「わたし、定時で帰ります。」朱野帰子

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
定時に帰ると心に決めた、女性社員東山結衣(ひがしやまゆい)が残業が常態化している組織のなかで悪戦苦闘する様子を描く。

まず、このようなタイトルの本が世の中に出ることが、大きな時代の変化だと思う。そんな背景もあって本書に興味を持ったのかもしれない。

定時に帰ると決めて、時間内の生産性をあげようと努める結衣(ゆい)に、残業なしでは間に合うはずのないプロジェクトや、残業することで頑張っているとみられたい社員など、実際の組織のなかで見覚えのある多くの困難が襲いかかる。

正直もう少し単純で薄い物語を想像していたが、「仕事の時間の長さよりも、生産性が大事」と言う人間が、気がついたら、部下を守る為だったり、自分が無責任に見られないだったりと、気がついたら自らも残業の嵐にひたってしまう様子が本当にうまく描かれている。著者は実際の、IT企業を体験しているかかなりの下調べをしたのだと感じた。

24時間戦えるバブル期の会社のイメージが大きく変わっている現代において、その変化を物語に落とし込んだ一冊。一読の価値ありである。

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投稿者: masatos7

都内でUI / UXデザイナー。ロゴデザイナーをしています。

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