洋書_Stephen Kingの最近のブログ記事

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

メーン州にある町Chester's Millをある日突然取り囲んだ巨大なドーム。生き物の出入りはできなくなり陸の孤島と化す。有限となった電気や食糧を求めて混乱がはじまる。

設定が変わっているが、ドラマ「Lost」などと多くの物語と同様に、秩序を保とうとするもの、権力を手に入れようとするもの、などを描いた物語である。ドームの発生によってChester's Millは2つに別れる、一方は、政治家であり、自動車販売も手がけながら裏では麻薬の密売を行っていたBig Jimを中心とする人々である。彼らは麻薬の密売の事実が表沙汰になることを恐れ、ドームの混乱を利用して、その罪を人に着せようとする。

もう一方はアフガニスタンで兵士として勤めた経験を持つBarbie。Chester's Millの外の人間であるため、何人かの人間ともめ事を起こした経験を持つが、その経験から、政府から孤立状態となったChester's Millを率いる立場に任命されるが、それがさらに周囲との軋轢を生む事になる。

Chester's Millのなかではそのような権力争いが進む中、外からは政府がなんとかしてドームを破壊しようとする。そもそもドームを生み出したのは一体誰なのんか、何なのか。次第に秩序のなくなっていくChester's Millでそれぞれが生き、大切な物を守ろうとする。

状況としては変わっていて面白いが、ただ単に規模の大きなサスペンス物語という印象で、過去のキング作品にあるような深さや描写の巧さのようなものは感じられい点が残念だった。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
Callaの町でWolves達との勝利にわくRoland一行だが、妊娠したSussannahが行方をくらました。Roland、Eddie、Jakeそして神父のCallahanがSusannahを追ってニューヨークに向かう。

多重人格者のSusannahが行方をくらましたことで、それぞれが別の世界へのドアをくぐる。EddieとRolandは1977年のメーン州、JakeとCallahanは1999年のニューヨークだった。それぞれの登場人物が別々に行動するため、今までのようなそれぞれの個性が団結した展開を見る事はできないが、それぞれまた違った側面が見えてくる。

子供を産んで育てようとするSusannahの中の人格Miaと、後から追ってくる救いを待つために少しでも時間を延ばそうとするSusannah。2人が1つの体のなかで駆け引きを繰り返すのが面白い。そしてそんななかにもう1つの人格Odettaが割り込んでいくのだ。

一方で、鍵となる駐車場を管理している本屋のオーナーを追うEddieとRolandは、やがてその近所にある小説家が住んでいることを知る。その小説家はStephen Kingというそうだ。現実世界がKingの小説のなかに取り込まれたのか、それともRolandやEddieが現実世界にでてきたのか、Stephen Kingのそんな試みが見られるのが本書の一番の山場かもしれない。

長く続いたシリーズの最後に繋がる一冊。これまでのシリーズと比較すると面白さとしてはやや不足しているかもしれないが、その後の展開には必要な一冊なのだろう。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
Dark Towerシリーズの第5弾。Roland達一行はCallaという町の人々に救いを求められる。その町には何年かに一度仮面を被った「Wolves」と呼ばれるグループがやってきて、町に多くいる双子のうちの一人をさらっていくのだというのだ。

シリーズ中最長の本書。Roland、Eddie、Sussanna、Jake、Oyeは助けを求められてCallaという町に赴き、町の人々から情報を集めながら、約1ヶ月後に迫ったWolvesの来襲に備える始める。そこでは双子の一人がさらわれても残る物もいるのだからそれで甘んじようと言う人々と、これ以上今の状態を続けないために命の危険を承知で立ち上がろうとする人々がいる。

町の老人が昔のWolvesの来襲と一緒に戦って命を失った友人達について語るシーンが個人的にはもっとも印象に残った。

モリーは砕け散った夫の血と脳を浴びながらも、なお動かず。そして叫んで皿を放った。

さて、物語はWolvesの襲撃に備える一行だけでなく、夜になると不穏な行動を始めるSussannaや、Eddie達と同じようにニューヨークからやってきたCallaの町の神父Callahanにも及ぶ。Callahanの語る物語はどうやらStephan Kingの別の作品と繋がっているようで、そちらも読みたくなるだろう。

前作「Wizard and Glass」でも赤い水晶が物語の重要な役割を担っていたが、今回もCallahanが保持しているという水晶が鍵となる。今後この玉の存在が物語にどのように影響を与えていくのか、ようやく近づいてきたシリーズの終盤に対して期待感が高まる。

スピード感溢れる描写に著者の才能を感じた。早くシリーズを最後まで読みたくさせてくれる一冊。

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
暴走し始めた知能を持った機関車との対決を終えたRolandは旅する3人の仲間にSusanという女性との出来事を語り始める。

前作「The Waste Lands」の最後に暴走する機関車Blaineになぞなぞ対決を挑まれたRolandの一行だが、Eddieの機転でその場を勝利する。本書はむしろその後にRolandがJake、Eddie、Susuannahの要望に答えて語る自らの過去、Rolandの14歳の時の出来事が中心となる。

Rolandは同じ訓練をつんだCuthbert、AlainとともにHambryという町の調査に赴くのだが、その町にはBig Coffin Huntersと呼ばれる3人組が権力を持っていて、やがて外部から来たRoland達3人との対立を深めていく。また、RolandはSusanという、すでに町の権力者と結婚を約束した美しい女性と出会い恋に落ちるのである。使命を果たそうとするなかで恋に溺れるRolandに、CuthbertやAlainは不信感を強めていく。

今までその過去はほとんど謎に包まれたままだったRolandだが、本書でようやくその辛い過去が明らかになっていく。あまり感情を見せないRolandだが、若き日Rolandからはその感情の揺れ動く様子が見て取れる。

SusanやBig Coffin Huntersの存在は言うまでもないが、物語を面白くしている要因の1つは、Hanbryの町に住む赤い水晶を持った老婆Rheaの存在である。本書のタイトルはまさにそれであり、おそらくシリーズの今後含めて水晶も老婆の存在も大きな鍵となっていくだろう。

今後の感動的で壮大な展開を予感させる。日本人の間にももっと読まれて欲しいと思える作品。

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
四つの作品を集めた短編集であるが、一作目の「Rita Hayworth and the Shawshank Redemption」は映画「ショーシャンクの空に」の原作であり、三作目の「The Body」は映画「スタンドバイミー」の原作という短編集ながらもそれぞれの物語は非常に濃密で完成度の高い出来となっている。映画が非常に忠実に描かれているので、いまさらこの二つの作品の素晴らしさは語る必要もないが、四作目の物語「The Breathing Method」もまた強烈な作品に仕上がっている。

主人公である男性は、ある物語を語る会に通うようになる。そこでは毎回参加者の一人がほかの参加者に向けて物語を語るのだが、あるクリスマスの晩に参加者の一人の医師が過去を思い返してある女性の物語を語るのである。その女性は役者を夢見てニューヨークに出てきたが、出会った男と恋に落ちて妊娠し、男が去ったあとも一人でその子を産んで育てようとして、医者であるその語り手のもとを訪ねたのだと言う。彼女の産まれてくる子供のための強い意志は、その語り手である医師の心に永遠に刻まれることとなったのである。

出版されたのが1983年という本であるが、30年を経た今読んでも決して不満に思う事はないだろう。長く心に残るであろう作品。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ベストセラー作家であるPaulはある日ドライブをしていて事故に遭う。目を覚ましたそこは、彼のファンである女性Annieの家だった。Paulはそこで監禁生活を強いられながら小説「Misery」の続編を書く事を強要されるのである。

Annieの狂気や、Paulに対する残酷な仕打ちがある一方で、小説を書くという事の難しさ、深さを感じる事ができる。例えば、Paulが書いている物語の面白さに、Annieがついに結末を教えるように迫るのだが、それに対して、Paulは、自分にも結末はわからない、と答える。いくつか候補として考えている結末はあるが、どのうちのどれを選ぶかは自分にもわからないと。また、Annieの小説に対する意見も面白い。彼女は最初にPaulが書いた内容を読んでどこか違和感を感じてそれをPaulに伝える。Paulもまた、監禁されているという環境にもかかわらず、一人の読者の意見としてそれを尊重し、物語をより矛盾のない形に修正していくのである。何かKingの物語に対する価値観が凝縮されているようにも感じる。

そして、小説云々は別にしてもその強烈な描写はやはりすごい。例えば、主人公がなにかの窮地に陥った時、僕らはどこかで、このひとは主人公だから、「きっとうまく逃れるんだ」的な考えを持っていると思うのだが、そんな楽観的な部分を見事に裏切ってくれる。日本の作家五十嵐貴久の「RICA」もまたそんな残酷な行為をする女性の物語であったがどこか似た部分を感じる。ひょっとしたら五十嵐貴久もKingの作品に影響を受けたのかもしれない。

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
高校の教師のJohn Smithは幼いころの出来事によって未来が見える事がある。それでも恋人と普通の生活を送っていたが、交通事故によって4年半もの間昏睡状態に陥る。

予知能力を持った青年の物語。超能力を持つ人間の物語というのは決して珍しくない。人にはない力を持った故に起きるJohnnyの心の中の葛藤も他の多くの超能力者を扱った作品と共通する部分がある。「人には知られたくない」「普通の人間として生きたい」と思いながらも、予知能力ゆえ、知人が不幸にあうことを黙っていることはできないのだ。

本書ではそんな超能力者に対する大衆の行動も面白く描かれている。その力を利用して自らの知人や家族を捜してほしいと願うもの。スターとしてビジネスに利用しようとするもの。そのタネを見破ろうとするもの。それでも世間はすぐに忘れていくのである。

本作品で重要な役となるのは、恋人SarahとJohnnyの母Veraだろう。SarahはJohnnyが昏睡状態の間に新しいパートナーを見つけて家族を築いていたが、その後はJohnnyの良き友人となる。心身深いVeraはJohnnyのその力を見て、「神が目的を持って与えたもの」という。その言葉を強く意識するJohnnyは、最後までその力を使ってどうやって生きるべきか考え続けるのである。

そしてJohnny自身が政治に強く関心を持っていることもあり、物語は次第に大統領選へと移っていく。アメリカ国民の未来を左右しかねない大統領選。そこでJohnnyは何を見たのか。超能力者を扱った作品のなかでも傑作と言えるだろう。

Kent State Shooting
ケント州立大学で1970年5月4日起こった事件。ガードマンが67発の弾丸を放ち、4人の生徒が亡くなった。(Wikipedia「Kent State shootings」

IRS(アメリカ合衆国内国歳入庁)
アメリカ合衆国内国歳入庁(アメリカがっしゅうこくないこくさいにゅうちょう) またはIRS (The Internal Revenue Service)は、アメリカ合衆国の連邦政府機関の一つで、連邦税に関する執行、徴収を司る。日本でも、そのままIRS(アイアールエス)と呼称されることもあるが、内国歳入庁や米国国税庁などと翻訳される。連邦政府の機構上は財務省の外局であり、日本の省庁になぞらえれば財務省の外局である国税庁に相当する。ワシントンD.C.に本部を置く。(Wikipedia「アメリカ合衆国内国歳入庁」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
実験的投薬によって不思議な力を身につけたAndyとVicky、しかし2人の娘Charlieはさらに強力な力を持つこととなる。それは念じるだけで火をおこすことのできるパイロキネシスだった。AndyとCharlieはその力のために組織Shopから追われることとなる

宮部みゆきのクロスファイアのもととなった物語と聞いて非常に興味を持って手に取った。物語の鍵となるのパイロキネシスという能力を持ちながらもその力をコントロールしきれないゆえに自らの力におびえる7歳の少女Charlieと、その父親で人の心を操作する能力を持つAndyである。

2人はその逃避行のなかでたびたびその力を使わざるを得ない状況に陥るのだが、使い過ぎることによって自らの体力や命さえも脅かすのである。個人的にはCharlieの力が無意識に出てしまうシーンなどが印象的だ。たとえば、泣きわめくCharlieの横で、温度計の目盛りがじわじわ上がっていくのを見て、なんとかCharlieに平静さを取り戻させようと努めるAndyのシーンや、階段を降りようとしてテディベアのぬいぐるみにつまずいた次の瞬間にぬいぐるみが燃え上がるシーンなどがそれである。

さて、超能力者を中心にすえた物語は多々あるが、終わりはだいたいその人が死ぬか能力を失うか、である。Stephen Kingがこの物語をどうやって終わらすか、という点も途中から僕の興味をそそる部分だったのだが、その点も及第点をあげられるだろう。幼い女の子Charlieがその年齢に似合わないたび重なる試練を乗り越えて成長していく物語としてその心の揺れ動くさままでしっかりと描かれている。

ややスピード感に欠けると感じる部分もあるが非常に満足できる内容である。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
Dark Towerシリーズの第3弾である。前作では元の世界は荒野でも舞台はそこに現れたドアが続いているNewYorkだった。しかし、今回いよいよ、Roland、Eddie、Susannahは荒野、本作品ではやがてMid-Worldと呼ばれるようになる世界の旅が中心となる。

序盤は第一弾「Gunslinger」で登場した少年、JakeをNewYorkからMid-Worldへつれてくることが山場となる。そして4人となった彼らは引き続き、DarkTowerを目指す。

さて、そんななか本作品はなぞなぞが鍵となる。引用される英語のなぞなぞはどれも興味深いものばかり。例えばこんななぞなぞである。。

What is the difference between a cat and a complex sentence?
これに対する答えはこうなのだそうだ。
A cat has claws at the end of its paws, and a complex sentence has a pause at the end of its clause.

日本のなぞなぞとは少し異なり、答え方が韻を踏む、というのがあるようだ。本作品中で4人はなぞなぞについて繰り返し語り、そんななぞなぞが4人の冒険を大きく左右することになる。

やや終わり方が中途半端な気がするが、今までおぼろげだった世界の全貌が少しずつ明らかになってくる、シリーズの展開を一気に加速させてくれる一冊である。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
教師を解雇されたJackは息子のDannyと妻のWendyとともに山奥のホテルに住み込みで管理人を務めることとなる。吹雪で外界から孤立したホテルで3人は不思議な体験をすることになる。

スティーブンキングの名作の1つでありながら、正直物語を知らなかった。さて、物語の中心は5歳の少年Danny。ときどき知るはずのないことを知っていたり、両親の心のうちを読んだり、不思議なことを言って両親を気味悪がらせる。彼こそが「shining」な人間だったのだ。

3人を残して吹雪で孤立したホテルで、少しずつ邪悪な何かが動き始める。ホラーという分野が好きな人間にははずせない一冊なのではないだろうか。

とはいえ「恐怖」意外の深い何かを期待した僕にはやや物足りなかった。

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
Dark Towerに向かってただひたすら浜辺を歩くガンマンの目の前にひとつのドアが現れる。そのドアを開けるとどうやらそれは誰か別の人間の目で別の世界を見ているようだ。

「The Dark Tower」シリーズの第2弾である。このシリーズを読む前の予備知識として第1弾の「The Gunslinger」は非常に退屈だが、本作品以降は面白くなる、と聞いていたのだが、正直第1弾の退屈さは予想を上回る程で、続きを読もうか躊躇するほどだった。しかし、本作品。ガンマンであるRolandの旅が今後も不毛な大地を舞台に続くのかと思いきや、突然現れたドアによって、突然現代と繋がって非常にスリルあふれる展開になる。

最初のドアから見つめる世界は、飛行機に乗って、これから麻薬の密輸をしようとしている男の視点、いはゆる僕らの言う「現代」であった。そしてすぐにRolandは自分はただドアを通してその視点から世界を見つめるだけでなく、その男自身の行動を操れることを知る。そしてその世界からこちらの砂漠に物を持ってくることができることも...。

そして、そのRolandに視点を奪われながら、密輸を企てる男EddieはRolandの力を借りて危機を乗り越えながら、やがてマフィアの争いに巻き込まれていく。かなり思い切った展開で、前作と本作の間に著者のなかの本シリーズに対する大きな変化が感じら違和感もあるが、面白くなったことは間違いない。

本作品中ではそのドアが鍵になるのだが全体で3つのドアが現れる。2つ目のドアから見えるのは車椅子の女性の視点。やがてRolandは「何故、この時代なのか?」「なぜこの人間なのか?」とそのドアが自らを導く意味について考えるようになる。Rolandの過去はいまだ謎のままだが、そのドアを通してRolandが見て、ときには操作する人物達それぞれのドラマが本作品を非常に面白くしている。次回作が楽しみになる一冊。

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
黒衣の男は砂漠を逃げていく。ガンマンは追った。そんな冒頭で始まる物語。Stephen Kingの「The Dark Tower」シリーズの第1弾である。

なぜガンマンが黒衣の男を追い続けているのか、彼らは過去にどんな因縁を抱えているのか。その説明は一切描かれない。ただガンマンは男を追い、立ち寄った町で男について尋ね歩く。男はなぜ蘇ったのか。19という数字は何を意味するのか。

自分の英語力が未熟なせいかと思うほど意味の繋がらない回想シーン。いずれもおそらくこの後のシリーズの続編でその細かい物語の断片が繋がっていくのだろうと思われる。本作品だけを評価すると、残念ながら面白いとはとても言えないが、「The Dark Tower」というシリーズを読む上で欠かせない作品として我慢して読むべきなのだろう。

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