2015年9月アーカイブ

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
横浜の探偵の鯉沼(こいぬま)と鷹羽(たかば)はある日目を覚ますと首に爆弾ば巻かれていた。自らの命と引き換えに銀行強盗をするように要求されるのである。

こんなコミカルなドタバタ劇は久しぶりである。世の中は最近小説さえも現実の多くの新しい情報が詰まっているせいで、このような物語はむしろ時代の古ささえ感じる。

著者、樋口明雄は動物、特に犬を描いた作品で最近注目していたので、本作品もそのタイトルからそのような内容を期待したのだが、犬はペットとして登場するものの、期待した内容とはほど遠かった。まだ、著者自身が書く小説のスタンスに試行錯誤しているのかもしれない。

本作品自体は、時間つぶしに役立てられる程度のものだろう。本書から学べるものはほとんどない。

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オススメ度 ★★★★☆ 4/5
Webにおけるデータ分析の考え方を語る。

企業のデータ分析に対する取り組みを本書は4つのステージに分けている。

幼年期...ページビューの増減を観測
少年期...データをもとにサイトを改善
青年期...全社的な改善の取り組みに
成人期...分析が企業として根付く

技術の進歩によってデータ分析に力を入れる企業は増えてきたとはいえ、まだまだ幼年期や少年期どころかそれ以前の企業も多いことだろう。本書は、そんなこれからデータ分析に取りかかろうとしている企業だけではなく、すでにデータを集めてはいるが、それをどのように活用したらいいかわからない、といった少年期や青年期の企業にとっても役に立ちそうな考え方が詰まっている。

個人的に印象的だったのが、すべてのページをトラフィックと指標(滞在時間や遷移率)という2つの指標からマトリックス化して、次のように対応する考えである。

・トラフィックが多く、指標も高い
...強みを伸ばす形で改善する
・トラフィックが少なく、指標が高い
...ほかのページから大きく誘導するなどするとともに「表示する」を改善する
・トラフィックが多く、指標が低い
...「見る」「操作」するを意識した改善が有効。
ト ・ラフィック少なく、指標も低い ...簡単には改善の効果が見込めないので放置する。

またABテストについても軽く触れられていて、これから取り組んでみたいことについて全体の概要をつかむのに非常に役に立った。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

メーン州にある町Chester's Millをある日突然取り囲んだ巨大なドーム。生き物の出入りはできなくなり陸の孤島と化す。有限となった電気や食糧を求めて混乱がはじまる。

設定が変わっているが、ドラマ「Lost」などと多くの物語と同様に、秩序を保とうとするもの、権力を手に入れようとするもの、などを描いた物語である。ドームの発生によってChester's Millは2つに別れる、一方は、政治家であり、自動車販売も手がけながら裏では麻薬の密売を行っていたBig Jimを中心とする人々である。彼らは麻薬の密売の事実が表沙汰になることを恐れ、ドームの混乱を利用して、その罪を人に着せようとする。

もう一方はアフガニスタンで兵士として勤めた経験を持つBarbie。Chester's Millの外の人間であるため、何人かの人間ともめ事を起こした経験を持つが、その経験から、政府から孤立状態となったChester's Millを率いる立場に任命されるが、それがさらに周囲との軋轢を生む事になる。

Chester's Millのなかではそのような権力争いが進む中、外からは政府がなんとかしてドームを破壊しようとする。そもそもドームを生み出したのは一体誰なのんか、何なのか。次第に秩序のなくなっていくChester's Millでそれぞれが生き、大切な物を守ろうとする。

状況としては変わっていて面白いが、ただ単に規模の大きなサスペンス物語という印象で、過去のキング作品にあるような深さや描写の巧さのようなものは感じられい点が残念だった。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
警察官の夏実(なつみ)は救助犬のメイとともに南アルプス山岳救助隊に参加することとなる。夏実(なつみ)とメイが仲間達と一緒に、人命救助に奔走する様子を描く。

序盤は少しずつ夏実(なつみ)が南アルプスの救助に慣れていく様子や、仲間と打ち解けていく様子が描かれる。興味深いのは、夏実(なつみ)が共感覚の持ち主ということ。つまり、夏実(なつみ)は人の感情を色としてみることができるのである。その能力によって夏実(なつみ)は救助犬メイと心を通わせることができるが、一方で、友人や同僚にはその能力を隠しているために生きづらさを感じるのだ。

同じ救助隊のメンバーも個性的な人で構成されている。同じ女性隊員で完璧主義者の静奈(せいな)は夏実(なつみ)の存在を好意的に受け入れようとしない、また、深町(ふかまち)は過去の出来事によってすでに辞める事を決めている。それでも全員で協力していくうちに人命救助を繰り返していくのである。そして、物語後半はある有名な政治家が山に登ることからいろいろな人を巻き込んだ大きな出来事へと発展していく。

「ドッグテールズ」という短編集が期待以上に良かったため、こちらの長編はもっと期待してしまった。期待値が高すぎたせいでややがっかりした部分もあるが、信頼し合った動物と人間の感動的な物語である。

【楽天ブックス】「天空の犬」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
2013年に発行された本という事でiOS7のフラットデザインの流れは反映されてはいないがiOSアプリとAndroidアプリの基本的な違いや、アプリの様々な名称や呼び方の違いなどが網羅されている。特に新しい知識を与えてくれるわけではないが、UIについていくつかの気付きを与えてくれる。

本書だけでUIの十分な知識を得るということはないが、助けにはなるだろう。

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オススメ度 ★★★★☆ 4/5
犬を扱った5つの物語。

著者の犬に対する優しさが伝わってくる。どれも面白かったが、3番目の物語である「疾風(はやて)」と最後の「向かい風」が特に印象的だった。「疾風(はやて)」は熊の出没によって熊退治が必要になったある山村の物語。弥太郎(やたろう)と猟犬疾風(はやて)が協力して熊に立ち向かうなかで、人間と動物の信頼関係が見えてくる。また「向かい風」は災害救助犬のハンドラー、高津弥生(たかつやよい)と救助犬エマの物語。中国の震災の祭の悲劇によって心に傷を負った弥生とエマだったが、行方不明となった幼い姉妹を探すために再び動き出すのである。

本書を読むと、犬の誠実さが伝わってくる。考えてみれば人間の多くが、お金や地位や嫉妬に囲まれて生きている。しかし、動物にはそれがなくただ生存のために生きている。もししっかりとした信頼を気付く事ができれば、動物、特に人間と共存する犬ほど、その信頼できる存在はないのではないかと感じさせてくれる。

人間が犬を見る何倍も、犬は人間を見ている、ということだけは間違いありません。

今注目の著者。他の作品もすべて読んでみたいと思った。

【楽天ブックス】「ドッグテールズ」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
大安のその日、とある結婚式場では4組のカップルが結婚式を挙げようとしていた。それぞれの式がそれぞれの問題を抱えたまま行われようとしている。

4組のなかでもっとも印象的なのは、双子の姉妹の妹である妃美佳(きみか)の結婚式である。双子として生まれ、常に姉の鞠香(まりか)と比較されて育ってきたからこそとも思える想いが詰まっている。妃美佳(きみか)は同じ顔をした鞠香(まりか)に花嫁を変わってもらって、夫が本当に2人の違いに気付くかを試そうとするのである。

その他のカップルも、いろんな事情を抱えて結婚式にこぎつけているので、そこにはいろいろなドラマが溢れている。それでも最後は人間の温かさを感じられるだろう。辻村深月の作品のなかでははかなり爽やかな物語である

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
現代の統計学の重要性を説く。

実際には19世紀の中程にはその重要性を認識されていたにも関わらず、それを実現するためのツールが整ったのは最近である。コンピューターやインターネットが発展したことによって、多くのデータの収集や分析が個人レベルでも可能になった今、統計学はもっとも先見性のある分野と言えるだろう。

一般的な数学教育を受けた人ならば、序盤の平均や中央値を利用してデータを解説する部分には特に新しさを感じないだろう。基本的な統計に関する考え方から入っているが、むしろ本書の興味深い点は、統計学をどうやって実際の方針の決定に使用するか、という統計学の応用のためのヒントが書かれている点だろう。

著者は言う。取得したデータの結果によって何をするかを決めないと、取得するべきデータの粒度が決まらないのだと。どんなデータもサンプル数を多くする事によって精度をあげることはできるが、その先の行動を決めなければ、どれほど高い精度のデータが必要なのかを決めることができずに、無駄に情報集めや分析の時間を消費する事になるのである。現在多くの企業がそうやって無駄にデータ分析にコストをかけているのだという。

本書で述べられているように、データ分析を行動を決めるための指針と考えると、「標準誤差」という考え方の重要性がわかってくる。残念ながら、本書に書かれているその計算式だけではその背後にある考え方を理解できなかったが、その重要性は十分に伝わってくる。

後半はかなり素人の僕には難しくなってしまったし、実際には紙と鉛筆で実際に計算しながらでないと理解できない物なのだろう。本書中で出てきた「回帰分析」「t検定」「標準誤差」などの新しい言葉はしっかり理解したいと思った。


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オススメ度 ★★★★☆ 4/5
あらゆる組織において重要な、社員のモチベーションをあげるための方法を書いている。

人間は初期には食欲や性欲によって行動をしていた。そして1900年代は罰と報酬によって行動していた。そして、世の中の仕事の単純作業の多くはコンピューターによって行われるようになった今、人々は今までにないほど創造性を求められるようになったのである。本書ではこれまでの報酬によるモチベーションを「モチベーション2.0」と呼び、好奇心による内なるモチベーションを「モチベーション3.0」と読んでいる。

著者は最初に、一つの実験の結果を見せてくれる。2つのグループがあるパズルを解くための時間を計測する実験である。報酬を約束されたグループは報酬をもらわなかったグループよりも早くパズルを解決するが、次の実験として、2つのグループともに報酬をもらえないということになると、前の実験で報酬をもらったグループのほうが、最初から最後まで報讐をもらえなかったグループよりも作業が遅くなる、という面白い結果である。つまり、報讐は短期的には効果があるが、長期的に見ると作業者のモチベーションを落としているのである。

また、報酬を目ざす作業者はショートカットを求める方向に向かうため、創造性を発揮する事が少なくなるという。だからこそ、より創造性が求められる現代において、「モチベーション3.0」を生み出せるかどうかが企業の生き残りの鍵となるだろう。本書ではいくつかの例をあげて、「モチベーション3.0」を育むための人への接し方や声の掛け方、褒め方を説明している。

しかし、著者は報酬を与えるということをすべて否定しているわけではない。創造性を必要としない単純作業の場合にはむしろ報酬は効果的に機能するというのである。報酬が役に立ちそうな状況についても説明しているので非常にわかりやすい。

会社に限らず、チームやコミュニティなど、組織を構成する多くの人に取って、効果的に機能を果たす組織をつくるために役に立ちそうな内容が詰まっている。会社の人間にもぜひ読んで欲しいと思った。

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