野生動物を減らしているのは人間の無知や、「自然を操作できる」という驕りのせいだと訴えてくれる。

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