2004年9月アーカイブ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
「貧しい家庭に育った和倉勇作、裕福な家庭に育った瓜生晃彦。二人はお互いを意識しながら時には妬み、時には憎み、そして時には憧れてもいた。」キャッチフレーズをつけるならこんなところだろう。1つの殺人事件をめぐって大きな謎が少しづつ解明されていく。最後は「宿命」というタイトルのとおりすっきりと謎が解ける事になる。毎度のことながら東野圭吾の作品は疲れない。「疲れない」というのは、例えば読んでいる最中に前のページを読み返したりしなくても一気に読めるという事だ。この作品も例外ではなかった。

ただ、ひとつ言わせてもらうなら東野圭吾の作品はフィクションなのだ。もちろんこのブログに掲載している本の大部分はフィクションなのだが、ノンフィクションを折り混ぜた作品の方が、自分自身にとってもいろいろな方向に興味が広がることになり結果的に自分の世界を広げる事になる。東野圭吾の本は作者の空想の部分が8割,9割を占める。そのため読んで、そこで完結してしまう。例えば松岡圭祐はいつも現実の世界と関連したストーリーを展開してくれる。例えば9.11のテロや新宿の雑居ビル火災である。宮部みゆきは世の中のおかしな制度や現代にはびこる不思議な人間関係をえぐってくれる。そういうものが東野圭吾にはない。ある意味ラクではあるが、ある意味物足りないのだ。それでものんびりしたいときにはまた東野圭吾の作品を手に取ることだろう。

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おススメ度 ★★★☆☆ 3/5
例によって飛躍したストーリー展開が今回はいつも以上に激しかった。人工衛星からマイクロ波を発射して地上の人を焼き殺す兵器が乗っ取られた・・という話から始まるのだが、残念ながら人間はここまで馬鹿ではない。核兵器をいくつかの国で開発されたからといって、すぐに核戦争になるわけではないのと同じ事で、一人の思惑で世の中の平和が壊れるなどということはあってはならない、そう、ここまで馬鹿なはずがない。そう感じた。だが、たしかに今後このまま兵器が発展して行けばこのような世界になる可能性もゼロではない。そういうことなのだろう。

ヒロインである岬美由紀の恋の行方は少し発展したのかもしれない。だが、彼女の1ファンとしてはこのまま一人で突き進んでもらいたいものだ。彼女の「強いゆえに孤独」というのは非常に共感できる部分がある。僕自身も弱音を吐かない人間なもので。

松岡圭祐作品を僕が読み続ける理由に、ストーリーの面白さはもちろん、いろいろな分野への興味を抱かせてくれるということもあげられる。今回のストーリー展開のなかで興味を持ったキーワードは「突沸」「ステファンボルツマンの法則」「GPS」などである。聞いた事あるけど「それってなんだっけ?」そう思う事柄を、この本を読んで調べたくなるのである。

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