「極夜行」角幡唯介


オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
北極などの極地では、太陽が昇らず、月も昇らない「極夜」という暗黒に包まれた時期がある。本書はそんな「極夜」に魅了された著者の80日にわたる極夜旅行の記録である。

地球は丸く地域によって、日の長さにが異なることは常識とし知っているが、それでも赤道付近は暑く、北欧の白夜程度というものが存在する、という程度までだろう。人の住まない、北極や南極がどのような様子かまでは今までまったく意識してこなかったということに、本書を読んで気づかされた。

北極点とは半年が極夜で半年が太陽の沈まない白夜、つまり日の出と日の入りが年に一度づずしかない極端な場所のことである。

著者は、犬を連れてグリーンランドのシオラパルクを出発し、事前に食料や燃料を貯蔵しておいた場所を経由しながら極夜旅行を続ける。そんななかシロクマによって食料が荒らされていたり、ブリザードにあったりと予想外の困難に出会いながらも、狼やウサギを狩ったりしながら一つずつ乗り越えていく様子が面白い。

写真がもう少し添付されているとありがたいと思ったが、考えてみれば極夜だから写真を撮るのは難しいのだろう。人生においてまず見ることのないだろう世界を垣間見せてくれた。

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