芸術の秋だからというわけではないのだが、スポーツクラブが何故か休館日だったのでフィラデルフィア美術館展に行ってきた。
写実主義、印象派、の18世紀前半コローやピサロから19世紀前半のキリコやマグリットまで画集やインターネットなどで見慣れた画家達の作品が勢ぞろいしていた。例によってアートと名のつくものは言葉にしようとすればするほど陳腐になるだけなのだが、個人的な記録の意味も含めて、いろいろ思ったことを書いてみる。
全体的にリアルな人物画を描く画家が少なかったので、というのもモディリアーニの描く人物は例によって面長で白目を向いているし、マティスやルオーの人物画もどちらかというと人間離れしている。ピカソやレジェのそれはもはや人間ではない。というわけで、ルノワールの人物画は今回の展覧会自体が目玉として推しているだけあって、常に大勢の人に囲まれていて、個人的にも赤味を帯びた皮膚のルノワールの人物画は魅力的だと思う。
当然これだけたくさんの画家の作品が集まっていれば好き嫌い分かれるもので、フォーヴィズムと言われて原色を多用するマティスの絵のよさなど自分には特に理解できない。ただその一方で、同様に色を多用するシャガールを自分が好むことにふと気付く。結局、芸術的感性は言葉では説明できないということか。
さて、普段、本や画集やインターネットで見ている分、展覧会に足を運ぶ際は、その実物の大きなキャンバスの迫力に触れたいという期待は高まり、その一方で実際見てみたら驚くほど小さかったなどと失望することもよくあるのだが、今回は幸いにもそれはなかった。特にキリコの「占い師の報酬(The Soothsayer's Recompense.)」やルソーのお得意のジャングル「陽気など道化たち」は画集などでは大した絵に見えないのだが、実物の大きなキャンバスを前にするとその迫力と雰囲気に飲み込まれるだろう。
日本人はゴッホとモネが好き。とはよく言われることだが、人の流れを見ていると本当に顕著に好みが分かれる。実は僕はゴッホもモネもあまり好みではない。とはいえ個人的に割と好みであるルオーやカンディンスキーの周囲が閑散としているのはじっくり見れるという面では嬉しいが、少し悲しくもある。
巡回ルートの最終セクトは「アメリカ美術」。ここにきてようやく自分がアメリカ美術をほとんど知らないことに気付く。せいぜいポロックとアンディ・ウォーホルぐらいだろうか。そもそもあまり画家の出身地など意識してこなかったのだが、せっかくだからこれを期に少し目を向けてみよう。また違った側面で面白さが見出せるかもしれない。
さて、11時前には一通り見終わって、もう一度最初から気に入ったものだけ見直そう、と自分にとっては御馴染みの儀式に移ろうとして入り口付近に戻ると、そこはすでに身動きの出来ないほどの人、人、人。実は国立新美術館のフェルメールへとはしごしようと思っていたのだが、人の多さにまいって断念。やはり展覧会は平日行くに限る。
とりあえず出口付近で、親孝行した気になるために、モディリアーニとルノワールのミニフレームを各1個ずつお土産に購入。この文章を書いている時点ですでに自宅のリビングに飾られている。
とりあえず、フィラデルフィア美術館展、当日券1500円。お得と言っていいだろう。
投稿者 masato : 2007年10月21日 14:01


