2004年11月26日

怒りを知れ

とある日の朝、駅へ向かうときの話である。

その男は5メートル程前を歩いている。身長は僕とあまり変わらない、つまり175cmぐらいだろう。スーツを着て右手には通勤カバンを持ち、左手の人差し指と中指でたばこを挟んでいる。年齢は30代前半ぐらいだろうか、歩くスピードは標準よりは速い方だが、僕の歩くスピードに比べたら遅い。

前から女性が歩いて来た。反対方向に向かうどこかのOLらしい、男はすれ違う瞬間にたばこの火を内側に向けた。とりあえず周囲に気をつかって「歩きたばこ」をしているつもりらしい。僕は試しに男の左側から抜きにかかる。1メートル程まで近付いたが、気付いた様子はない。もちろんたばこの火を内側に向けるはずなどない、近くに車通りの激しい道があって騒がしいので無理はない。

どういうつもりなのだろうか・・
自分が誰よりも歩くのが速いとでも思っているのだろうか・・・それとも「このたばこの火が見えるだろう?火傷したくなかったらよけて行きな」男の頭の中にある考えはこんな開き直りだろうか。だとしても、男がたばこを吸う瞬間、後ろからはたばこを持っている左手は男の顔で死角になって見えない、タイミングが悪ければたばこを吸っている事にも気付かないし、避けようがないのである。

−−−−−

再度、タイミングを見計らって男の左側から抜きにかかる。たばこを吸い終わった男の左手が下がってくる。カバンを持った僕の無防備な右手の甲に擦れる。予期していても反射というものは起きるものだ。熱さを感じた瞬間にはカバンは手から離れていた。カバンが落ちた事でようやく男も気付いたが、なにが起きたかはわかっていないようだ。僕は、おそらく火傷したであろう右手の甲を男に向けてその部分を左手で指差す。火傷の後が見えなくても、なにが起きたかは予想がついたのだろう。「あ、すいません」ようやく謝った男の鼻に、最初から用意されていたシナリオ通り、僕の右手の裏拳がめりこむ。男は防御するヒマもない。

男は苦痛に顔をゆがめて、鼻を抑えながら僕をにらむが、少しは罪の意識があるらしく、やり返す気はないようだ。僕は何も言わずに再び駅へ向かって歩き出す。

−−−−−

たまにこんな衝動と僕は戦っている。もちろんこの衝動に負けた事はない。1人の男のマナーを正しても世の中の「歩きたばこ」は減らないし、それに費やす自分のエネルギーも勿体無いからである。それなら、何をすれば変わるのか?そうだ、ここに書いてみよう。少しは効果があるかもしれない。「怒りを知れ」と。

投稿者 masato : 2004年11月26日 12:28 | トラックバック(0)
コメント

ここに書いて効果があるかどうかは別にして、フィクションでも読んでいて爽快だった。
1度やってみたい・・・とは思わないが、怖いお兄さんにタバコの火をつけてボコボコにされてる誰かさんを見てみたい。
心の中で「ざまあみろ」と言ってあげたい♪

Posted by: けぺ : 2004年11月26日 21:46

お〜見てみたい見てみたい!

カバンにたばこの火を擦り付けられて事ならあるんだけどね・・
さすがにそのときは相手を殴りはしなかったけど。

Posted by: masato : 2004年11月26日 22:09

自分は愛煙家ですが、歩きタバコはしません。タバコは喫煙所で吸うし・・・。一応マナーというものを気にしながら楽しんでいると思っています。
通勤でバイクを使っているが、よく車の中から手を出してその手にはタバコ・・・吸い終わると外へ・・・。なんて光景はしょっちゅう。特にタクシー。こういうのを見ると過剰な禁煙ブームもうなずけてしまう・・・。

自分にとっては悲しいけど、仕方ないなと・・・。

Posted by: チィ・チャン : 2004年11月28日 03:54
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