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オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
海岸近くの公園で、とあるグループのリーダー秋葉辰雄(あきばたつお)と能見亮司(のうみりょうじ)は銃撃を受けた。秋葉(あきば)は死に、能見亮司(のうみりょうじ)は下半身不随となった。それから5年後、再び能見亮司が現れた。公安、警察が能見の行動の監視を始める

車椅子の障害者を主人公とするところに新鮮味を感じた。物語の本筋ではないが、障害者でも運転できるように改造した車や、排泄についての記述は多少の驚きを与えてくれた。そして、能見(のうみ)を監視する、公安や刑事の動きの中からもまた、警察という組織の複雑さや、そこに従事する者の心の葛藤を垣間見せてくれる。

物語は、能見(のうみ)を中心に進行し、視点や心情描写は能見(のうみ)を監視する公安や刑事、そしてその関係者の間を何度も移動しながらも、主人公である能見(のうみ)自身の心情表現は乏しく、それが物語全体を不思議な空気に包んでいくのであろう。

そして、物語は中盤に差し掛かったあたりで大きく動き出し、最終的に能見(のうみ)は大きな事件を起こすことでその心の中を僕に明らかにしてくれた。僕にとって能見の生き方は到底受け入れられるものではないが、世の中にはいろんな人がいて、その中には家族に恵まれなかった人も多々いるであろう。社会や法律が許す生き方では、信念を曲げないわけには行かない人もいるのだろう。そう考えるとこんな生き方もありなのかなと、少し思った。芯の通った生き方はたとえそれがどんなに社会や法律から外れた生き方であっても理解しようと努めたいものだ。

全体を通じては、やや物語りに入り込みにくい印象を受けた。登場人物の相関関係を理解するまでに多少時間を要することは、物語を読む上ではよくあることだが、この物語ではそのための時間が特に多く必要だった。前半部分は特に大きな展開もなく淡々と話が進んだのも物語に入り込みにくかった一つの理由と言えるだろう。ただ、それでも最後は泣ける。

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