6月に読んだ本「モビィ・ドール」に触発されてドルフィンウォッチングに行きたくなり、ほぼそのままの勢いでその舞台となった御蔵島に宿泊予約。そして今週ついに行ってきた。
仕事場からそのまま竹芝桟橋ヘ行き22時半出航。御蔵島には翌朝6時到着予定。第一の問題として船の中でしっかり睡眠がとれるのか?というのがあったのだが同様に睡眠を重視して他の客も二等和室をとるせいか二等座席は全体の5%にも満たない乗船率。だからみんな勝手に空いている三列シートのひじ掛けを立ててベッドがわりにして100円でレンタルできる毛布を被って寝ていた。スタッフもなにも言わないところを見るとどうやら暗黙の了解らしい。
2008.9.3
翌朝6時、ほぼ定刻通り御蔵島に到着。宿に案内されて自分の部屋が空くまで休憩室でウトウト。7時半をまわると途端に慌ただしくなる。どうやらドルフィンウォッチングの午前の部が出発するらしい。同じ船でやってきた5人中僕を除いた4人全員がいきなり準備を始めるから驚いた。乗り物酔いのしやすい体質の僕は船旅で眠れたんだか眠れてないんだかの状態であろうことを予想して午前は周辺の探検と睡眠に専念。
さて午後2時にようやく初ドルフィンウォッチング。船で島を一周しながらイルカを探す。すぐに思っていたほど優雅なエンターテイメントでないことに気付く。
船長が「はい、そこにいまーす。入っていいよ〜」というなり僕らは飛び込んでイルカの群れに向かって全速力で泳ぐ。もちろんイルカ達が僕らに気付いて周囲を何度も廻ってくれることもあるが、一瞬で通り過ぎていってしまうことも多い。そしてイルカがいなくなったら船に戻ってまたイルカを船から探す。これを2時間のあいだに何度も繰り返す。そう、実は過酷なスポーツなのだ。
そして自分は1時間ほど経過したところで早くも波酔いが・・同じようにドルフィンウォッチングの船と何度かすれ違ったが、よくみるとその甲板には寝そべっている女性の姿が。隣の船が1メートルも上に見えるような波だったから。一般人(自分は一般人以下)が酔うのも不思議ではない。聞けばご一緒した大学生ぐらいの女の子たちも前日来島してドルフィンウォッチングに行ったら、酔って全然楽しめなかったという。これから御蔵島に来る人には初日のドルフィンウォッチングは外すことを勧める。
そんなわけでいまいち楽しめなかった一本目のドルフィンウォッチングだが例によって夕方は夕日を、夜は星空を満喫。
午後は二度目のドルフィンウォッチング。前日の3名とはうってかわって8名+スタッフ2名の10名という大所帯で、各自いい写真を撮ろうとイルカのまわりに群がるからこれぞまさに水中の格闘技。フィンで蹴られるのはもはや当たり前。からかうように旋回するイルカ達に着いていこうと人間もまた急激な方向転換を試みるから人同士もたびたび衝突。それでもこの日は体調万全で挑んだため波酔いに苦しめられることもなく、いい写真がたくさん撮れた。波酔いがないとなんて楽しいんだろう。
で、その人達が言うには9月のイルカは夏季のドルフィンウォッチングで人に慣れすぎてしまって、あまり人間の相手をしてくれないらしい。一方でゴールデンウィークに来ると、久しぶりに人間に会えてどんどん寄ってくるのだとか。ただもちろん5月は寒いからウェットスーツ必須だとか。
またこんなことも話した。リーダー格の男性も2回に1回は波酔いする体質らしいが彼は言う。
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「俺も一時期つらくて辞めようかと思った時期あるけどやっぱりイルカに出会っちゃったら辞められないよね」
同感。それに慣れてくればさっさと喉に指つっこんで吐けばあるていど楽になるし・・・という点でも意見が一致。ダイビングの楽しさを知りながらも波酔いが原因で辞めてしまう人も多いが、何事にも多少の障害はあるもの。それを前向きに捕らえられるかどうかで人生楽しめるかいなかが決まるのだろう。
「いやいや、ここが標高100mだとすると、展望台は400メートルはあんだ・・・」
「ううう・・・・おねがいしまーす」
冷静な判断と妥協は常に隣り合わせ。
車中「御蔵に来てくれてありがとな〜」と言ってひたすら話続けるおじさん。少し方言の入ったその言葉に、とりあえずうなずいてはみたものの、実はほとんど理解できなかった・・・。
そんなわわけで楽して、展望台へ到着。しかし、思ったほど風景はよろしくなかった。そこから1時間20分ほどかけて集落に歩いて帰ることとなる。
そして午後はラストのドルフィンウォッチング。直前に降った雨のせいか水の透明度が低く、波も高い。最初はいい写真が撮れそうにない予感もしたが、日の当たる側に移動してからはある程度の深さまで見えるようになった。途中、激突しそうなほど僕に近づいて来て僕の周りを一周してくれたイルカの親子。あとで撮った写真に写っているイルカの模様と宿に備え付けてある個体識別図を見比べたところ「けつしゃくれ」という名のメスの若者らしいことがわかった。おそらくどこの宿にもそのファイルがおいてあるのだろう。どのイルカにどんな特徴があるか、例えば、ひれに2つ傷がついている、とか、背中にサメにかじられた跡がある、とか。撮った写真と見比べてみるとまた違った楽しみ方ができるだろう。
夕方は例によって海に向かっているベンチに座って夕日を楽しむ。スタッフいわく、最近は雲がかかっていて夕日が沈むまで観れないのだそうだ。それでも、きれいな色の空が撮れた。遠く見えるは三宅島。
ちなみに、桟橋にいる人たちは僕と同じように夕日を楽しんでいるものだと思っていたのだが、どうやら波間にときどき顔を出すイルカ達の写真を撮っているようだ。見晴台からでもときどきイルカの尾ひれが見えた。
ちなみに昨年座間味に行ったときも思ったが一人旅は夜が長い。例によって何冊か本を持ち込んではいるが、旅先にまで来て普段と同じように部屋で読書なんてのもなんかいやなので、外に出て、また新たに星座をいくつか覚えてしまった。ちなみにStella Theaterの携帯サイトは星空の下で現在地と時間から今見える星座を調べるのに重宝した。
今回の旅で自分に合格点をあげたいのは、言葉を交わした他の旅行者達との最初のきっかけをすべて自分から作ったこと。
お昼どこいったんですか?
どこか面白い場所ありました?
他の場所にもよく潜るんですか?
そのカメラで結構撮れるもんですか?
普段もダイビングする人ですか?
カツ丼食べてきました。
今日は西に向かって歩きました。
いやー御蔵以外は行かないんだよね〜
撮れますよ〜見ますか?
ライセンスはあるけどまだ10本ぐらいしか潜ったことないんですよ〜
うん、すばらしい。きっとまた少し成長したぞ。俺。
一応ドルフィンウォッチングにも触れておくと、今回僕は、最後までウェットスーツを着なかった。9月の頭というもっとも水温の高い時期だけにできたことかもしれないが、他の参加者の中にはウェットスーツを着ていても寒がっていた人もいた。この辺は好みによるかもしれない。ウェットスーツを着ると浮力が増して潜りにくくなるからウェイトの装着が必須のようだ。ただ、イルカの写真を撮る場合、フラッシュは禁止されているためどうしても綺麗な写真を撮るには太陽光を当てにせざるを得ない。そのため、写真を撮るなら自然と水面付近のイルカを狙うことになり、結局深く潜る必要もないということになる。
最後は旅館の人などに見送られて御蔵島をあとにする。きっとまた来るさ。都内にあるイルカの楽園。



