「日本イラストレーション史」美術手帖

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
日本のイラストレーションの歴史を一気にまとめて見せてくれる。
そもそもイラストレーションの起こりとは何のか。著者は冒頭で語っているように、必ずしもイラストレーションにイラストレーション史が必要なわけではない。しかし、知っていて損するものでもないし、知ることによって知識も視野も広がるのである。
本書に登場する数々のイラストレーターたちは正直なところほとんど知らない名前ばかりだったが、その作品はどこかで見たようなものばかり。そうやって心に刷り込まれていることが、彼らがイラストレーションのを日本に根付かせるために大きな役割を担ってきた証拠と言えるだろう。
「スーパーリアル」「ヘタうま」など大きくカテゴリ分けするとともにその関連作品を紹介し、同時に11人のアーティストの経歴を紹介する。印象的だったのは、エアブラシを使って時代を作った山口はるみ、スーパーリアルの滝野晴夫(たきのはるお)、カールおじさんで有名なひこねのりお、そしてスイカペンギンの坂崎千春(さかざきちはる)だろうか。
とてもすべての作品とイラストレーターの名は心に刻みこめないが、この4人はしっかり覚えておきたい。誰でもきっと一度はその作品を目にしたことがあるだろう。
しかし、考えうる表現がすでに出尽くしたと思われるイラストレーションは今後どこへ向かうのだろう。

ひこねのりお
日本のアニメーター、イラストレーターである。東京都生まれ、東京芸術大学美術学部工芸科卒業。東宝映画、東映動画、虫プロダクションを経て1966年にフリーとなり、自身の「ひこねスタジオ」を興す。TVアニメ、TVコマーシャル等のアニメーターとして仕事のほか、キャラクターデザインも数多く手がけ広告などマルチメディアに使用されている。(Wikipedia「ひこねのりお」