2015年12月アーカイブ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
雑談が苦手な人というのは意外にも多いようで、本書はそんな人のために雑談を巧くこなすための方法を語っている。

僕自身もどちらかというと合理的な生き方をしている人間なので、「会話は「情報交換」」という意識が強い。そのせいか、共通の趣味を持っている人には聞きたい事が山ほど溢れてくるのだが、初対面の相手には「あまりプライバシーに踏み込んでは失礼」という思いも手伝って、すぐに話す事が尽きる。そんな僕みたいな人間にとって、本書は耳の痛くなるような内容のオンパレードである。

雑談を好まないという方は、人との関わりを避けているとも言えます。というのも、雑談をしないということには、あるメッセージを相手に与えている可能性があります。 「あなたとは深く付き合いたくない。損得だけの関係にしたいんです。」
目的や目標など、雑談には必要ありません。あるとすれば、相手と親密さを深めるということだけなのです。

後半は、よく言われるオープンクエスチョンや、話し相手を4つのタイプ(視覚タイプ、聴覚タイプ、体感覚タイプ、理論タイプ)に分類して会話を組み立てる方法など、実践してみたいと思う内容がいくつか含まれていた。話を掘り下げるチャンクダウンや漠然とした方向へ展開するチャンクアップなども、意識して会話に臨んでみると面白いかもしれない。

【楽天ブックス】「何を話せばいいのかわからない人のための雑談のルール」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
川端直幸(かわばたなおゆき)が書店で遭遇した美しい女性は腕にふたつの腕時計をしていた。

本書は、直幸(なおゆき)が書店で出会った女性の謎を解く事から始まる。腕時計を2つしていたその女性、高野秋(たかのあき)は過去の辛い出来事ゆえにそのような行動をとっていたのである。そんな過去の重荷を背負った高野秋(たかのあき)はその複雑な心に気付いた直幸(なおゆき)とともに人生を歩もうと考え始める。

共に行動することが多くなった直幸(なおゆき)と高野秋(たかのあき)であるが、物語は終盤に進むにつれ、秋(あき)に起こった悲しい出来事の真実が明らかになって行く。心を開き始めた秋(あき)とそれに答えようとする直幸(なおゆき)の関係が温かい。

日常的なことのなかに、登場人物たちが推理を繰り返す石持浅海の世界観が今回も全快である。どちらかというと殺人絡みなのだが、本書は直幸(なおゆき)と秋(あき)の恋愛を中心に展開される点が新鮮である。

小さな謎と深い推理を楽しみ、読後は温かい気持ちに慣れるのではないだろうか。

【楽天ブックス】「まっすぐ進め」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
「学級方向立て直し請負人」という異名を持つ菊池省三の教育方針を、元生徒である著者が描く。

学級崩壊はなぜ起きるのか。序盤は現状の教育の現場と、菊池が立ち直らせた生徒達、立て直したクラスについてのエピソードとその方法について描いている。

まず印象的なのは本書のなかで「ほめ言葉のシャワー」と呼ばれる取り組みである。「ほめ言葉のシャワー」とは毎日帰りのホームルームで、その日の日直がみんなの前に立ち、生徒がそれぞれその人のいいところを褒めるのだ。いい行動を褒められる事で、引っ込み思案な生徒も、自分の存在価値を認識するのである。そして、普段素行の悪い生徒も、自分にもいいことができるということを学ぶのだそうだ。

その描写を見て思ったのは、両親に褒められることのない生徒というのが決して少なくないという点だろう。「ほめ言葉のシャワー」という取り組みによって変われる生徒がたくさんいるのは、その裏返しなのだ。

僕自身が比較的いい育てられ方をしたために、そのような状況で育てられる環境というのが想像しにくいのだが、教育というものを突き詰めるためには、多くの子供達がどのような環境で育てられているかを理解するのは大切だと思った。

菊池が生徒たちに教えようとするものの多くは、一生通じるような考え方ばかりである。

「怒る」と「叱る」の違い
怒るとは、「自分中心の感情で相手に接すること」。叱るとは、「相手の存在を認め成長を願って強く意見すること」。
「群れ」と「集団」の違い
個人が自分らしさを発揮して自立しているグループが「集団」。個人の考えよりもその場のなんとなく流れる空気、特にマイナスの空気が勝るのが「群れ」。

本書は教育に関する内容について書かれているが、大人になって誰もが一人前と認めて、自分を叱ってくれないと思う人は、菊池が生徒達に教えようとしていることに感じるものがあるだろう。

一生懸命だと知恵が出る、中途半端だと愚痴が出る、いい加減だと言い訳が出る

【楽天ブックス】「蘇る教室」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
年々高速化が進むマラソンについて語る。本書では特にエチオピアのゲブレシラシエ、ケニアのパトリック・マカウを取り上げている。日本人と比較した際のこの2人のマラソン体質(乳酸の量や赤血球の形)も興味深いが、後半に触れいている2人の走り方の違いも興味深い。

また、タイトルにもなっているように、本書では、「つま先で着地」するマカウとゲブレシラシエの走り方が、日本人に多い「かかと着地」よりも有効であると説明する。しかし、それではなぜ日本人ランナーも「つま先着地」をしないのか。実は「つま先着地」の走り方を身につけるためには、幼い頃から「つま先着地」を繰り返し、それに必要な筋肉やアキレス腱を身につける必要があるのだそうだ。

また、なぜアフリカの選手がマラソンで強いのか、彼らの生活を説明する事で、その勝利に対するハングリー精神を示してくれる。また、マラソンで成功して裕福になった例だけでなく、裕福になったが故に酒に溺れて堕落した例もあり、自らを律することがどれほど重要なことかを改めて感じるだろう。

本書では、近いうちに20年以内に2時間を切るという予想についても触れている。正直、趣味でマラソンをする人に役立つような内容ではなかったが、繰り返し繰り返しトレーニングすることで伸ばす事のできる、人間の無限の可能性を感じられるのではないだろうか。

【楽天ブックス】「42.195kmの科学 マラソン「つま先着地」vs「かかと着地」」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
2人の小学生の子供を持つ文絵(ふみえ)はお洒落に気を使う事もなくなっていた。しかしある日中学生時代の同級生加奈子(かなこ)に出会い、化粧品販売の仕事をすることになる。

また、鎌倉の別荘で起きた殺人事件を解決するため、神奈川県警の秦(はた)は若い女性刑事菜月(なつき)とコンビを組んで捜査をする。女性とコンビを組むことに対する秦(はた)の懸念や未だ男性社会である警察組織の描き方が興味深い。菜月(なつき)が能力の高い刑事として描かれているので、このコンビはむしろ別の物語で見てみたいと思った。

殺人現場で目撃されたサングラスの女は、文絵(ふみえ)に化粧品販売の仕事を持ちかけた加奈子(かなこ)と見られ、この女性の足取りを追う事が捜査の方針となる。

最後は予想を裏切る部分はあったものの、それでも全体的には、読み終わったら数日で記憶から消えてしまうようなよくある警察小説の1つに終わってしまっている点が残念である。

【楽天ブックス】「ウツボカズラの甘い息」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
人と会ったり共に行動したりするときにふと「この人は上品だな」と感じる事がある。それは一体どこから来るのか。著者が考える「品のある」「品のない」の行動やふるまいについて語る。

本書があまり好意的に受け取られていないのは想像に難くないが、個人的には比較的好意的に受け取った。少なくとも本書に書かれている内容はそれなりに僕自身の行動を見直させるものである。

さて「上品さ」と言うと、なんだか曖昧な感じがするが、結局それは、周囲の人間にどれだけ不愉快な思いをさせないように、さらにいえばどれほど周囲の人を快適な思いをさせるように、普段から行動できるか、ということなのだろう。例えば、雨の日に傘の先端を人に向けて持っている人の近くにいれば不快だし、カフェのカウンター席で、大きな音を立てて物を置く人がいればやはり不快である。ドアの閉じ方や歩く音など、誰もがそんな人の不快な行動がすぐいくつか思い浮かぶのではないだろうか。

では果たして自分自身はどうなのか、大人になるとなかなか人は自分の悪い振る舞いをただしてはくれない、だからこそ自分自身が常に自分の行動を意識することが大切なのだ。

みんな「自分は周囲の人間より上品」と思っているようで、僕自身も同様に、比較的上品な部類の人間だと思っているが、それでも本書には普段の行動を改めてたいと思う内容がいくつか含まれていた。例えば次のようなこと。

勝負服以外、持たない

ぼろぼろになっても服や靴、ハンカチがあることに気付いた。もちろんこれは「もったいない」という考えとのバランスを取らなければならないことではあるが、「まだ使えるけど捨てる」という意識をもっと持とうと思った。

書かれている順番やその粒度がばらばらであるため、著者がただ周囲の人に文句を言っているように見えなくもない点が、不評を買っているのかもしれないが、書かれている内容から何かを学ぼうという姿勢で読めば得るものはあるだろう。人の意見に耳を傾けようとするか、それとも悪い部分をあげつらって頭ごなしに否定するか、それも「品のある、なし」なのかもしれない。

【楽天ブックス】「品のある人、品のない人 紙一重だけと決定的に違う些細なこと」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
高校を中退して東京に出て、離婚歴のあるみすみと、写真家を目指しながらも満足に生活費を稼ぐ事のできない俊彦(としひこ)の2人が、人生の数々の障害を乗り越えながらも共に生きて行く様子を描いている。

数年前に読んで、今でも好きな本である同じ著者の「私という運命について」は女性を主人公としているが、本作品は俊彦(としひこ)という男性目線で展開する。

写真家として大成しなかった俊彦(としひこ)はやがて小説家を志すようになる。成功間近で不幸が重なりつらい日々が続き、さらに病気に悩まされたりする中、妻のみすみが俊彦(としひこ)を支える。また一方で、みすみも流産を繰り返し失意の日々を送るときは俊彦(としひこ)がその支えとなる。

決して幸せとは言えない人生をお互いに支え合う様子がなんとも心に染みる。人生にはいい時もあれば悪い時もあり、そんななかの平穏が人生にとてもっとも幸せな瞬間だったいるするのだ。自らの人生を振り返る俊彦(としひこ)はみすみと過ごしたいくつかの時期に対してこんな風に語るのだ。

いまにして思えば、手をつなぎ、毎日と言っていいほど共に須磨寺を歩いたあの頃が、私たち夫婦にとって最も幸福な季節だったのかもしれない。


いまにして振り返れば、地蔵通りに転居してからの数年間は、私とみすみにとって最も穏やかな日々だった。

幸せは、過ぎ去って初めて気付くものなのだと、改めて気付かせてくれる。

安定した人生を相手に提供するのではなく、不安定な人生を共に乗り越えて行くという生き方こそ素敵で、2人の間に強い絆を作るものだと教えてくれる。

【楽天ブックス】「快挙」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
アメリカの起業家であり、スペースXのCEOであるイーロン・マスクについて語る。

スティーブ・ジョブスの次に世界を変えるのはこの男、と言われるイーロン・マスク。正直、最近になって初めてイーロン・マスクという名前を知って興味を持ったのだが、本書はそんな興味をさらに大きくしてくれる。

彼のやってきたことのなかで最も印象的なのはスペースXの取り組みだろう。彼は、人類が宇宙を旅する事を本気で実現しようとしているのだ。宇宙に行く事は可能だとしても、それが一般の人間が楽しむレベルになることはないし、そもそもそこまで宇宙に行くことに魅力もメリットもない、と多くの人は考え、だからこそ、世の中の企業は宇宙という分野に注力する事はなかったのだろう。しかし、マスクはそんな常識を覆し、古い権力や考え方に振り回されないようにロケットに必要なすべてをスペースXで作ることを実現して行くのだ。

AppleのiPhoneなどのかつてのイノベーションは、今ある物を改善したり、今はある物の隙間に新たなチャンスを見い出すようなものだったが、スペースXの取り組みは、これまでのイノベーションとはまったく違った印象を与えてくれる。それは誰も目を向けていなかった先へ人類を導く取り組みなのだ。

また、マスクはスペースXだけでなくテスラという企業で今までにない車を作る事にも取り組む。こちらについても本書を読むまで知らなかったが、多くの失敗を経て完成したテスラのモデルSにとても興味をかき立てられてしまった。

マスクのように、何事に対しても情熱的に生きてみたいと思わせてくれる。

【楽天ブックス】「イーロン・マスク 未来を創る男」

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