2006年08月23日

僕の左足

胡坐(あぐら)をかくたびに少しの違和感を覚える。そしてそのたびに毎回思い出す。気が付けばもう3年半も前の話である。

あれは1月の中旬。気温は凍えるほど寒く心は熱かったサッカーの試合中の出来事。相手選手との接触で左足の「ボキッ」という悲鳴とともに地面に倒れこんだ。音ですぐに「折れた」ことは分かったので、片足でグランドの外へ出て自分で救急車を呼んで病院に運ばれ、改めて「骨折」という診断を受けた。程なく実家近くの病院に移り、一週間ほど入院して手術をすることとなった。骨折自体はそれで3回目の経験だったがメスを入れるほどの手術が必要だったのはそのときが初めてだった。

そして手術の日が訪れる。ストレッチャーに乗せられて手術台まで運ばれ、まずは下半身麻酔から始まる。痛くないために麻酔をするのだが、その麻酔自体が結構痛かった。

5分ほどしてようやく下半身の感覚が少し薄れてきたような感じを覚えた。僕より明らかに若い担当医師は僕の足の先を軽くつねって聞いてきた。

「どうです?痛いですか?」

普通につねられている感覚があったので僕は答えた。

「はい、痛いです。」

また5分ほど待って同じように担当医師は僕の足の先をつねって聞いてきた。

「どうです?痛いですか?」

先ほどと変わらずにつねられている感覚があったので僕はまた同様に答えた。

「はい、痛いです。」

しばらく担当医師は沈黙していたが、やがて僕に優しそうな微笑みを向けながら言った。

「それでは今から手術を始めますね」

(つねる意味ねーじゃん!)

心の中ではそう思いながらも、もはや「まな板の鯉」状態。逆らうことも反論することもできない。流れに身を任せるだけである。ふと小学校1年生のときに足を縫ったとき(これもサッカーが原因)のことを思い出す。「そういえばあのときもやたら痛かったっけ・・ひょっとして自分は麻酔の効きにくい体質なのでは・・・」

そして手術が始る。案の定、メスが足に入る感覚、皮膚を切り裂く感覚がリアルに痛みとして伝わってくる。10分ほどして耐え切れなくなって近くに待機していた女性の看護師に訴えた。

「すいません、普通に痛いんですけど・・」

その看護師は聞き返す。

「我慢できない痛さですか?」

(その質問で返すのは反則だろう!)

そう思いながらも男としてそう聞かれたらどうしようもない。

「わかりました。我慢します。」

そんなわけでしばらく痛みと戦い続けていたのだが、手術後半は点滴からの麻酔が効いてきたせいか幸せなことに眠りに落ちることができた。とはいえ手術自体には痛い思い出しかない。

そんな痛い思い出しかなかったせいで、手術時に骨を補強する目的で入れられた金属プレートをはずす手術はいまだに行っていない。今も僕の左足には長さ10センチほどのプレートがおさまっていて、足首を触ればその存在は明らかである。そして、左足の足首を下に向けて座ると丁度その部分が床に当たって少しの違和感を覚えるのである。

そう、僕の左足には思い出が奇妙な形でおさまっているのである。そしてこれからも胡坐(あぐら)をかくたびに思い出すことだろう。

※ちなみに今回のタイトルは昔好きだったブルーハーツの曲「僕の右手」に引っ掛けている。

投稿者 masato : 2006年08月23日 11:43
コメント

金属のプレートは錆びたりしないのかな・・・?

Posted by: K.S.K. : 2006年08月31日 00:44

骨折手術に用いられる金属プレートは2002,2003年あたりを境に、チタンが使用されるようになったようです。
「錆びないか」という疑問なんですが、チタンの特徴としてはあくまでも「錆びにくい」という表現を用いていて、決して「錆びない」わけではないみたいですね。

Posted by: masato : 2006年08月31日 08:05

だよね・・・やっぱり取ってもらった方がいいよ。そのせいで、人体に何らかのよくない影響が出てるんじゃないかな・・・。

Posted by: K.S.K. : 2006年09月01日 23:56

「錆びる」というのは金属と酸素との化学反応の結果です。
体内においては血液中に酸素が取り込まれて循環するので問題ないようです。

>人体に何らかのよくない影響が出てるんじゃないかな・・・。

とりあえず根拠のない推測はあまり好きではないので、
生体用金属材料について記述されているサイトを見つけたので参考にしてください。

http://biorc.mech.kyushu-u.ac.jp/cdc/H14L-8/index.html

正直読んでもよくわかりませんね。

まぁ、人体への金属の悪影響を心配し始めたら
虫歯の治療でも金属を詰められているし、
体内の金属だけが悪影響を及ぼすわけでもないでしょうからキリがないですね。
医者を信じておいて問題ないんじゃないですかね。

Posted by: masato : 2006年09月02日 16:04
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