「いつかX橋で」熊谷達也

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
空襲で母と妹を失った裕輔(ゆうすけ)は、靴磨きから生活を再開する。そこで彰太(しょうた)という同年代の青年と出会い意気投合する。戦後の混乱のなか生き抜く若者2人を描く。
戦後を扱った物語となると、その舞台は都心か、もしくは原爆の投下された広島、長崎になることが多いが、本作品は仙台を舞台としている。そもそも仙台に空襲はあったのか、そんなことも知らなかった僕にはその舞台設定が新鮮に感じた。
そして、そんな時代のなかでも堅実に生きようとする裕輔(ゆうすけ)と、そんな混乱の中だからこそ成り上がろうとする彰太(しょうた)や、アメリカ人に体を売ることで食いつなぐ淑子(よしこ)など、時代は違えどそれぞれの生き方に個性を感じる。
裕輔(ゆうすけ)と彰太(しょうた)は「X橋のうえに虹をかける」を合言葉に別々の道を歩むことを決めるが、さらなる困難が2人の行方を阻む。
現代の恵まれたなかで安穏と生きる僕らにはいい刺激になるのではないだろうか。
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