たかむらかおるの最近のブログ記事

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
競馬仲間として知り合った男たち5人はある日、企業を脅して大金を得ることを思いつく。お金の使い道も、目的もなく。

久しぶりの高村薫作品である。競馬場通いの男たちが、明確な目的もなく企画したビール会社相手の誘拐恐喝事件。面白いのは、犯人たちの誰一人として、お金が必要な切迫した理由があったわけでもなく、ただ退屈な毎日とすでにこの先にもなんの期待も持てない自分の人生を悟った上で「なんとなく」と犯罪に走ってしまったことだろう。

一方で誘拐されたビール会社社長の城山(しろやま)の、社会における企業の立場、社内における自分の立場。企業の利益を優先するがゆえに警察に嘘の証言をしなければならない葛藤や罪の意識なども見所である。

そして、「マークスの山」や「照柿」など、高村作品にはおなじみの刑事。合田刑事も本作品で重要な役どころを演じている。

さて、これは高村作品においてはどの作品にも共通した世界観と言えるかもしれないが、思い通りにならない世の中、そして、それでも生きていかなければならないむなしさ。そんな空気が作品全体に漂っている。犯人の追跡劇や、優れた刑事の推理劇に焦点をあてたよくある警察物語とは大きく一線を画しているといえるだろう。

一方で、決してスピーディではない本作品の展開は読者によって好みの分かれるところである。僕自身も、この展開で3冊ものページ数を費やすのはやや受け入れがたいものがあった。

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オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
昔極道に手を染めながらも今は真面目に働く野田達夫(のだたつお)、難航するホステス殺人事件に関わる刑事・合田雄一郎(ごうだゆういちろう)。幼馴染である2人は1人の女性を接点として18年ぶりに再会する。

心情描写や情景描写の細かい高村薫。その描写の細かさは本作品でも健在である。人は常に何かを考えている。一度にいくつものことを考え、その多くは頭の中で言葉を形成する前に処理され、また別の考えに変わる。そういうどうでもいい頭の中の断片までを高村薫という著者は詳細に描くことで、人間という生物の複雑さを訴えているような気がする。

本作品も、野田達夫(のだたつお)という工場で働く男と、刑事である合田雄一郎(ごうだゆういちろう)という2人の人物に焦点を当てて、その頭の中を詳細に描いている。仕事に追われ、人間関係に悩み、遠い昔の出来事の記憶に大きく影響を受けながら、少しずつ自分でも理解しがたい行動に走り始めていく。

この2人は決して特別なのではない。人間は誰しも、どこかに狂気を備えており、時に説明のつかない行動を起こす、そんな可能性を秘めているのだと思う。それはきっと何かの出来事をきっかけに一気に外側に溢れ出すものなのかもしれない。

高村薫らしい作品ではあるが、物語のスピード感はいつまで経ってもあがらない。途中その遅々とした展開にやや飽きもしたが、最後はそれなりの考えるテーマを僕の心に残してくれたように思う。


ヘンリー・ムーア
20世紀のイギリスを代表する芸術家・彫刻家。(Wikipedia「ヘンリー・ムーア」

赤線
日本で1958年以前に公認で売春が行われていた地域の俗称。(Wikipedia「赤線」

ラシーヌ
17世紀フランスの劇作家で、フランス古典主義を代表する悲劇作家。「ブリタニキュス」「アレクサンドル大王」など。(Wikipedia「ジャン・ラシーヌ」

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
第3回日本推理サスペンス大賞受賞作品。

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
第46回日本推理作家協会賞受賞作品。

1992年の東京にジャック・モーガンが謎の死を遂げる。この物語はジャック・モーガンの壮絶な生きざまを描いている。世界のどこかにこんな生き方をしている人がいるのだろう。北アイルランド、中国、東京という、壮大なスケールで描かれる陰謀、策略、裏切りの物語。登場人物や組織名が多すぎてわかりにくいかもしれないがそれでもこの雰囲気は伝わってくるはずだ。いつかもう一度読み直したい作品である。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第109回直木賞受賞作品。

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