開演してすぐに思ったのは、「『オズの魔法使い』を復習しておくべきだったかも、ということだ。もちろん有名な物語だからいろいろな場面が記憶には残っている。例えば、オズの魔法使いが実はただの人間であることや、ドロシーが竜巻で飛ばされてオズにやってきて、最後は履いていた靴の魔法で故郷に帰ること。悪い魔女がバケツの水をかけられて死んでしまうことなどである。ただ、それでも観劇中に「あ、そんなエピソードあったな〜」というふうに思い出すこともいくつかあったということだ。もしこれから観にいこうと考えている人がいるならぜひその前にもう一度「オズの魔法使い」を読むことを勧める。
さて、もちろんネタバレするようなことは書かないとして、劇自体にも触れておくと、いくつかあるエルファバのシーンはすごく良かった。特に休憩間際の中盤の山場は圧巻。その歌声が強烈だったから、初めて出演者のリストをもらってきた。せっかくだから載せておく。
ちなみに、前回ライオンキング観劇後に、「物語重視の作品より、音楽と踊り重視の作品の方が好きだ」と書いたが、前言撤回。本作品は物語抜きには語れない。もちろん演出もよかったが、その悲しい物語に涙が溢れ出て来た。この辺は言葉でいくら説明しても足りるものではないので、僕にできるのは、ぜひ足を運んでくれるように言うだけである。
ちなみに、休憩時間にスタッフに閉演時間を尋ねる人や、クライマックスに席を立って出て行くグループがわずかながら見られた。おそらく遠方から上京して観劇しに来た人が交通機関の都合でやむなく去ったのだと思う。こういうとき自分があらゆる芸術にアクセスしやすい、先進国の首都である東京周辺に住んでいることの幸運を感じるのである。
それにしてもいつからだろう。悪が悪でなくなったのは。ギリシア神話の中で人々の恐怖の対象であるメデューサが実は、アテナの怒りを買って髪を蛇に変えられてしまった美しく可哀想な少女であったように…、一寸法師に登場する鬼が、実はその容姿から村人に忌み嫌われた外国人であったように…、幼いころは簡単に、「この人は善人」「この人は悪人」って決められたのが、大人になるにつれて簡単に割り切れなくなっていくのだ。
まあ、なにはともあれ、ウィキッド最高。高いハードルを見事に超えてくれた。



