【日本推理作家協会賞】の最近のブログ記事

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
札幌で起こった立てこもり事件をニュースで知って、榊原健三(さかきばら)は再び札幌に行くことを決意する。

読み進めて感じたのは、どうやらこの作品は、なにか別の作品の続編であって、十分にこの作品の良さを堪能するためには、その作品から読むべきではなかったか、というもの。物語の過程で、過去の出来事についていろいろ補足的に記述はあるのだが、どうも話に着いて行っていないような感覚は最後まで感じていたように感じる。

全体的には、榊原健三(さかきばらけんぞう)が警察内部に存在する犯罪組織から子供を守るために奮闘する、という物語。典型的なハードボイルドという印象を受けたが、ラストシーンだけは、その経過と比較すると現代の若者の姿を特異な状況を通じて描いており、かなり斬新な印象を受けたが、話の流れからは、少々受け入れ難い感じも受けた。ぜひ他の読者の意見も聞いてみたいところだ。

僕にとって東直己作品の初挑戦ということで、日本推理作家協会賞受賞作品を手にとったのだが、引きつづきこの著者の作品を読みたい、と思わせるほどではなかった。

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オススメ度 ★★★★☆ 4/5
第21回山本周五郎賞、第61回日本推理作家協会賞受賞作品。

家族の不祥事による降格人事に従って、大森署の署長となった竜崎。その管内で拳銃を持った立てこもり事件が発生する。

「隠蔽捜査」の続編である。そして、主人公は今回も、恐ろしいまでに自分に厳しく生きる東大法学部卒のキャリア竜崎(りゅうざき)である。縦割り社会の警察組織の中にあって、人の顔色を伺うことなく合理的な行動をしようとする竜崎(りゅうざき)は今回も周囲から異質な存在として見られる。それでも少しずつ新しい環境にあって周囲から信頼を得ていくすがたが面白いだろう。

さて、この竜崎(りゅうざき)という登場人物がなぜこんなにも強烈かというと、それはきっと、「真面目」と「賢い」という2つの要素が融合した登場人物というのが日本の文化に今までなかったからではないだろうか。

賢く頭の切れる人間は時にルールを逸脱する。そしていい結果を導くことが長く日本人に受け入れられてきた美学だったのだ。そしてそれと対になるように、真面目な人間はどこか融通が効かずに最終的に損をする。それが良くあるお約束だったのだ。

ところがここで竜崎(りゅうざき)には「真面目」と「賢い」が同居してしまった。そうするとさぞ近づきがたい人間のように聞こえるのかもしれないが、物語はその竜崎本人の目線で進む。理想に近い行動を選択しながらも、心の奥ではつねに信念と規則と人の気持ちと、いろいろなものの重さを量りにかけて決断しているのだとわかるだろう。

「そんなに堅苦しく考えることはない。私用でちょっと出かけるなんてのは、誰だってやっていることだ。」
「みんながやっているからといって正しいというわけではない。」

実はそんな竜崎(りゅうざき)の物事の考え方は、かなり僕にとっても共感できる部分があり、特にこの台詞は印象に残った。

「相変わらずですね。ご自分が正しいと信じておいでなので、何があろうと揺るがないのです。」
「俺は、いつも揺れ動いているよ。ただ、迷ったときに、原則を大切にしようと努力しているだけだ。」

そう、結局、国や誰かの決めたルールで判断するのでなく、人は自分のなかの何かにしたがって判断をし、行動しているのだ。しかしその「何か」が不安定なものならば意味がないし、その「何か」と目の前で起こっている事実を照らし合わせるためには、知識や観察力が必要。だから僕らは学ぶのだ。

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オススメ度 ★★★★☆ 4/5

第25回吉川英治文学新人賞受賞作品。第57回日本推理作家協会賞受賞作品。第6回大藪春彦受賞作品。

1960年代の日本政府が行った移民政策によって、南米の奥地の未開のジャングル、クロノイテに送り込まれた日本人の多くは病気で死亡したり絶望の中で生涯を終えた。わずかな生き残りである衛藤(えとう)とケイはある時、日本政府に対する復讐を思い立つ。

棄民問題という経済発展の裏で国が犯した大きな罪を扱っていて、同時にそれは、日本とその裏の南米という大きなスケールの物語となっている。本作でそのメインの移民先はとブラジルアマゾンの奥地であるクロノイテという未開の地である。そこに放り出された衛藤(えとう)という人物の眼を通して描かれた序盤で、その政策の悲惨な実態を知ることが出来る。

文明から離れて未開のジャングルだ。医者もいない。薬もない。かといってどこにも手紙は出せない。ちょっとした町に出るにも船に乗って何日もかかる。入植者の中には絶望のあまり発狂する奴もいたな。だが、こいつらなんてまだ幸せなほうだ。マラリアやアメーバ赤痢で苦しむことなく、あっけなく狂っちまったんだからな。

そして、ブラジル人と日本人である衛藤のふれあいが見られる。そんな中で、日本とブラジルの双方の国民の長所や短所、それぞれの立場からそれぞれの国を観た感想が何度も描かれる。

餓死寸前なのに物盗りになる度胸もない。かといって乞食にまで落ちぶれるにはちっぽけなプライドが許さない……中国人とも韓国人とも違う。馬鹿正直に生きるだけが撮り得の黄色人種だ。

日本人には日本人のよさがあり、ブラジル人にはブラジル人のよさがある。この二国に限らず、異文化で育ってきた人達が向かい合ったときにその性質から多少の不都合は生じるのかもしれないが、それぞれの良い部分を見つめる眼を持つべきなのだろう。

中盤から物語は日本に舞台を移し、衛藤やケイの復讐がいよいよ始まる。復讐というテーマでは在りながらも、物語の視点のメインは、日本人でありながらジャングルと陽気なブラジル社会で育ってケイに移るっており、ケイの性格がこの重いテーマを陽気な物語に変えている。

そして、日本に舞台を移したことで、ジャーナリストの貴子(たかこ)や警察の岩永(いわなが)の視点も加わってスピード感のある展開に変わる。僕等読者が、日々生活の中で触れている世界に物語がリンクしたことで、すでに30年以上前に収束した移民政策が、当事者にとっては決して過ぎ去った過去ではないことが伝わるだろう。

後半、移民政策に関わった役人達の心境も描かれる。彼等もまた組織の歯車であり、保身のためにそのような選択をするしかなかった。結局、未開の地に送り込まれて絶望して死んでいった人たちも、そのような政策を取らざるを得なかった人も、すべてのが、戦後の不安定な日本の政情の中で生まれた犠牲者であり、簡単に解決することの出来ない深い問題であることがわかる。

移民という日本の経済発展の犠牲を日本から地球の裏の南米までそのスケールの大きさ、そしてそのテーマを個々のキャラクターでカバーするそのバランスが見事である。ラブストーリーから刑事事件まで、あらゆる物語の要素が無理なく無駄なく詰まったこの一冊を読むだけで垣根涼介という作家の技術の高さがわかる。とりあえず僕にとっては、「垣根涼介作品をすべて読んでみよう」と思わせるのに充分な作品であった。


コロンビア革命軍(FARC)
1964年、伝説の指導者マヌエル・マルランダらにより結成された反政府左翼ゲリラ組織。

礎石
礎石とは、礎(いしづえ)となる石のことで、定礎石は建物の土台となる石をさだめること。中には、建物の設計図面や氏神のお札、さらにその時の新聞や雑誌、社史、流通貨幣などが入っている。

パーキンソン病
脳内のドーパミン不足とアセチルコリンの相対的増加とを病態とし、錐体外路系徴候を示す疾患。マイケル・J・フォックスなど。

参考サイト
ドミニカの日本移民

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第58回日本推理作家協会賞受賞作品。

介護サービス会社の社長が社長室で撲殺死体として発見された。弁護士の青砥純子(あおとじゅんこ)は防犯コンサルタントという肩書きを持つ榎本径(えのもとけい)の協力を得て真実を解明しようとする。

「青の炎」以来しばらく文庫化作品のなかった貴志祐介の久々の文庫化作品。「ISOLA」「黒い家」でホラー作家というイメージを世間に与えているようだが、僕の中ではそこまではっきりとした個性は確立されていない。本作品も、彼の中の王道作品というよりも実験的な色合いが濃いようだ。

前半部分は青砥純子(あおとじゅんこ)と榎本径(えのもとけい)の犯罪の行われた密室の謎を解くために奔走するシーンで終始する。防犯コンサルタントである榎本(えのもと)は、トリックの可能性への言及の際、セキュリティに関することを多く語る。物語の中に、展開以外に新しい知識へのきっかけを求める僕にとっては、専門分野への詳細な描写は嫌いではないのだが、それは時に、読者を飽きさせ物語のスピード感を損ねてしまうという諸刃の剣である。本作品ではその執拗な説明は僕にとってもややうんざりさせるものであった。

ひたすら犯行の可能性を潰していくという、この前半部分は、ずいぶん長いこと読んでいなかったよくある推理小説を思わせる。最新技術を用いて徹底的にトリックを検証する展開は、森博嗣の犀川創平・西野園萌絵シリーズと似た雰囲気を感じた。

そして、そのままトリックを終盤に解明して終わればなんてことないただの推理小説として終わってしまっただろう。ところが中盤に差し掛かったところで一転、物語は数年前の犯人の目線に切り替わる。

親の不幸からヤクザに追われる身となり逃亡を決意する。わずかな期間で別人の名前の免許証を手に入れ、逃亡するその手口は非常にリアルで、管理の行き届いた日本の社会といえども、身分を偽って生きることがそれほど難しくないことを知るだろう。逼迫したその「殺らなければ殺られる」という犯罪の布石となる考え方が犯人の心の中に形成されたことを無理なく受け入れさせるだろう。

最後には、日本の犯罪者に対する再教育体制の問題にも触れている。

懲役や禁固というのは、受刑者を、一定期間、世間から隔離する処置にすぎませんし、刑務所側が腐心しているのは、その間、問題を起こさせないようにすることだけです。極端に言えば、出所後、何をしようと知ったことではない。当然ながら誰一人。責任は取りません。だからこそ、これだけ、再犯率が高いんじゃないですか?

全体的には物語のテーマがぶれている印象を受けた。作者がこの物語で見せたかったものは何なのか、前半のような謎解きのミステリーなのか、最後の犯罪を犯した若者が構成されずに一時的に社会から隔離されるだけの日本の犯罪者に対する更正体制の怠慢なのか。もちろん双方なのだろうが、もう少し一貫したテーマでコンパクトにまとめるべきだったのではないだろうか。

ブルディガラ
ラテン語で「ボルドー」の意味。仏・ボルドーのシャトーから直輸入のワインを中心に、パスタや備長炭を使った料理などヨーロッパを主体とした各国のエッセンスをプラスしたフレンチレストラン。

ディンプルキー
鍵の表面に深さや大きさの異なるくぼみがいくつかあり、このくぼみの深さや大きさを変えることによって、約2935億通りの鍵のパターンができるとされるので、鍵の複製が非常に難しい。シリンダー内に6本のピンが一列に並んだものが上下左右、さらには斜めにもディンプル穴があるのでその角度まで合わせるのはほとんど不可能とされており、ピッキング対策に優れている。ディンプルキーにはシリアルナンバーが打ってあり「完全登録システム」が採用されているので、シリアルナンバーと登録者が一致しないと合鍵も作れません。また、鍵がリバーシブルタイプなので、鍵の上下を気にすることなくスムーズな開錠が可能。

ドリリング
ドリルなどを使用し、家屋を破壊し侵入する手口。

ジルコン
花崗岩の中に普通に見られる石の中でも、比較的稀な性質を持った宝石で磨くとダイヤモンドに迫る美しい宝石となる。ジルコンとはアラビア語で“金色”を意味する“zargoon”からきている。通常ジルコンは無色透明のものが知られているが、含有物により、黄色、オレンジ、青、赤、褐色、緑などの色がある。

ルビコン川
イタリア北部を流れる川で、アペニン山脈より東へ流れ、アドリア海に注ぐ。共和政末期の古代ローマにおいては、本土である「イタリア」と属州の境界線をなしていた。紀元前49年1月10日、ガイウス・ユリウス・カエサルが「賽は投げられた」(Alea iacta est)の言葉とともにこの川を渡ったことはよく知られている。「ルビコン川を渡る」は以後の運命を決め後戻りのできないような重大な決断と行動をすることの例えとして使われる。(Wikipedia「ルビコン川」

クレセント錠
窓などに取り付ける錠でほとんどの窓がこのタイプの錠を使っている。2つの金具からなり、1方はフック型の部分をもつ外側の扉に固定された金具で、もう1方は、把手の付いた半円状の盤に突起を設けた金具で内側の扉に固定される。

ガンザー症候群
ヒステリー性心因反応による退行状態である。的外れ応答をなす偽痴呆であり、拘禁反応として生じやすい。

捲土重来(けんどちょうらい)
敗れた者が、いったん引き下がって勢いを盛り返し、意気込んで来ること。

体感機
パチンコ・パチスロなどの遊技台の攻略に用いられる器具の一種。大当りなどのタイミングを振動によって打ち手に知らせる機能を持つ。(Wikipedia「体感機」

モース硬度
主に鉱物に対する硬さの尺度のこと。硬さの尺度として、1から10までの整数値を考え、それぞれに対応する標準物質を設定する。ここでいわれている「硬さ」とは「あるものでひっかいたときの傷のつきにくさ」であり、「叩いて壊れるかどうか」の堅牢さではない。ダイヤモンドは砕けないというのは誤りであり、ハンマーで叩くなどによって容易に砕けることもある。(Wikipedia「モース硬度」

向精神薬
精神に働きかける作用を持ち、精神科などで使用される薬剤のこと。向精神薬には第1種から第3種まであり、いずれも医師の処方箋が必要な処方薬であり、中枢神経に作用して、精神機能に影響を及ぼす物質(医薬品としては抗不安薬、催眠鎮静薬、鎮痛薬等が該当)であって、麻薬及び向精神薬取締法及び政令で定めるものを言う。(はてなダイアリー「向精神薬」

ドレープカーテン
厚手のカーテン・室内側のカーテンのことを指す。日本では、厚手の室内装飾用の布地の意で使われている。

参考サイト
鍵と錠前の知識

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オススメ度 ★★★★☆ 4/5
第45回日本推理作家協会賞受賞作品。10年ぶり2回目の読了である。

雑誌記者の高坂昭吾(こうさかしょうご)は、車で東京に向かう途中で、自転車をパンクさせ立ち往生していた高校生の少年、稲村慎司(いなむらしんじ)を拾った。これが高坂(こうさか)と超能力者との出会いであり、不思議な体験の始まりであった。

宮部みゆきの初期の作品には超能力者が多く登場する。「魔術はささやく」「蒲生邸事件」「クロスファイア」などがそれである。超能力者を描いた作品と言えば筒井康隆の七瀬が印象に残っているが、宮部みゆきの描く超能力者の物語もまた例外なく面白い。この物語に登場するのは二人のサイコメトラーである。

稲村慎司(いなむらしんじ)は超能力を持ったからこそ他の人にはできない何かをしなければいけないと考え、さらに優れた超能力を持った織田直也(おだなおや)は超能力を持ってしまったからこそ人生を狂わされ、その力を隠して普通の人間として生きようとする。そんな二人の過去の経験がリアルに描かれているためどちらの考え方にも共感できることだろう。二人の周囲の人間の考え方もまた印象的である。

稲村慎司(いなむらしんじ)の父親は言う。

信じる、信じないの問題ではなのですよ。私と家内にとっては、それがそこにあるんです

織田直也(おだなおや)の友人で幼い頃に声を失った女性は言う。

わたしみたいに、あったはずの能力が消えてしまったからじゃなくて、余計な能力があるから、あの人は苦労しているんです

物語展開の面白さ以外にも随所に宮部みゆきらしい心に突き刺さる表現が見られる。

男でも女でも、傷ついて優しくなるタイプと、残酷になるタイプとがいるそうだ。おまえは前の方だ
信じてやりたい、などと逃げてはいけない。そんなふうに思うのは、彼らに本当に騙されていた場合、自分に言い訳したいからです。それでは駄目だ。信じるか、信じないか、あるいはまったくデータを集めるだけの機械になりきって、すべての予断や感情移入を捨てるか、どれかに徹することです
人間としての心構えまで教えてもらっているようだ。
すぐうしろに立っている主婦が、怪しまれずに姑を殺してしまうにはどうしたらいいかしきりと考えている−−その人たちを追いかけていって、そんな恐ろしいことはやめなさいって言ったところで、どうにもならないでしょ?黙って見過ごすしかなかったんです。それだけだって、死ぬほど辛いことだった

過去アニメやドラマなどで数多くの超能力者が描かれてきた。それらを目にして、誰でも一度は超能力というものに憧れを持ったことだろう。しかし本作品を読めば、それが決して羨ましいものではないことがわかるはずだ。10年ほど前、この作品で宮部みゆきに初めて触れた。今思うと、これが僕を読書の世界へ引き込んだきっかけだったかもしれない。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第52回日本推理作家協会賞受賞作品。

広末涼子主演で映画化されたのが1999年。もう5年も前の話である。そのような理由から、「交通事故によって死んだ母親の直子が娘の藻奈美の体の中に蘇る・・」というプロローグぐらいは知ったうえで読みはじめることになった。

僕がもう一度人生をやりなおせるとしたらどんな生き方をするのだろう・・?後悔しない人生を送ることをこころがけているとはいえ、やり直したいところはたくさんある。そう考えると、この本の中で藻奈美の体を借りて人生をやり直すことになった直子が選んだ生き方は非常に共感できる部分があるのだ。

何か一つのことを目指してひたすら突き進む人生、いろんなことを楽しむ人生。どちらがいい人生かはわからない。誰にとっても人生は一度きりなのだから。だからこそこの本を読んで思った。人生をやり直すということは、もっとも贅沢な願いであり、誰しも心の奥で抱いている願いではないだろうか・・昔話で良く出てくる「永遠の命」なんて、それに比べたらなんて小さなモノだ。

これから、「もし願いが一つ叶うとしたらどうする?」、そう聞かれたら、「人生をやり直す」そう答えることにしよう・・・いや、しかし、これもまたずいぶん後ろ向きだな。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第51回日本推理作家協会賞受賞作品。

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
第46回日本推理作家協会賞受賞作品。

1992年の東京にジャック・モーガンが謎の死を遂げる。この物語はジャック・モーガンの壮絶な生きざまを描いている。世界のどこかにこんな生き方をしている人がいるのだろう。北アイルランド、中国、東京という、壮大なスケールで描かれる陰謀、策略、裏切りの物語。登場人物や組織名が多すぎてわかりにくいかもしれないがそれでもこの雰囲気は伝わってくるはずだ。いつかもう一度読み直したい作品である。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第10回山本周五郎賞受賞作品。第50回日本推理作家協会賞受賞作品。

真保裕一の本が好きなのは、物語を楽しむと同時に、幅広い知識が身に付くからだ。そういう意味でこの「奪取」はお金、特にお札に関する知識がたくさん付いた。ただ、物語よりもお札の印刷技術、そこに重点を置き過ぎた感が有るのが残念。僕の評価では真保裕一の作品の中ではあまり高いとは言えないが、「この本が一番」という友人もいるので、好き嫌いが別れる本なのかもしれない。

とりあえず偽札づくりの知識は付くかも知れないです。それと同時に偽札づくりなんて無理。そう思います。

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
第53回日本推理作家協会賞受賞作品。第2回大藪春彦賞受賞作品。

仙石恒史、宮津弘降、如月行、信念を持った3人の男達がイージス艦を舞台に絡み合う。宮津の息子が書いた作文が印象的だ。

ギリシャ神話に登場する。どんな攻撃も跳ね返す楯。それがイージスの語源だ。しかし現状ではイージス艦を始めとする自衛隊装備は防御する国家を失ってしまっている。亡国の楯だ。
今のままアメリカに守られているような国ではなく日本も戦える国であるべきだ、という主張が随所に散りばめられ、改めて考えさせられる。それと同時に、自衛隊の矛盾などについてもストーリーの中にうまく絡んでくる。なにより3人の男の生き方に感銘を受ける。

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