2013年9月アーカイブ

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
生死の境を乗り得たおりんにはなぜか幽霊が見えるようになる。両親が開いた料理屋「ふね屋」に住み着く5人の幽霊。同い年の女の子お梅、美男子の玄之介(げんのすけ)、色っぽいおみつなど、彼らはなぜこの家に住み着いているのか、そしてなぜおりんにだけ5人全員が見えるのか。

江戸の時代を描きながら幽霊という存在を巧みに使って面白おかしく当時の人々の人間関係を描く。なんとも宮部みゆきらしい作品。本作品を面白くさせているのはそんな5人の幽霊たちだけじゃなく、純粋で真っすぐなおりんの言動だろう。

なによ、あの言いっぷりは!あんな意地悪なこと言うのなら、さっさと出ていってくれればいいのに!そうよ、あたしたちがこんなに苦労しているのは、みんなお化けさんたちのせいじゃないの!

きっと本当は誰もが心のうちを素直に表に出して、心の赴くままに行動したいのだろう。しかし、実際には大人になるに従ってそれは難しくなっていく。だからこそおりんに魅力を感じるのである。

そして次第に幽霊たちがその家に住み着いている理由が明らかになっていく。

どうしてあなたはお父とお母に大事にされて、どうしてあたしはお父に殺められて、井戸にいなくちゃならなかった?

産まれた場所や両親など、人にはどんなに強い意志を持とうと選べない物があり、それに翻弄されてしまう人生もまたあることを改めて認識させられる。

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オススメ度 ★★★★☆ 4/5
石油会社「国岡商店」を率いる国岡鐵造は社員は家族という信念を持って戦後の混乱期を乗り越えていく。

読み始めるまで知らなかったのだが、この物語は出光興産の創業者・出光佐三をモデルにして書かれている。石炭から石油へとエネルギーが移行していく時代にいち早く石油に目をつけて自ら会社を起こし、時代の流れにのって大きくなっていくのだ。

本書で描かれている出来事はフィクションの体裁をとってはいるが、いずれも実際に起こった出来事を描いている。そんな数ある出来事のなかでも、なんといってもイギリスの脅威のなかイランに向かった大型タンカー日章丸のエピソードは、単に「面白い」という言葉では説明しきれない。信念と誇りをもって物事に立ち向かうことの素晴らしさと尊さを改めて感じるだろう。

辛かった日々は、すべて、この日の喜びのためにあったのだ。

「信念」とか「誇り」という言葉は、戦争などの争乱の時代にしか語られないような印象があるが、そんなことはない、日々の仕事に大してもそんな心を忘れずに常に全力で立ち向かった人がいるのである。

僕らはなぜこんな偉大な出来事をもっと語りついでいかないのだろうか。本書を読めばきっとみんなそう感じるだろう。著者百田尚樹がこの物語を書かなければいけないと思った理由は読者には間違いなく伝わるだろう。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ハンガーゲームを勝利したKatinissとPeetaは勝利のパレードに忙殺される。しかし二人がハンガーゲームでとった行動はハンガーゲームの主催者である「首都」の反感を買っており、またその行動は各地にすこしずつ支配下におかれた12の地域に反乱の空気をもたらしていく。

映画化もされた「Hunger Game」の続編である。前作は残念ながらバトルロワイヤルの焼き直しのような、陳腐な物語に過ぎないが、本作品はむしろ体制に対する人々の団結と戦いの物語になっている。前作では存在感のなかった脇役にすぎなかった登場人物たちが、本作品ではハンガーゲームという残酷なイベントによって若い人々の命を玩ぶ「首都」に対して少しずつ疑問を感じ、それを行動に移していくのである。しかしそれでも「首都」の持つ力は絶対で、KatnissとPeetaは再びハンガーゲームに導かれていくのである。

前半はやや物語はゆっくりと進む。個人的にはむしろ、後半のハンガーゲームのシーンよりもそれ以前のハンガーゲームが決まってからの人々の勇敢な行動が印象的だった。

そして物語は続編へと委ねられる。続きも読まなければならないようだ。

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
高校生の花菱英一(はなびしえいいち)の父親が引っ越し先として選んだのは、元写真屋さん「小暮写真館」の建物。ある女子高生が「小暮写真館」で撮ったとされる心霊写真を持ち込んでくる。

「小暮写真館」という看板のかかったままの家に住む事になったため、英一(えいいち)のもとには、心霊写真が持ち込まれ、それを基にいろんな形の人間関係やそれぞれの心のうちを描かれる。高校生ゆえに、同じ高校の登場人物たちも個性豊かで気楽に読み勧められるなかに、心に刺さる内容があるのが非常に巧い。

人は語りたがる。秘密を。重荷を。 いつでもいいというわけではない。誰でもいいというわけではない。時と相手を選ばない秘密は秘密ではないからだ。
僕を責めたりなんかしない。まず第一に自分の浅はかさを責めるだろう。そういう人なんだ。僕はよく知ってた。知りすぎるくらい知ってた
泣かせようなんて、これっぽっちも思わないんだよ。幸せにしようって、いつも本気で思ってるんだよ。だけどね、何でか泣かせちゃうことがあるんだ。

そして花菱(はなびし)家も複雑な事情を抱えている。現在は英一(えいいち)とその8歳年下の光(ひかる)との2人兄弟だが、7年前に妹の風子(ふうこ)が亡くなっているのである。そして常に家族の頭にはその亡くなった妹の存在が残っているのだ。物語が終盤に差し掛かるに連れて英一(えいいち)の向き合うものは、亡くなった妹を含めた自分自身の家族や友人との人間関係になっていく。

手に取った瞬間に挫けそうになるような分厚い本だが、読む価値ありである。

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オススメ度 ★★★★☆ 4/5
1990年代の後半のアメリカ。誰もが犯罪の増加を予想する中、殺人率は5年間で50%以上も減少した。多くの人がその理由を語り始めたという。銃規制、好景気、取り締まりなど、しかしどれも直接的な理由ではない。犯罪が激減した理由はその20年以上前のあるできごとにあったのだ。

わずか数ページで心を引きつけられた。経済学と聞くと、どこか退屈な数学と経済の話のように感じるかもしれないが本書で書かれているのはいずれも身近で興味深い話ばかりである。大相撲の八百長はなぜ起こるのか。なぜギャングは麻薬を売るのか。子供の名前はどうやって決まるのか。こんな興味深い内容を、数値やインセンティブの考え方を用いて、今までになかった視点で説明する。

個人的には冒頭のアメリカの犯罪率の話だけでなく、お金を渡したら献血が減った話や、保育園で迎えにくる母親の遅刻に罰金を与えたらなぜか遅刻が増えた話などが印象的だった。お金を使って物事を重い通りに運びたいならそこで与えるお金の量は常に意識しなければならないのだろう。

なんだか世の中の仕組みが今まで以上に見えてくるような気にさせてくれる一冊。

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オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
時間の使い方を自由に選択できる社長は、その時間をどういうふうに使うべきか、という視点に立って語る。

基本的に本書で書かれているのは、時間とお金を常にその効果に見合うかを考慮して選択するということに尽きるが、普段から心がけている人にとっては特に新しい内容ではないだろう。

Googleカレンダーなどの新しい技術にも触れているが、基本的には著者が普段やっている事をそのまま本にしただけといった印象である。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
20世紀初頭のスペイン、バルセロナ。David Martínは作家になるための道を歩んでいく。そんなある日、宗教を作って欲しいという依頼を受ける。

前半はMartínの作家になっていくなかで、友人であり保護者であるPedro、Martínが想いを寄せるCristina、Martínに憧れて作家を目指すIsabellaなど、読み進めていくうちにMartínの周囲にある温かい人間関係が見えてくる。そんななかMartínは宗教を創って欲しいという依頼を破格の値段で受けるとともに、周囲に不思議な出来事が起きるようになるのである。そして時期を同じくしてMartínが住んでいる古い家の部屋の中で、前の住人の持ち物にその依頼人の名前を発見するのである。

依頼人の目的は何なのか。この家には誰が住んでいたのか、そして彼には一体何が起こったのか。そんな彼の行動はさらに多くの困難を招く事にになるのである。

何よりも物語全体がつくりあげるバルセロナの当時の雰囲気がすばらしい。また、同著者の別の作品「Shadow of the Wind」にも登場した「忘れられた本の墓場」も登場し、Martínの友人として本屋の店主とその息子が描かれており、本という物の存在に対する著者の愛情がひしひしと伝わってくる。

しかし、残念ながら多くの謎を残したまま本書は終了し、今後続くであろう続編にその解決を委ねる事となっている。本書だけですべてを評価する事はできないが、ややミステリアスで超自然的な内容を含んでいるため「Shadow of the Wind」のような心地よい読後感や雰囲気を味わおうとしていると裏切られるだろう。

とはいえ次回作は読まなければならないだろう。

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
一親から会社を引き継いだ社長を例にとって、社長のあるべき姿を描く。

大きな組織を動かそうとするとき、そこには様々な障害が予想される。企業にとってもっとも厄介なのは、社員が社長の意図した通りに動いてくれない事なのだろう。

本書では、これからの時代は社員一人一人の想像力を生かす経営を行う必要があるという。そして、そんな社員それぞれが自ら考えて行動するような企業を創るために、社長がするべきこと、とるべき態度を対話形式で説明している。必ずしも企業の社長だけでなく、部下に指示を出す立場の人にとっては役に立つであろう内容ばかりである。

チーダーといえども、時にはミスを犯す。 そのとき率直に謝ることで、かえって部下やメンバーの信頼とやる気を獲得することができる

タイトルを読むと何か古くさいリーダー像を押し付けられるのではないか、といった不安とともに読み始めたが、いい方向に裏切ってくれた。

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