2014年4月アーカイブ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
長年古本屋を営む著者が古本屋の開業について語る。

別に古本屋になろうとしているわけではないが最近流行の「ビブリア古書堂の事件手帖」のシリーズを繰り返し読むうちに、古本屋の内情について知りたくなって本書に出会った。

もちろん本書の主な内容は、古本屋を営む上での心構えや店の構造やインターネットの利用方法などであって、単純に古本業への興味を持って読む人にとっては必要ない内容ばかりではあるが、それでもいろいろ今まで知らなかった事が見えてくる。

例えば、古本屋というのは、普通の本屋とは違って、扱っている本と出て行く本が巧くまわって初めてうまく機能するのだそうだ。そのためには、売る事よりも買い取りなど、本を巧く手に入れる事の方がはるかに重要だと言う。そして、人気のあった本ほど世の中に溢れてしまって古本としては価値が下がるのも当たり前のことではあるが面白い。

本書からはっきりと伝わってくるのは、本当に古本屋というのは本が好きでなければ勤まらない職業だと言う事である。

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印象派の画家たちを扱った4つの物語。

「楽園のカンヴァス」と同様に、著者原田マハのキュレーターとしての知識を活かした作品。4つの物語はいずれも印象派の画家達を扱っている。クロード・モネ、メアリー・カサット、エドガー・ドガ、ポール・セザンヌ、ゴッホなどである。(この画家達を「印象派」とひとくくりにしてしまうことには議論があるだろうが)。ある程度西洋絵画に興味を持っている人なら誰でも名前ぐらいは聞いた事があるだろうし、どんな絵画なのかすぐに頭に浮かぶかもしれない。

本書が描く4つの物語はいずれもそんな画家達の日常を描いている。そこには絵を見ただけではわからないいろいろなものが見えてくる。ドガの踊り子に対する執着。セザンヌの貧乏生活。女性でありながらもすべてを捨てて画家を目ざしたメアリー・カサット。

今まで絵画に親しんできた人はさらに興味をかきたてられるだろうし、そうじゃない人は美術館に行きたくなるかもしれない。

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オススメ度 ★★★★☆ 4/5
早川織絵とニューヨークのアシスタントキュレーターのティムブラウンは伝説の富豪の基に招かれる。まだ世に出ていないルソーの絵画を鑑定するためである。

ルソーの絵画の真偽を判定するために、ルソーの研究家として著名な早川織絵(はやかわおりえ)とティム・ブラウンはスイスに招かれる。絵の真偽の判定と平行して、2人はある古い本を読むことも支持される。その本は作者はわからないがルソーの当時の様子を描いているのである。

早川織絵(はやかわおりえ)とティム・ブラウンは絵画の真偽判定の敵としてその場にいながらも、同じルソーの作品を愛する人間んとしてやがて打ち解けていく。その一方で、2人は世に出ていないルソーの作品を守るためになんとしてでも勝負に勝とうとするのである。

著者原田マハの作品に触れるのは本書で2冊目となるが、どうやらフリーのキュレーターでもあるらしく、本作品はそんな著者の持っている知識を見事に活かした作品となっている。ルソーの作品についてはもちろん多く触れているが、特に2人が読む事になった本の描写からは、ルソーの当時の生活が見て取れる。絵を描き始めるのが遅かったことや、ピカソとの交流など、また違った目でルソー作品を見れるようになるだろう。また当時の芸術家達がどのような姿勢で絵画に向かっていたかも感じる事が出来るだろう。

新しい何かを創造するためには、古い何かを破壊しなければならない。他者がなんと言おうと、自分にとって、これが最高にすばらしいと思えるものを作り出すには、そのくらいの覚悟が必要なんだ。他人の絵を蹂躙してでも、世界を敵に回しても、自分を信じる。それこそが新時代の芸術家のあるべき姿なんだ。


死海文書
1947年以降死海の北西にある遺跡ヒルベト・クムラン周辺で発見された972の写本群の総称。(Wikipedia「死海文書」

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
西太后(シータイホウ)の支配する清。貧しい少年春児(チュンル)は幼なじみの文秀(ウェンシウ)とともに都へ向かう。

清朝の末期を描く。偉くなるためには科挙の試験を受けなければならない中国という国で、文秀(ウェンシウ)はそんな過酷な試験に挑もうとする。その一方で文秀(ウェンシウ)の幼なじみの春児(チュンル)は自ら性器を切り取って宦官(かんがん)となり、貧しい生活から脱しようとする。

同じアジアの国の出来事にも関わらず、あまりにも知らない事が多い事に驚かされた。冒頭では、文秀(ウェンシウ)が挑んだ科挙というし試験の過酷さと、虚勢を施す刀子匠(タオズチャン)という職業とその処置の方法に驚かされる。どちらも同じ東アジアの国に長い間文化として根付いていたものなのである。

やがて、文秀(ウェンシウ)は科挙の試験で素晴らしい成績をおさめて地位を向上させていく。また一方で、春児(チュンル)も方法こそ違えど、自らの力で少しずつ都への道を切り開いていくのである。文秀(ウェンシウ)と春児(チュンル)を中心に物語は展開していくが、その過程で西太后(シータイホウ)や、中国を守ろうとする人々の苦悩や駆け引きが見て取れる。また、中国国内だけでなく、中国という大きな土地を巡るイギリスやフランス、日本の利権争いも興味深い。

登場人物が多いので、なかなか本書だけでこの当時中国で起こった事の全体像を理解するのは難しい。どこまでが歴史上実際に存在した人物で、どこまでが物語中の架空の人物や出来事なのかをしっかり理解してもう一度読んでみたいと思った。

科挙
中国で598年?1905年、即ち隋から清の時代まで、約1300年も行われた官僚登用試験。(Wikipedia「科挙」

宦官
去勢を施された官吏。その原義は「神に仕える奴隷」であったが、時代が下るに連れて王の宮廟に仕える者の意味となり、禁中では去勢された者を用いたため、彼らを「宦官」と呼ぶようになった。(Wikipedia「宦官」

李鴻章(り こうしょう、リ・ホンチャン)
中国清代の政治家。字は少荃(しょうせん)。 日清戦争の講和条約である下関条約では清国の欽差大臣(全権大使)となり、調印を行った。(Wikipedia「李鴻章」

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ビブリア古書堂シリーズの第4弾。毎回本を絡めた興味深い物語を展開してくれる。今回は江戸川乱歩のコレクターが遺した謎に栞子(しおりこ)と五浦(ごうら)は挑む。

本シリーズは今まで多くの有名な本を扱ってきたが、今回扱う江戸川乱歩シリーズはまさに僕自身が小学生の頃親しんできたシリーズで、物語中で触れられるタイトルの数々に懐かしさを感じてしまった。

また、そんな本に絡めた謎やそれぞれの本や作家が持つ深い歴史だけでなく、栞子(しおりこ)への五浦(ごうら)の想いもまたほのぼのと描かれている。そして、本書で何よりも注目すべきなのは失踪していた栞子(しおりこ)の母、篠川智恵子(しのかわちえこ)が登場する点だろう。栞子(しおりこ)よりもさらに深い本に対する知識と行動力のある智恵子(ちえこ)に対して、栞子(しおりこ)と五浦(ごうら)は謎解きで挑むのである。

まだまだこの先一波乱ありそうな流れである。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ポアンカレ予想を理解するためにはやはりトポロジーを理解する必要があり、その入門書として手に取った。

トポロジーの考え方では球も立方体も直方体も同じ形として扱われる点は、1度考え方を受け入れれば非常にわかりやすく興味深い。また、メビウスの輪の考え方の延長でクラインの管ができることも理解できた。また、4次元空間の数学的考え方の一端にも触れる事が出来た。

ホモローグやホモトープなど、覚えにくい言葉も多々登場したが、トポロジーの最初の一冊としては悪くないだろう。

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オススメ度 ★★★★☆ 4/5
グラミン銀行の創始者ムハマド・ユヌスの自伝。バングラディシュという国の成り立ちやその貧しさ。そしてそこ育ったムハマド・ユヌスの成長の過程などとともに、グラミン銀行を語る。

序盤は著者自身の家庭環境や成長の過程で起こった印象的な出来事などとともに、バングラディシュの悲惨な状況について触れている。そもそも今の僕らの世代の一体どれほどの人が東パキスタンという国の名前を知っているのだろうか。その独立の過程を知るにつれて、まだまだ知らなければならないことが多い事に気づかされる。

そしてそんな不安定な国の状況のせいで、人々は教育の機会に恵まれないため貧困から脱出することができない。また宗教的理由もその貧困をなくすことの弊害となっており、そんななかで育ったユヌスはやがてそれを解決する1つの方法にたどりつくのである。

そんな中、本書のなかで印象的だったのは、技術はすでに持っているのだから教える必要がない、という考え方である。確かに本書で書かれているように、世の中では貧しい人を助けるために、職業訓練などで技術や知識を与える傾向があるだろう。しかし、ユヌスの考え方は、誰もがその人生のなかで人に役立てる技術や知識を手に入れているはずで、必要なのはそれを実現する資金だというものなのだ。また、貧困の解決方法として職業訓練という手法が世にはびこる理由として、訓練ならその後に何が起こっても教える側に被るデメリットはなく、教える側は教えて終わりにすることができる、としている。

イスラム教を信じる人たちの間で、女性にお金を持たせて仕事をさせることの難しさが伝わってくる。またそんな幾多もの問題を乗り越えながら貧困をなくそうと努める著者の姿を知るにつれ、日本や先進国で同じ事ができないわけがないと思えてくる。

あまり文章に強弱がないため、読み進めるのは若干大変かもしれないが、世の中にはびこる貧困の問題点や貧困への向き合い方や信念を持って仕事や人生を送ることのすばらしさを感じる。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
Tomとその妻Isabelはオーストラリアの無人島で灯台の光を維持することを仕事としていた。ある日その島にボートが流れ着く。そのボートにはすでに息を引き取った男と赤子が乗っていた。

戦争でのつらい経験を引きずって生きていたTomは、人のいない島で灯台の光を管理するという仕事を選ぶ。そんな折に出会ったIsabelと結婚し、2人で家族を作ろうとするがIsabelは3人の子供を流産してしまうのだ。そして、そんな失意の2人のもとに赤子を乗せたボートが流れ着く。

戦争中の自らの行いによって良心の呵責に苦しむTom。そんなTomの過去に対する言動や、自らの正義感や信念を反映した生き方が印象的である。

1920年代を舞台にした物語という事でおそらく今とはかなり異なるのだろうが、灯台を管理するという仕事やその役割、そして灯台そのものについても興味をかき立ててくれる。また、オーストラリアを舞台としている事からその時代の人々の言動に触れるうちに、オーストラリアのこの時代の歴史をほとんど知らない事に気づかされた。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
自然な日本語の持つ微妙なニュアンスをスペイン語でどのように表現するかを説明している。

自然な日本語というのは必ずしも、主語や目的語が含まれていない事も多い。そんな日本語をスペイン語で表現しようとしたときにどのように表現すべきか、という視点で書かれている。たとえば「私は」と「私は」の違いや、「しか」と「も」の違いなどである。もちろんスペイン語の方が表現しやすい表現や、日本語の方が表現しやすい表現などあり、本書を通じて、いろいろスペイン語の表現の幅が広がるだろう。

【楽天ブックス】「日本語から考える!スペイン語の表現」

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