2005年04月27日

小さな偶然

つい先ほどの会社帰りの話である。23時5分渋谷発の田園都市線のほぼ中央。正確に何両目かはわからないがこの位置が溝の口の階段の前であることを僕は知っている。発車間際の人の波に押されて少し揺られて位置が定まると、例によって本を読みはじめる。時間の違いこそあれ、いつもと変わらない日常である。

20分程揺られて、そろそろ溝の口が近いことを知らせる車内アナウンスが流れる。本から視線をはずして周囲を見る。やはり疲れが顔に溢れている人が多い。僕の左隣の女性も僕と同じように本を読んでいた。歳は20代後半、女性らしい赤い革のブックカバーをつけた本に集中している。「何をそんなに熱心に読んでいるのだろう?」そう思って、今でも1.5以上はある視力を活かす。彼女の読んでいる本は「海辺のカフカ(上)」の146ページ。主人公のカフカが着ているTシャツに血が付いていることに気付くシーンだ。それは偶然にも僕が読んでいた本と同じ。さらにページまで全く同じだった。

この奇妙な偶然に気付いているのはもちろんその車両で僕一人。彼女は身長差があるので僕の持っている本は見えない。この偶然を僕一人で楽しむのは勿体無い。

彼女の本の横に僕の開いている本を差し出して、「ページまで同じなんて奇遇ですね」と一言。そんなことを一瞬考えもしたが、やはりキャラクター的に無理だ。怪しさを感じさせずにそんなことができる人間になりたいものだ。

彼女にこの偶然を教えてあげたかった。アパートへの帰り道、少し悔やんだ。

投稿者 masato : 2005年04月27日 00:43
コメント

おぉ、それはすごい、偶然だねぇ!
ちなみに、私も「海辺のカフカ(上)」読んでるところです。まだ読み始めだけど、面白そうな予感。

それが言いたかっただけでした^^;

Posted by: amikoro : 2005年04月28日 00:41

お、それは奇遇だね。
文庫化を待って本を読む人って結構いるみたいだね。
しかも自分は古本屋で買いました(笑)

Posted by: masato : 2005年05月01日 10:58

自分も古本屋。でも、本はハードカバー。特に意味は無いけど、文庫本ってほとんど買わない・・・。なんでだろう・・・。

Posted by: K.S.K. : 2005年05月03日 07:22

電車に乗って読まないからじゃない?
持ち運ぶにはハードカバーは厳しいしね。

Posted by: masato : 2005年05月11日 13:06
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