オススメ度 ★☆☆☆☆ 1/5
山奥のホテルで毎年開催されるパーティ。毎回同じメンバーが招待されて、食事時には不思議な話が語られる。そんなホテルで宿泊者達が織り成す物語を描いた作品。
残念ながら理解できない作品だった。死んだはずの人がその後なんの説明もなく普通に生きていたり、と。物語中でたびたび引用される太字で書かれた文章も最後まで理解できなかった。恩田陸という作家がしばしがこういう手法に走ることは知っているし、「ライオンハート」や「三月は深き紅の淵を」もその類の作品で僕にはさっぱり理解できなかったのだが、今回も同様にさっぱりだった。
ひょっとしたらミステリーを読み漁っている人には何か著者とシンクロする部分があるのだろうか。それがないのであれば著者の自己満足にすぎないと思うのだが、こういう作品に対してあたかも「自分にはわかった」的なことを言い出す評論家がいそうな気がする。そして「あれが理解できる人が本当のミステリーファン」とか。僕に言わせればそれは著者を甘やかしているに過ぎないと思うのだが、とりあえず理解できた人がいるなら説明をして欲しい、というのが正直な感想。
きっと僕のような理系人間には好かれない作品なのではないだろうか。
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オススメ度 ★★★★★ 5/5
第26回吉川英治文学新人賞受賞作品。第2回本屋大賞受賞作品。
高校生活最後を飾る「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統の行事である。互いに意識し合う西脇融(にしわきとおる)と甲田貴子(こうだたかこ)の2人も各々いろいろな想いを抱えながら高校最後の「歩行祭」がスタートする。
物語の視点は融(とおる)と貴子(たかこ)に交互に切り替わる。それぞれの目に映るもの、記憶、友人達との会話、気持ちの描写だけで物語は展開されていく。
スタートしたばかりの前半は余裕から会話も弾む。転校していった友達の話。学校内で広がっている噂話。友人の恋愛の話。そして、そんな中で3年生である融(とおる)や貴子(たかこ)は歩行祭が人生で得難い機会であることを実感している。
物語中盤からは、距離を歩いたことで疲労が増しそれぞれが無駄な会話を辞め、夜が訪れると共に気持ちが昂ぶり、本当に語りたいことを語り始める。そして人の言葉に対しても自分を偽らない素直な反応しかできなくなる。
学生時代の部活の合宿や、旅行の夜の妙な高揚感を思い出す。人の気持ちを素直にさせるのは非現実的な環境なのかもしれない。
そして、そんな状況で、普段言えないことを素直に口に出した、融(とおる)や貴子(たかこ)の友人達の言葉が心に残る。融(とおる)の友人の忍(しのぶ)、貴子(たかこ)の友人の美和子(みわこ)は物語の中で特に重要な役割を果たしているように感じる。
高校生の恋愛感についても鋭い視点が見える。僕が中学生の頃に感じていた恋愛感、周囲の女性達に感じていた違和感。例えばそれは恋に恋する気持ちだったり、思い出として恋愛したい気持ちだったりする。それらの感情を融(とおる)や忍(しのぶ)が代弁してくれているようだ。
物語は歩行祭の80キロの道のりのみを描き、言い換えるなら登場人物はひたすら歩くだけである。それでも思い出や気持ち、友人達との会話を巧妙に織り交ぜて読者を飽きさせることがない。大人になってからはめったに味わうことのできない懐かしく甘い気持ちにさせてくれる作品だった。「六番目の小夜子」「ネバーランド」に代表されるように、恩田陸のこの世代を主人公とした作品にはいい作品が多いが、そんな中でも最もオススメの作品になった。
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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
時代は17世紀から20世紀。時間と空間を超えた、エリザベスとエドワードの不思議な出会いと別れを描く。
物語の展開に慣れ始めた中盤以降はすべての章で、エリザベスとエドワードの登場が待ち遠しく、章が終わるのが寂しく、次の章の始まりがまた楽しみ。夢の中の出来事と記憶の中の出来事を豊かな描写で描くことで、読者を物語の舞台となる時代に引き込んでいく。久々にそんな気持ちにさせてくれる物語であった。ただ、最後だけはもう少し納得のいく解釈を用意してもらいたかった。
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