「本日はお日柄もよく」原田マハ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
友人の結婚式でスピーチライター久遠久美(くおんくみ)のスピーチに感動したOLの二宮こと葉は、別の友人の結婚式のスピーチのために指導をお願いする。そしてそれをきっかけにスピーチライターの道に進むことになる。
スピーチライターという仕事について扱った物語。そもそもスピーチライターという言葉をどれほどの人が知っているだろうか。おそらくアメリカのオバマ大統領の大統領選を機にその言葉を知った人も多いだろう。まだまだ日本はアメリカと比べてスピーチに対する意識も低いようだが、そんな意識を変えてくれる一冊。
本書は、都内で働く一般的なOLの二宮こと葉が、感動的なスピーチに出会い、少しずつスピーチライターの仕事にのめりこんでいく様子を描いている。こと葉の幼なじみの厚志(あつし)が選挙戦へ出馬することから、こと葉のスピーチライターとしての仕事は、少しずつ日本を動かす仕事になっていくのだ。こと葉、厚志(あつし)、久遠久美(くおんくみ)は周囲の人の協力に支えられながら困難を乗り越えて行くのである。
久遠久美(くおんくみ)が困難にくじけそうになること葉に伝えた言葉が素敵だ。

困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、想像してみるといい。三時間後の君、涙がとまっている、二十四時間後の君、涙は乾いている。二日後の君、顔を上げている。三日後の君、歩き出している。

キュレーターでもある著者原田マハゆえに、その物語の視点は新鮮である。本書のなかで描かれるスピーチはどれも感動的で、自分の語る言葉の一つ一つを見直したくなる。最近原田マハはお気に入りの作家になっているが、本書でも改めてそう思った。
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