★3つの最近のブログ記事

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
数々の有名広告を手がけた実績を持つ著者がアートディレクションの心がけを語る。

本書では「つくる」「かたる」「すすめる」と、大きく3つに分けてアートディレクションの「型」を語っているのが、印象的だったのは「つくる」の章。そんななかでも今後意識したいと重っったのは。

「?」と「!」をつくる

というもの。単純に綺麗なものをつくるだけでなく、見た人がまず「ん?」となり、そして、「あ、そういうことか!」となるような広告はいい広告だというのである。言われてみればそれほど驚くことではないかもしれないが、これを常に頭においてデザインができているかというと疑問である。

もうひとつが

捨てる

である。これもそこらじゅうで語られることであって、シンプルなものがもっともわかりやすく使いやすく、理解しやすい、と誰もが分かっていながらも、世の中には複雑なものが増えていってしまう。ある程度の経験を積んだデザイナーなら誰しもこの意識はもっているだろうが、本書で取り上げる実例を見るとその「捨て方」のバッサリ具合が徹底していて驚かされる。こちらもぜひ改めて意識したい。

残念ながら実例が20年以上前のものばかりで、リアルタイムに見た記憶のある広告が少なかった。本書のターゲット層はきっともっと下の世代であろうことを考えると、その違和感は他の読者にはもっと激しいのではないだろうか。

上でも語っているが、とりたてて新しいことを語っているわけではないので、多くのデザイン関連書籍の一冊として読むべきなのだろう。

【楽天ブックス】「アートディレクションの「型」」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
アールデコの代表的なグラフィックデザイナーであるカッサンドルの展覧会を訪れる機会があり、その今見ても斬新と思えるデザインに惹かれ、グラフィックデザインの歴史を改めて知りたくなり本書を手に取った。

アールヌーボーやアールデコなど19世紀後半から現代までのグラフィックデザインの流れを、代表的な作品とともに紹介している。グラフィックデザインは芸術ではない。それゆえに、ただ単に美しいだけではなく、どうやって人々の注目を集めるか、試行錯誤してきた歴史が見えてくる。

ミュシャやカッサンドルなど、すでに知っているデザイナーの歴史的な位置を知ることができただけでなく、今まで知らなかったデザイナーの作品をたくさん見ることができた。経済と商業とともに発展してきたグラフィックデザインの流れに触れることで、ただ単に美しいものだけを作って満足していないか、自分自身のデザインのスタンスを改めて考え直すきっかけになった。

【楽天ブックス】「グラフィック・デザインの歴史」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
「プラダを着た悪魔」のモデルになったと言われる実在する女性編集者アナ・ウィンターを描いた作品。

映画の印象だと、部下を育てようという、厳しさの裏にある優しさのようなものを感じた。しかし、本書を読むと、ただひたすら能力のある人間だけで周囲を固めて、自らがのし上がっていくのに手段を選ばず必死な印象を受けた。どちらかというとこのような人間がどうして周囲から認められて世界的なファッション誌のトップにまで上りつめたのか不思議な気がしたが、それは実力主義のアメリカと礼儀を重んじる日本の文化の違いからくる違和感かもしれない。

ファッション誌というと、流行を記事にするという印書を持っていたが、本書で描かれているヴォーグなどの雑誌はむしろ「流行を作り出す」という感じである。アナによって認められたデザイナーたちは、それによって流行となり成功するのであるから、大きな権力となるのも納得できる話である。

本書でもっとも印象的だったのは、アナのファッションに対するこだわりの強さである。もちろん立場的にはアナは世界で最もファッションに精通している人間なので当たり前かもしれないが、それでもそのファッションに対する姿勢には驚かされる。人間、誰しも外見も大事だということはわかっていながらもなかなか毎日細かい身だしなみにこだわりつづけることはできないもの。本書を通じて改めて自分の普段の身だしなみも見つめ直してしまった。

普段接することのない世界で、情熱を注いで生きている人間の考え方は、視野を広げてくれる気がする。

【楽天ブックス】「Front Rowアナ・ウィンター ファッション界に君臨する女王の記録」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
同時通訳者が英語の勉強方法を語る。

著者自身、主に日本でその英語力を身につけたゆえに、その勉強方法はとても参考になる。著者が特に強調するのは「イメージ力」と「レスポンス力」である。そして、その能力の向上のための方法として、パラフレージング、シャドーイングを挙げており、その理由とその方法を解説している。

シャドーイングについてはすでに多くの本で触れられていて、実際やっているひとも多いのでその効果は疑う理由もないが、パラフレージングについては今まであまり取り組んでこなかった。本書を読んで改めてその効果を実感したのでぜひ自分の勉強のなかに取り入れたいと思った。

もっとも印象的だったのが、著者がお気に入りの映画「ビフォア・サンライズ」を見ていたときの話。そのなかで、著者は、主人公のセリーヌのフランス訛りの英語を素敵だと思ったと書いているのである。僕らはいつも、英語らしい英語を話そうとし、日本語っぽいカタカナ英語を恥ずかしいと思う傾向がある。しかし、見方を変えれば日本語訛りの英語を誇らしく思う、という方向もあるのではないかと思った。

全体的には、ページ増しのための内容のように思える部分や、まとまりや内容の流れに違和感を感じる部分もあった。そこらじゅうの英語教材に書いてあるような学習方法や学習教材、言葉の意味にページを割かずに、著者自身の考え方や勉強方法に絞ったらさらに濃い内容になったのではないだろうか。それでも、英語学習者にとっては参考になる内容が多く書かれていると感じた。

【楽天ブックス】「同時通訳者の頭の中 あなたの英語勉強法がガラリと変わる」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

「赤穂浪士」や「忠臣蔵」というタイトルは聞き慣れており、47人の武士が復讐を果たす物語は知っていながらも、ここまで語り継がれている物語に一度も触れたことがないことに疑問を感じて本書を手に取った。そもそもどうして、ただそれだけの単純な物語が上下巻含めて1200ページを超える物語になり得るのかという点も興味深かった。

実際には単純に復讐しようとしてすぐにそれを成し遂げるのではなく、発端となる出来事から実際にその復讐を成就するまで思っていた以上に長い月日が流れていることに驚いた。また、そんななかで、大将である内蔵助(くらのすけ)が行った根回しや、ともに行動する同志、単純なその場の怒りや苛立ちから立ち上がったものを含まぬように、言葉を変え、行動を変えて、本当に強い意思を持った者だけに絞っていく様子が印象的である。また、命を狙われる吉良上野介(きらこうずのすけ)の周囲の人間の思惑もおもしろく、どれも歴史上の事実だからこそある現実味にあふれている。

残念なのは、歴史上の事実だからこそなのか、登場人物が多く、またすでに100年近くも前に書かれた本ということで、理解しづらい部分も多かったということ。全体の内容を考えると、もう少し短くまとめられそうな気もする。

【楽天ブックス】「赤穂浪士」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
プロの写真家を目指す相羽慎吾(あいばしんご)は恋人の夏美とともに年老いた母と離婚してその息子の暮らす店を見つけ、そこを拠点に写真を撮ることになる。

序盤は、慎吾と夏美、そのお店のヤスばあちゃんと、息子の地蔵さん(笑顔からそう呼ばれる)によるほのぼのとした田舎生活が描かれている。ホタルやオイカワなど、慎吾と夏美が田舎町で遊ぶシーンは懐かしい子供時代を思い起こしてくれるだろう。

物語のなかでやや異質な存在なのが同じ村に住んでいる仏師雲月(うんげつ)の存在である。雲月(うんげつ)の彫る仏像は、まるで生きているかのような躍動感があるのだという。天才と呼ばれる雲月(うんげつ)であるが、妻と別れて村に移り住み、慎吾や夏美と出会うことになる。職業柄ぶっきらぼうな態度をとりながらも、少しずつ打ち解けていく様子が微笑ましい。

やがて、地蔵さんの過去が少しずつ明らかになっていく。時間をともにすることで2人に家族のような親しみを感じる慎吾と夏美はできるかぎり力になろうとするのである。

夏の匂いが漂ってくる物語。

【楽天ブックス】「夏美のホタル」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
語り手「私」は、古い友人から指を失ったはずの天才ピアニストの長嶺修人(ながみねまさと)が復活したことを聞く。信じられない思いから、長嶺修人(ながみねまさと)が指を失うまでの出来事を振り返る。

物語は、音楽に青春をかけた3人の男子高校生、語り手である「私」、長嶺修人(ながみねまさと)と鹿内堅一郎(しかうちけんいちろう)を中心に進む。圧倒的に音楽的能力の高い長嶺修人(ながみねまさと)が2人に持論を語るなかで、音楽には僕ら一般の人間が理解できないような、音楽家だけがわかる世界があることが伝わって来る。シューマンを中心に作曲家のことを語るシーンが多く、音楽の知識が少ないことを残念に思う一方で、実際に作曲家やその音楽について知識を持っている人ならどの程度本書で長嶺修人(ながみねまさと)が語っていることに共感するのだろうかと興味を持った。

そして、ある春休みの夜、3人が目撃した殺人事件を機に物語は動き出すこととなる。

音楽という要素を多く含む点は新しく、いろんなクラシック音楽を聴いてみたいと思わせてくれたが、結末はありがちな展開に感じてしまった。

【楽天ブックス】「シューマンの指」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
企業が破壊的イノベーションへ対抗するための方法を語る。

まず、持続的イノベーションと破壊的イノベーションという言葉を用い、ソニーやアップルが行ってきたイノベーションを説明し、相互依存型アーキテクチャとモジュール型アーキテクチャという言葉で、企業が作る商品を説明している。世の中の多くの企業の栄枯盛衰が、この考え方で説明できる点が面白いが、実際にはこのあたりの内容は「イノベーションのジレンマ」に含まれる部分なのだろう。

中盤以降は、そんな今までわかってても避け方のわからなかった、破壊的イノベーションを避けるために、持続的イノベーションの状態にある企業はどのような取り組みをすべきなのかを語っている。

とてもすべてが理解できたとは言い難いが、世の中の流れについて新たな視点をもたらしてくれる。

【楽天ブックス】「イノベーションへの解 利益ある成長に向けて」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
破壊的イノベーションの説明を用いて、教育がいつまでたっても進歩しない理由と、教育の今後の進化すべき方向性を語る。

印象的だったのは教育のモジュール化という考え方である。現在の教育はすべて、それ以前の学んだことが理解できていないと、その次の内容を理解できない仕組みになっており、それが問題だというのである。例えば、足し算、掛け算を理解していないとその先にある、分数の計算が理解できないために、すべての生徒が同じ順番で学んでいかなければならないために教育を非効率にしているのだという。つまり、教育のプログラムは相互依存性が強いのだ。

そんななか解決策として本書が主張しているのは、教育をモジュール化し、1人1人が独立したコースを自由に履修し、必要な時間をかけて理解するという方法である。それによって全員が同じ授業を受ける必要もなく、全員が同じ内容に同じだけ時間をかける必要もないというのである。確かに、以前であればそもそも「先生の数が足りなくて実現できない。」で終わっていしまったであろう話が、現在であればインターネットを使うことで実現できそうな気がする。

教育の発展だけでなく、経済的なイノベーションの考え方を用いて教育界を語っている点が面白い。

【楽天ブックス】「教育×破壊的イノベーション 教育現場を抜本的に改革する」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
霧子(きりこ)がある日出会った死神のような男性、椿林太郎(つばきりんたろう)は教育に情熱を注ぐ男だった。やがて2人は結婚しともに生きることとなる。

白石一文は人生を描くのが非常にうまい。本作もそんな作品を期待して手に取った。実は霧子(きりこ)が出会った椿林太郎(つばきりんたろう)は人の人生の長さがわかるという。そんな彼が結婚相手として霧子を選んだ理由はなんだったのだろう。彼の能力が霧子との結婚にどのような結末をもたらすのかが、物語の焦点となる。

貶すほどの内容ではないが、期待に応えてくれるような印象的な内容ではなかった。人の残りの人生の長さが見えるというのは、最近読んだ百田尚輝の「フォルトゥナの瞳」と重なる部分が多いからなのかもしれない。

楽天ブックス】「彼が通る不思議なコースを私も」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
インドから家庭教師としてイギリスに移住してきた女性が狙撃された。誰もが羨むような美しい女性だったのも関わらず、なぜ殺されなければならなかったのか。Maisieはその女性の兄の依頼によってその真実を調査する。

調査の過程でMaisieはその女性Ushaが誰からも好かれるような女性だったことを知る。誰からも好かれるような女性なら、殺人の動機は一体どんなものだろう。と思うところだが、本書では「誰もが羨むような眩しい女性は、いるだけで妬みを買う」という視点にも触れている。人間の醜い部分を見せてくれるようで興味深い。

また、事件の解決へと調査をすすめるなかで、Maisieの大きな決断をする。結婚を求めている交際相手Jamesとの関係に区切りをつけるため、またメンターであり亡くなったMauriceの教えに習って、Maisie1人で旅に出ることを決意するのである。事件の解決と同じぐらい、Maisieのこの決断が本書の焦点だと感じた。そして、そのために事務所を閉めて、Maisieと共に働いていたSandraとBillyもそれぞれの道を進むこととなるのである。

最終回のような一冊だが、まだ続編はあるようだ。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ディープワークをするための方法について語る。

本書ではディープワークを「あなたの認識能力を限界まで高める、注意散漫のない集中した状態でなされる職業上の活動。」と定義し、その時間を多く作り出すことこそ質の高い仕事に繋がるとしている。

きっと誰もが、仕事に「没頭」してしまったことがあるのではないだろうか。本書でいう「ディープワーク」とはまさにそんな仕事への「没頭」状態のことである。しかし、誰もが経験から知っている通り、残念ながらそんな「没頭」状態は頻繁に起きることではないし、起きたとしても長く続くものではない。どのような環境が整えばそのような状態になるのかを、本書はいろいろな例を交えて説明している。

多くの人がディープワークの真逆であるシャローワークに多くの時間を奪われているのは誰もが経験的に知っていることだろう。シャローワークの代表的な例はもちろんメールのチェックである。インターネットの普及により、大量のメールが毎日送信されるのが日常的なこととなり、毎日すべてのメールをチェックするだけでもかなりの時間がかかってしまうのである。

本書が語っている興味深いことの1つは、過去に行われた実験によると、シャローワークは世間一般に人々が思っているほど重要ではないということである。シャローワークを減らすことで、労働時間を減らしながらもディープワークの時間を増やして成果を出している企業の例は非常に興味深い。

全体的には、僕自身が普段仕事の質を上げるために行っていることや、経験から感じていることを裏付ける内容であった。

読者にとって仕事の質をあげるためのヒントになるのではないだろうか。

【楽天ブックス】「大事なことに集中する」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

エッセンシャル思考とは、仕事における断捨離やミニマリズムと言えるかもしれない。依頼される仕事をすべて引き受けるから、常に忙しく、集中すべき仕事に集中できず、自分の能力も上がらない。重要なのは自分にしかできない仕事を優先し、それ以外の依頼に対して「No」と言う能力を身につけることである。

本書で印象的だったのは90点ルールというもの。仕事を選ぶときでも、服を選ぶときでも、自分で点数をつけて90点に満たないものはすべて0点と扱うというものだ。「迷ったら捨てる」「迷ったら行かない」「迷ったら買わない」「迷ったら受けない」という感覚が正しいのだろう。

「エッセンシャル思考」とは仕事に忙殺され、朝から晩まで働きながらも満足のいく人生が送れていない多くの人にとって、そんな生活から抜け出す鍵となるのではないだろうか。本書は仕事について書かれているが、実際エッセンシャル思考が役に立つのは仕事に限った話ではない。友人も、趣味も、部屋に置く家具も、エッセンシャル思考で選び取ることで豊かな人生が開けるのではないだろうか。

【楽天ブックス】「エッセンシャル思考」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
さまざまなNGO活動に長年関わってきた著者がボランティアについて語る。

「ボランティア」=「善い行い」とすぐに結論づけてはいないだろうか。実際僕自身もいくつかのボランティアを経験するまで、ボランティア活動に参加する人が多ければ多いほど世の中はよくなると信じていた。しかし最近では、本当に世の中の役に立つことであれば、その「善い行い」に従事する人にお金が支払われる仕組みができるはずだし、それができてこそその「善い行い」は継続できる、と信じるようになった。それでは実際ボランティアの現状とは、そこに長年関わってきた人から見るとどのように見えるのだろうか。そんな思いが本書に導いた。

ボランティアのいろんな側面について触れられているが、印象的だったのは「生活できない人を増やす仕組み」という考え方である。

「図書館ボランティア」で図書館を運営するようになると、その分だけ司書の人が正規の職員として雇われなくなることが多い。

無料で何かに従事することは、そのことに有料で従事していた人の生活の手段を奪ってしまうというのである。その他にも、ボランティアによって依存心の強い人を生み出す可能性があることも覚えておくべきだろう。災害ボランティアなどでは、被災者が、あとは自分でなんとかできる程度まで手伝ったら、適度なタイミングで撤収することこそ必要なの。つまり、ボランティアをすることを目的にするのではなく、本当に相手の未来まで考えて行動すべきなのである。

また、末尾にはいくつかのボランティア活動が「取り組みやすい活動ガイド」としてまとめられているので、今後の参考にしたい。これからいろんな活動に関わりたいと考えるなかで、役立つ視点を提供してくれた一冊。

【楽天ブックス】「幸せを届けるボランティア 不幸を招くボランティア」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
1963年フランス、「アルジェリアは永遠にフランス」をもっtーに活動する秘密軍組織OASは大統領シャルル・ド・ゴールの暗殺を企てる。すでに多くの幹部が警察に目をつけられている中、暗殺を実現するための唯一の方法が、外国人の殺し屋を雇うことだった。その殺し屋のコードネームこそジャッカルなのである。

空港の名前にもなっているシャルル・ド・ゴールだが、実際にはその在任中にどのような政策を行ったのかをほとんど知らなかった。また、アルジェリアがもともとはフランス領だったことは漠然とした知識としては持っていながらも、どのように独立したかをこれまで気にかけたこともなかった。

本書は暗殺を依頼されたジャッカルが暗殺のために入念な準備をする様子と、その暗殺を防ぐ任務を課せられたClaude Labelが、わずかな手がかりを元にすこじずつジャッカルを追い詰めていく様子が描かれている。いくつものパスポートを用意し、いくつもの変装を用意して厳重に警戒されているであろうド・ゴールに近づくための準備をするジャッカルも、もた、外見的な特徴しかわからないじょうたいで、海外の警察のつながりをもとに暗殺者を絞り込んでいくLabelも、まるで本当に起こった真実を描写しているようで、とても1971年に書かれた小説とは思えない。

概要として語ってしまうと、「暗殺者とそれを捕まえる刑事」となってしまうが、その描写の緻密さは一読の価値ありである。

アルジェリア戦争
1954年から1962年にかけて行われたフランスの支配に対するアルジェリアの独立戦争。(Wikipedia「アルジェリア戦争」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
僕自身人見知りだとは思っていないが、アルコールが苦手なので飲み会に参加する回数が一般的な人に比べて少なく、それによって人脈作りが不利だと感じている。何かその不利な部分を補う秘訣のようなものが見つかればと思って本書を手に取った。

すでにやっていることから、大事だとは思っていてもできてないことから、考えたことすらなかったようなことまで様々な手法、心がけが書かれている。

印象的だったのは、パーティなどで困った時。そんなときは、人に話しかけられなくて孤立している人を束ねる役割をするというもの。確かにこの方法だと、無理に話の輪のなかに入る必要もないし、孤立している人にとっては救世主として印象づけられることになるだろう。

またSNSでのイベントの誘いが増えた昨今、断りのメッセージもどうしてもさらっとしたものになりがち。しかし、単純に断るだけでなく、断っても別の人間にシェアすることによって自分の価値をあげられるのだとか。

いずれも普段の心がけしだいだが、人との接点を持っていろいろ試してみたいと思わせてくれる一冊。

【楽天ブックス】「人見知りでも「人脈が広がる」ささやかな習慣」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
Webサイト設計のためのペルソナの作り方についてまとめている。

ペルソナ設計という考え方は昨今多くの企業で認識されるようになってはきたが、その設計の仕方となるとよくわからない。本書はそんな人のためにペルソナの作り方を丁寧に説明している。

まず、ペルソナを作成するためのユーザー調査の油断として、定性的なアプローチ、定性的なアプローチと定量的な検証、定量的なアプローチという3つのアプローチがあり、それぞれの長所と短所を理解すべきだろう。またもう一つの軸として本書ではユーザーの発話とユーザーの行動という指標を用いている。定性的な調査は「なぜ」を明らかにし定量的な調査は「何が」を明らかにする、という言い方もしているがこちらのほうがわかりやすいかもしれない。

本書はそんな考え方の大枠だけでなく、調査の方法、質問の作り方、そして調査結果をもとにどのようにしてどれだけのペルソナを作ったらいいかまで、非常にわかりやすく解説している。実際にペルソナ設計の際に、常に手元に置いておきたいと思える内容である。

後半では作ったペルソナをどのようにプロジェクトに組み込んでいくかの方法が書かれている。ペルソナは作って終わりではなく、プロジェクトに関わる人が常にペロソナの存在を意識するようになってこそ成功なのである。

【楽天ブックス】「Webサイト設計のためのペルソナ手法の教科書」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
11回の転職をした著者が自らの経験を基に、いい会社や悪い会社の傾向について、会社勤めをしたことのない漫画家倉田真由美と共に語る。

「こんな会社はだめだ」と端的に言い切るところが面白い。いくつか挙げると次のようなものだ

意味不明の肩書きが多い会社
役員フロアがゴージャスすぎる会社
上司・同僚を肩書きで呼び合う会社に未来なし

そんな表面的なことばかり書かれているかというとそんなことはない。本書で語られていることのなかで印象的だったのは、悪い会社も務める人の心の持ちようによってはいい会社になり、またその逆もありえるというところ。結局大事なのは自分の価値観に見合う会社を選ぶということなのだろう。こうやって書いてみると当たり前のようのことのように思えるのかもしれないが、しっかりと自らの価値観を見極めるまでにはある程度の年月を、価値観の合わない会社で働く必要があるのだ。

本書で書かれていることの多くが真実であったとしても、自ら経験するからこそしっかり理解できることなのだろう。それでも知識として持っておいて損はない。

【楽天ブックス】「ダメだ!この会社 わが社も他社も丸裸 」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
外資系のコンサルティング会社出身者はその後さまざまな分野で活躍している。そんな彼らが1年目に学ぶ、その後の人生にずっと影響を及ぼすような内容とは何なのかを語る。

本書は4つの章に分かれている。「話す技術」「思考術」「デスクワーク術」「ビジネスマインド」である。どれも非常に論理的な考え方なので、普段から論理的な考え方をしている人にとっては、当たり前のことばかりなのかもしれないが、改めて自分の行動を見直し、それをさらに磨くためには本書はいいきっかけになるのではないだろうか。

話す技術のなかで、「PREPの型に従って話す」というのがある。PREPとはPoint、Reason、Example、Pointで、まず結論を話し、その理由を説明し、具体例を語った上で再度結論を繰り返す、という流れである。「結論を先に話す」というのはよく言われることではあるが、改めて自分自身の本日、昨日の職場での言動を振り返ってみるとすべてにおいてそのように実行できていたかは怪しい。

また「Quick and dirty」という考え方も、常にできているとは言い難い。「Quick and dirty」とは完璧ではないものでも早く人に精査させることによって軌道修正を行うということである。必要以上に間違ったものを作り込んで無駄な時間とエネルギーを使うことを避けるために非常に有効な考え方で、アジャイル開発などでも取り入れられている考え方だが、人の目を考えるとついつい作り込んでしまいがちである。

コンサルタントがなぜあれほど高い給料をもらえるのだろうか、というところに興味を持って本書を手に取ったのだが、彼らも特別なことをやっているわけではないということがわかった。本書では多くの参考図書が紹介されていたのであわせて読んでみたい。

参考図書
「まだ「会社」にいるの?」山口揚平
「得点力を鍛える」牧田幸裕
「考えながら走る グローバル・キャリアを磨く「五つの力」」秋山ゆかり
「なぜゴッホは貧乏でピカソは金持ちにだったのか?」山口揚平
「観想力・空気はなぜ透明か」三谷宏治

【楽天ブックス】「コンサル一年目が学ぶこと」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
写真家である著者が発するツイートをまとめた本。

写真家ということで若い女性と接する機会が多いせいか、恋愛や男女関係に関するツイートが多く、ときどきはっとさせられるような独特な視点のツイートがあって面白い。

印象的なツイートはたくさんあったのだがなかでも個人的なヒットを3つ挙げておく。

電車で隣に立っている女子。吊り革を持つ手の甲にペンで「おとん誕プレ」と書かれていて、この時点で抱きしめたいし、もう一方の手には大きめのユニクロの袋を持っていて、おとんに贈るダウン的な物だと考えたら心まであたたかいし、おとんの子育て間違ってなかったし、結婚してないけど娘欲しいし。
まだ若いのに夢を叶えた人のこと尊敬する。もう若くないのに夢を叶えようとしている人のこと尊敬する。
今日が終わって欲しくなくて寝ようとしないの、明日ごと終わるからやめた方がいい。

ちょっとハゲを気にするツイートが多く、そこがなんか同じ男として共感できる。

【楽天ブックス】「僕の隣で勝手に幸せになってください」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
指を置くことで意味を持つ絵や図形をまとめている。

1時間ほどで読み終わる内容ではあるが、そのコンセプトを理解するのは中々難しい。冒頭で本書はこおように語っている。

通常の絵画や彫刻などの美術の鑑賞では、作品の前面に向かうのは、あなたの眼です。手や指は関与してきません。しかし、本書では自分の存在を敢えて、コンテンツに参加させます。そのとき、果たして自分の存在は、メディアへの没入感にどのような干渉を及ぼすのでしょうか。

僕が本書に辿り着いたのはユーザーインターフェースデザインの関連からだった。スマートフォンのタッチパネルがメインであるユーザーインターフェースデザインは、まさに本書の言う「自分の存在がコンテンツに参加したデザイン」である。そのための手がかりになるものが本書から得られたかどうかはまだわからないが、引き続き模索し続けたいと思った。

【楽天ブックス】「指を置く」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
薬を飲まない薬剤師である著者がその理由を語る。

著者によると、世の中の年配者の多くがやっている薬を常用している状態というのはおかしいのだそうだ。なぜなら、薬が病気を治してくれるなら一定の期間飲めば薬は必要なくなるはずなのだから。実際には多くの場合、薬はただ症状を抑えるもので、完治させるものではないのだという。痛みや苦しみが発生する根本の原因を解決しないで、場当たり的に薬に頼って症状を抑えている限り、永遠に改善することはない。薬を手放して、自然治癒力や自己免疫力を維持することこそ健康な生活を送るために必要なのだそうだ。

言われてみればどれももっともな内容でたびたび頭痛薬を飲む自らの生活を反省する部分もあると感じた。内容としてはもっと年配の人に向けられて書かれているように感じたが考え方として持っておくことに早すぎるということはないだろう。

後半は健康な体を育むためのエクササイズも紹介している。薬剤師のエクササイズがどれほど本書の読者の役に立つかは疑問である。健康のための運動を日常的に行っている人にとっては後半は退屈かもしれない。

【楽天ブックス】「薬剤師は薬を飲まない」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ニューヨークに古くから残る地下道。そこから侵入し人を殺害し、その肌にタトゥーを掘るSkin CollectorにRhymeが挑む。

今回の犯人は本シリーズの最初の作品Bone Collectorの犯人に強く影響を受けているようで、Skin Collectorと呼ばれている。本書のなかでもBone Collectorの内容が何ども触れられているが、正直もう3,4年も前に読んだ話なのでほとんど覚えていないのが残念である。Bone Collectorの物語のとき少女だったPamとAmeliaの関係が本書では1つの焦点となっている。立派に大人になって巣立っていこうとするPamにAmeliaは嫉妬し、その事実を素直に受け入れられないのである。

また、一方でWatch MakerとRhymeのやり取りも前作より続いている。信じられないことに刑務所で亡くなったWatch Makerであるが、その共犯者を暴き出すためにその葬儀に身分を隠してPulaskiを送り込むのである。

正直ややマンネリ感が出てきた。捜査の手法が変わらないのは仕方がないとはいえ、物語自体に新しさが感じられなくなってきた。これから本シリーズを読もうと思ってい人には第3作、4作の「Stome Monky」「Vanished Man」あたりがもっとも面白いと伝えたい。それ以上は特に時間を割いて読む必要はない気がしてきた。

ミノル・ヤマサキ
日系アメリカ人建築家。ワシントン州シアトル出身の日系二世。ニューヨークの世界貿易センタービルの設計者。(Wikipedia「ミノル・ヤマサキ」

ヘイマーケット事件
1886年5月4日にアメリカ合衆国シカゴ市で発生した暴動。後に国際的なメーデーが創設されるきっかけとなった事件。(Wikipedia「ヘイマーケット事件」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
デザインの考え方について語る。

例えばハンガーにスーツをかける場合、ハンガーはズボンを先にかけてから上着をかけるようにできているが、それが人間のスーツを脱ぐ順番と一致しているだろうか。本書はそんなわかりやすい事例を盛り込みながらデザインについて語る。多くの人は「デザイン」というと、色や形を作る「デザイナー」と呼ばれる人だけが気にしていればいいことのように聞こえるが、本書を読めば、実際には世の中のすべての人が考え、関わることのできる分野なのだということがきっと伝わるだろう。

普段からデザインという業務に関わる人にとっても、改めて思い出させられる内容がいくつか含まれている。例えば「デザインは使う人になりきって考える必要がある」という考えは、言葉にすれば当たり前だが多くの人が忘れがちである。また「時間軸を考える」という考えもついおろそかになりがちである。

普段のデザイン業務を見直したくさせてくれる一冊。

【楽天ブックス】「行為のデザイン」思考法

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
タイトルにあるように14歳でカナダのトップ大学に合格した大川翔が自分の勉強やこれまでの学校や家庭での過ごし方について語る。

経歴だけを見ると、このような偉業は才能のある特別な人間にしかできないものと思うかもしれないが、本書を読んでみるとそんなことはないとわかる。

まず、日本にはない飛び級というものがカナダには存在するのである。日本でも授業中に授業のスピードが遅くて退屈しているような人間を見た覚えがあるだろう。日本ではそのような人間は、他の生徒にあわせてゆっくりと進むしかないが、カナダではそのような生徒は飛び級という選択ができるのである。それによって大川翔くんは常に「ほどよいがんばり」を求められる環境に置かれたのである。本人のレベルよりも高すぎる環境は諦めを生む一方で、低い環境は「慢心」を生むのだろう。そういう意味では翔くんも日本の学校では慢心に溺れた「小学校のとき頭が良かった」生徒になったかもしれない。

もう一つ驚いたのは、何よりも弁護士である母親が勉強する能力と方法を熟知しており、それを翔くんに対してもしっかり実践したことである。それによって翔くん自身も効率的な勉強方法を身につけて行ったのである。

例えば、何かを達成するために必要なことは、その能力を伸ばすだけではなく、何をどこまでやればいいのかという分析である。試験のようなものの場合、実力を上げることはもちろん重要だが、同じように重要なのは、必要以上に時間をかけて他の分野や強化にかける時間が減ってしまうことである。

本書では翔くんがスピーチコンテストで優勝する様子が描かれているが、その過程はまさに分析と必要な技能のマスターに集中しており、目的達成のための理想形である。僕ら大人がそれを今語ることができることにそれほど驚きはないが、それを14歳の時点ですでにマスターしているということは人生のなかで大きな利益になるだろう。

本書を読んで思ったのは、14歳の天才時はしっかりと両親が計画して子育てを行えば、育てることができるということである。

【楽天ブックス】「ザ・ギフティッド 14歳でカナダのトップ大学に合格した天才児の勉強法」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
反アメリカ運動家のRobert Morenoが取材を受けている最中に銃撃により殺害された。殺害がアメリカ政府の内部による犯行ではないかという疑いのもの、調査の依頼がLincoln Rhymeのもとに舞い込む。

犯罪者が床や壁、被害者などと接触した際には、必ず何かの物質交換が起こる。したがって犯罪現場や被害者に残された粒子のような細かい物質が、犯人を特定する手がかりとなるのである。そんな、すでに本シリーズを読み続けている人にとってはおなじみの考え方に従って捜査は進んでいく。

まず面白いのは、今回の犯罪がアメリカ政府の内部の犯行であることが疑われるということである。そして被害者が、反アメリカ主義の運動をしているという点で、すでに現実社会の複雑な善と悪の絡み合いが見えてくるのだろうと思わせてくれる。

アメリカ政府の内部犯行であることが疑われるため、Rhyme、Sachs、Pulaskiなどは捜査関係者を慎重に選びながら進めることとなる。そんななか調査の結果を報告するためにいる地方検事のNance Laurelの存在も新しく面白い。特にSachsは同じ女性としてLaurelのやり方に反発を覚えながら捜査にかかわるが、やがてLaurelの本当の考え方を知るに従って少しずつ打ち解けていくのである。

また、犯罪に関わる元兵士のパイロットの心情描写や、料理に強烈なこだわりを見せる犯人の描写が面白い。本シリーズは今回に限らず、犯人たちの特異な執着をその目線で描いてくれる点が非常に魅力的である。それはやがて、アフガニスタンやイラクで起こっている兵士たちの問題など、普段目を向けることのない物事に新たな関心をもたらしてくれるだろう。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
フランス革命のなかで断頭台より最期を迎えた悲劇の王妃マリー・アントワネット。彼女の生涯を語る。

まず驚いたのは、マリー・アントワネットが有名なのは日本だけなのだそうだ。確かに、特に優れたことをしたわけではないし、なぜマリー・アントワネットという名前を日本人の多くが知っているのかというとよくわからない。僕個人としては幼い頃にみたアニメ「ベルサイユのばら」の印象が強いのかもしれないが、「マリー・アントワネット」という名前自体も魅力的で一役買っているような気がする。

さて、本書ではそんなマリー・アントワネットがオーストリアに生まれ、やがてフランスの王女になり最後と迎えるまでを描いている。本書で改めて彼女が行ったことを知ると、フランス国民のあれほどの怒りを買ったのも納得がいく。本書の中でいくつかのフランスの建物が紹介されており、今まであまりフランスという国に興味を持っていなかったのだが、いつか訪れてみたいと思った。

また、マリー・アントワネットの母マリア・テレジアが実は非常に魅力的な人間だと知った。機会があったら彼女の生き方にももう少し深く触れてみたいと思った。

【楽天ブックス】「マリー・アントワネットの生涯」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
時代はファシズムの影が忍び寄るポルトガル。妻に先立たれた中年の男ペレイラは小さな新聞社に勤めて細々と働くなかで、モンテイロ・ロッシという若者に出会う。

僕自身は知らなかったのだが、非常に有名な作品らしく、「The Girl in the Spider's Web」
の登場人物として出てきたジャーナリストが憧れる作品として挙げていたことから知り今回読むことになった。

まずは、この時代のスペイン、ポルトガルの情勢を僕自身がほとんど知らなかったことに驚かされた。フランコ政権やゲルニカについて書かれているので1940年前後を描いているのだろう。人々が思ったことを口にすることが非常に危険な政情であることが伝わって来る。

そして、「供述によると」という書き出しが何ども繰り返される不思議な世界観。アントニオ・タブッキという著者の他の作品にも触れていたらもっといろいろな側面が見えてくるのかもしれないが、初めて読むひとにとっては若干読みにくさを感じるのではないだろうか。

そして、物語は終盤に近づくにつれて、さえない中年男のペレイラの行動に少しずつ変化が現れてくるのである。英雄と呼べるような行動ではないが、ペレイラのするささやかな世界に対する抵抗が、むしろ現実的で共感を呼ぶのかもしれない。

【楽天ブックス】「供述によるとペレイラは...」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
中学校の駅伝にかける青春を描く。

追い詰められたときに力を発揮する設楽(したら)、素行は悪いが走ることは好きな大田(おおた)、バスケ部から参加したジロー、吹奏楽部から参加した渡部(わたべ)、桝井(ますい)に憧れて力をつけてきた俊介(しゅんすけ)、そしてずっと陸上部の駅伝をひっぱってきた桝井(ますい)。個性豊かな中学生たちが最後の駅伝にかける様子が、それぞれのそれまでの回想シーンなどと合わせて描かれる。

個人的には不良の大田(おおた)の心の描写が印象的である。すでに先生からも敬遠されるなか、桝井(ますい)からの誘いにしぶしぶ応じて駅伝に参加することになった大田だったが、走ることは好きでみんなの期待を越える活躍を見せるのである。

「やってもできない」それが表に出てしまうことを、俺はずっと避けてきた。できそうにない問題にぶつかると、できないと証明される前に投げ出した。そのうち投げ出すことに慣れてきて、ちょっとしたハードルでも俺は手を出そうとしなくなった。そして、その分、できないことも増えていった。
中学校の教師も、「お前はやればできrんだから」と馬鹿の一つ覚えみたいに言った。だけど、残念ながらそれは違う。俺はやったってできない。だいたいやればできるやつは、ちゃんとやっている。何にも力を注がない時間がこれだけ積み重なった俺にできることなど、一つもなくなっていた。

仲間とともに何かに一生懸命取り組むことのすがすがしさを改めて思い出させてくれる一冊。

【楽天ブックス】「あと少し、もう少し」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
成功した人間に共通すること。それはオプティミストつまり楽観主義者であるということ。それでは悲観主義者と楽観主義者という性格の違いはどのように形作られるのか、また悲観主義者は不幸な未来を運命として受け入れるしかないのか。本書はそんな人生に大きく関わる人間の性格を説明する。

楽観主義者が成功しやすいというのは、特に驚くことではないだろう。挑戦をする人間が悲観主義者でなく楽観主義者に多いのは考えなくてもわかることである。それでは本書の何が面白いかというと、楽観主義者と悲観主義者の判別方法と、悲観主義者を楽観主義者に変える方法について細かく書かれている点である。

本書によると、ある人を楽観主義か悲観主義かを判断する方法は、その人の過去のできごとをその人自身に説明させればわかるというのである。

楽観主義者は、うまくいったできごとは自分のせいであり永遠に続くと説明する一方で、うまくいかなかったできごとは他人や環境のせいで一時的なものであると説明するのである。悲観主義者はその逆で、うまくいったできごとは他人や環境のせいで、一時的なもので、うまくいかなかった出来事は自分のせいで永遠に続くかのように説明するのだ。

人の言葉を今まで以上に注意して聞こうと思わせる一冊。

【楽天ブックス】「オプティミストはなぜ成功するか」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ハードルのメダリストである著者が、自らの経験を基に、現在の日本のスポーツのありかたについて語る。

成功者は言う「諦めなかったから夢がかなった」。僕らは成功者の言葉を聞くことはたくさんあっても、失敗者の言葉を聞くことは少ない。そのため、「諦めなければ夢は叶う」という間違った考えを信じてしまい、それによって多くの競技者たちが引き際を間違えてつらい人生を送ることになるのである。本書で著者は繰り返し言うのである。確かに成功者は諦めなかったから成功したのだろう。しかし、その裏で諦めなかったけれども成功できなかった人がその何倍も存在するのであるのだと。

「やめなかったからこそできた」 こう主張する少数派の言葉に嘘はないが、現実の社会においては、はるかに敗者のほうが多いという事実はわかっておくべきだ。

ちょうど本書を読み終えたころに、世の中はまだ、リオ五輪の余韻に浮かれていた。バドミントンで金メダルととった女性ペアに、4年後もオリンピックを目指してくれるように頼んでいるタレントがいた。このような世の中の態度が、競技者に不要なプレッシャーを与えるのだと感じた。

周囲の人間は、夢を追いかけることばかりを強要するのではなく、その人の人生がよりより人生であるように、別の選択肢を示してあるべきなのだろう。スポーツの世界に没頭できるのはせいぜい人生の1/3程度なのだから。何かに頑張っている人に対して、多くの選択肢を示せる存在でありたいと思った。

【楽天ブックス】「諦める力 勝てないのは努力が足りないからじゃない」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
介護人キャシーは「提供者」の世話をする事を仕事としている。そして、ヘールシャムという場所で過ごした日々を思い出すのである。

物語の多くはキャシーの思い出話である。そこはヘールシャムという場所で、キャシーが同年代の子供達と一緒に過ごしている。普通の少年少女のよくある物語のように見えて、読み進めて行くうちに、妙な違和感に気付くだろう。

物語として「今までにない」、という印象。その点だけをとってみても本作品は評価できるだろう。しかし、読者を引き込みページをめくる手を止めるのを躊躇うような物語で亜はない。少年少女たちの退屈な日常を淡々と読み進めなければならない点は、好みがわかれる部分だろう。

【楽天ブックス】「わたしを離さないで」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
東ローマ帝国の首都として栄えたコンスタンティノープルの陥落を描く。著者塩野七生自身「ローマ人の物語」という大作を描いていることからもわかるように、誰もが古代の大帝国としてしっている「ローマ帝国」それが最終的にどのように東ローマ帝国となって、そして滅びたのかを知っている人は少ないだろう。本書はそんな歴史の一部分を、そこに関わった多くの登場人物の目線で描く。

正直登場人物が多いのと、宗教的な背景に対する知識が乏しいせいか、戦がはじまるまでの流れはあまり深く理解できなかった。しかし、一度観光で訪れたことのある、イスタンブールの名所、ガラタ塔やボスポラス海峡など、などが物語中で出てくるたびに、歴史の延長に僕らがいることを実感する。

戦いのなかで印象的だったのが、この戦いで大砲が大活躍したという点である。そして大砲の活躍の目覚ましさ故に、この戦いの前と後では、特に地中海地域では城壁の作られかたが変わったのだそうだ。これから西洋の城を見る時は城壁の形にも注意してみてみたい。

【楽天ブックス】「コンスタンティノープルの陥落」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
今や料理をするとなったら欠かせないクックパッド。そのビジネスの根底にある理念を語る。

出版はすでに7年以上前なので新しい本とは言えないが、クックパッドの理念が伝わってくる内容である。Webサービスに関わっている人間であればいろいろ学べる部分があるだろう。まず、そのユーザーインターフェースについてはつぎのように語っている。

説明が必要なサービスは、レベルが低い

UIデザイナー等は常に意識していることであるが、なかなか企業という組織のなかで実現できないというのが実情である。ところがクックパッドは社員全員にその意識が徹底されているというのだから驚きである。また、検索結果でユーザーが求めている物を表示するためのシビアな取り組みも面白い。ただ単に検索キーワードに含まれているレシピを出すだけで満足していてはユーザーはすぐに離れて行ってしまうのだろう。

さらに印象的だったのは、いいレシピを選別する基準として「印刷された回数」という指標を用いている点である。「いいね」や「閲覧数」が簡単に測定できるとどうしても、その数でいいレシピを判断してしまうが、印刷というアナログな手法の回数こそがいいレシピである指標だと言う視点は見習いたい。また、ユーザーの利益になる広告しか掲載しないという強い意思にも感心してしまう。

理想を語ることは誰でもできるがなかなか実現できる企業は少ない中で、それを貫き続けた結果今のクックパッドがあるのだと感じた。自分でサービスと1から作りたいと思わせてくれる

【楽天ブックス】「六百万人の女性に支持される「クックパッド」というビジネス」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
1時間で読めるような内容の薄い本なのかもしれないという恐れを抱いていたのだが、そんなことはなく、著者が母と夫を亡くすという辛い経験から立ち直ったことで得た13の辞めるべき習慣を描いている。

自分を哀れむ習慣
自分の力を手放す習慣
現状維持の習慣
どうにもならないことで悩む習慣
みんなにいい顔する習慣
リスクを取らない習慣
過去を引きずる習慣
同じ過ちを繰り返す習慣
人の成功に嫉妬する習慣
一度の失敗でくじける習慣
孤独を恐れる習慣
自分は特別だと思う習慣
すぐに結果を求める習慣

普段前向きに行きている人でも、思い当たる部分はあるだろう。また、誰でも周囲を見回せば前向きに生きられない人がたくさんいることだろう。そんな人への良き助言者になるためにも本書で書かれていることは役に立つ。

僕がやりがちなのは「孤独を恐れる習慣」である。しかし本書で書いてあるのは1人の時間を一切持たないような、家にいるときに常にテレビをつけてないと耐えられないような人のことであった。適度に孤独な時間があって、程よく人と会うことを求めるのはむしろ理想であるらしい。

僕にとっては周囲のネガティブな人の行動パターンを理解するという意味で本書は学べる部分があった。

【楽天ブックス】「メンタルが強い人がやめた13の習慣」

オススメ度 ★★★☆☆
高校野球、アメフト、槍投げ、ラグビー、プロ野球、とスポーツのシーンを扱った6つの物語。

スポーツシーンの物語というと、野球だろうとアメフトだろうと、誰もが思い浮かべるような絵になる場面というのはあるだろう。しかし本書が扱っているのは普段はあまりそのスポーツをしない人が知ることのない場面である。

例えば高校野球を扱った「連投」では、高校野球で話題になるエースの連投の問題について触れていて、連投を重ねて神奈川大会の決勝に進む高校のエースに焦点をあてている。連投がピッチャーの肩を壊して、将来のプロ野球の夢を断つ結果になるリスクを承知しながらも、勝つために最善のメンバーで試合に臨みたい監督と、監督に言われたら従うしかない高校生の投手たちの様子が描かれている。高校野球を見る際の、新たな視点をもたらせてくれる。

最後の物語の「右と左」もまた野球を扱っているが、こちらはプロ野球である。すでに下位が決まりながらも最終戦の結果次第には4位になる可能性があるという状況で、先発の決断に悩む監督と、先発を任される可能性のある2人の投手に焦点をあてている。1人はベテラン投手。そしてもう1人は勢いに乗るルーキーである。常に先発を任されてもいい状態で前日を過ごそうとしながらも、連絡のないことにいらだちを隠せない2人のその対照的な過ごし方が面白い。

あっさり読めるにも関わらず、スポーツに対する見方を少し深めてくれる一冊である。

【楽天ブックス】「ターンオーバー」

オススメ度 ★★★☆☆
高校のときにイジメを受けて以来の引きこもりだった24歳の人生(じんせい)は、母が出て行ったことを機に自らの力で生きようとする。目指したのは懐かしい祖母の家だった。

引きこもりだった人生(じんせい)が、子供の頃よく訪れた長野のおばあちゃんの家を訪れる。そこには同じように人間関係に悩む20歳の女性つぼみがすでにいて彼女は人生(じんせい)の腹違いの妹だった。そして、徐々に3人での生活が始まるのである。認知症のせいで人生(じんせい)とつぼみのことを認識できないながらも、2人に親切に接してくれるおばあちゃんによって、人生(じんせい)とつぼみは、やがておばあちゃんの作るお米に興味を持つのである。

少しずつ悪化して行くおばあちゃんの認知症と、その認知症が回復することを願いながら、お米作りに励む、人生(じんせい)とつぼみは周囲の人の温かさに支えながら人間としても成長して行くのである。

読んでいるうちに田舎の家や畑の匂いが恋しくなる。泥にまみれたり強い日差しの下で働くことの美しさや尊さが伝わってくる一冊。

【楽天ブックス】「生きるぼくら」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
40億年の記憶を持つ女性エマノンの物語。

実は本書は「エマノン」シリーズの第2弾で「おもいでエマノン」というタイトルを先に読むべきだったようだが、世界観は十分に楽しめるだろう。

世の中のさまざまな時代、さまざまな場所に現れるエマノンを描いている。それは荒れ狂う猛獣の近くだったり、アマゾンの奥地だったり、汚染された街だったりする。エマノンは多くを語るわけではないが、その行動からは、人間の向かう方向を危惧しているかのようだ。

エマノンシリーズ全体を読んだときにどのような世界観と、どのようなことを読者に伝えられるのかが興味ある。本書一冊だけではただ単に「謎めいた女性」というだけで終わってしまっている気がした。

【楽天ブックス】「さすらいエマノン」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
「ローマの平和」を意味する言葉「パクス・ロマーナ」。紀元前29年から紀元14年までの、カエサルの死後を引き継いだアウグストゥスの時代を描く。

この時代には派手な戦や動乱はない、ただローマの平和の礎を築枯れて行く時代なので、アウグストゥスの地味な政策が続く。そのため人によっては「退屈な時代」と映るかもしれない。

しかし、地味な時代だからこそ、アウグストゥスの狡猾さや人間味が見えて面白い。筆者もそんな地味な面白さをしきりに訴えていて、カエサルとアウグストゥスの異なる面を興味深く描いている。例えば、アウグストゥスが後継者に血統を重んじたという点、そして、カエサルのような陽気さや大らかさ、そして指導力やカリスマ性を持っていなかった点などである。

この時代の分かりやすい一つの大きな動きはゲルマニア侵攻である。カエサルのガリア戦争同様に、ゲルマニア侵攻も進むはずだったのだが失敗に終わる。そんな過程で見えてくるアウグストゥスとティベリウスの関係が面白い。ゲルマニア侵攻で実績を残し、兵士達からも慕われたティベリウスだが、アウグストゥスからはなかなか理解されずにロードス島に引きこもってしまうのである。全体としての印象だが、アウグストゥスはどこか冷淡で、心を開かない人間だったと言う印象を受ける。

ついに紀元に入ったローマ帝国。今後キリスト教などが普及して行くことだろう。皇帝ネロの誕生も本書では描かれていたので、宗教絡みの展開が楽しみである。

【楽天ブックス】「ローマ人の物語 パクス・ロマーナ(上)」
「ローマ人の物語 パクス・ロマーナ(中)」
「ローマ人の物語 パクス・ロマーナ(下)」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
友人の結婚式でスピーチライター久遠久美(くおんくみ)のスピーチに感動したOLの二宮こと葉は、別の友人の結婚式のスピーチのために指導をお願いする。そしてそれをきっかけにスピーチライターの道に進むことになる。

スピーチライターという仕事について扱った物語。そもそもスピーチライターという言葉をどれほどの人が知っているだろうか。おそらくアメリカのオバマ大統領の大統領選を機にその言葉を知った人も多いだろう。まだまだ日本はアメリカと比べてスピーチに対する意識も低いようだが、そんな意識を変えてくれる一冊。

本書は、都内で働く一般的なOLの二宮こと葉が、感動的なスピーチに出会い、少しずつスピーチライターの仕事にのめりこんでいく様子を描いている。こと葉の幼なじみの厚志(あつし)が選挙戦へ出馬することから、こと葉のスピーチライターとしての仕事は、少しずつ日本を動かす仕事になっていくのだ。こと葉、厚志(あつし)、久遠久美(くおんくみ)は周囲の人の協力に支えられながら困難を乗り越えて行くのである。

久遠久美(くおんくみ)が困難にくじけそうになること葉に伝えた言葉が素敵だ。

困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、想像してみるといい。三時間後の君、涙がとまっている、二十四時間後の君、涙は乾いている。二日後の君、顔を上げている。三日後の君、歩き出している。

キュレーターでもある著者原田マハゆえに、その物語の視点は新鮮である。本書のなかで描かれるスピーチはどれも感動的で、自分の語る言葉の一つ一つを見直したくなる。最近原田マハはお気に入りの作家になっているが、本書でも改めてそう思った。

【楽天ブックス】「本日はお日柄もよく」

カテゴリ